機長「操縦ミスではない」3人死亡の医療ヘリ事故 運航会社「点検で異常なし」 島民にとっては“命綱”…医師不足のため病院が自費で導入【news23】
長崎県・壱岐沖で患者や医師ら3人が死亡した医療搬送用ヘリコプターの事故。救助された機長が「自分の操縦ミスではない」などと話していることが新たにわかりました。
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「現在も海上保安庁の巡視船がヘリコプターが沈まないように監視を続けています」
事故から一夜、海底に沈まないよう、ヘリコプターには黄色い浮きがつけられ、機体の一部が海面から出ていました。
これは、事故のあと海中で撮影された写真。機体は逆さの状態で転覆しているのがわかります。
搬送中に医師や患者ら3人が死亡した事故。何が起きたのか…
福岡和白病院 富永隆治 院長
「今回の事故は、本当に悲痛の極みであります」
6日夜、亡くなった医師の勤務先で患者を受け入れる予定だった福岡和白病院が会見を開きました。会見などによりますと、長崎県の対馬病院から搬送の要請を受け、医療搬送用のヘリは、6日午後0時半ごろ、福岡和白病院を出発。午後1時半ごろ、86歳の女性患者とその息子を乗せて、医師と看護師、機長、整備士のあわせて6人で対馬空港を離陸しました。
しかし、午後1時43分ごろ、突然連絡が途絶え、病院側は「消息不明」と海上保安庁に通報。午後5時すぎ、海上保安庁の巡視艇が長崎の壱岐島からおよそ30キロ離れた沖合で転覆したヘリを見つけました。
ヘリは浮き具の「フロート」を展開していて、しがみついていた機長と整備士、看護師の3人は救助されました。しかし、女性患者とその息子、男性医師の3人は機内で発見され、搬送先の福岡和白病院で死亡が確認されました。
海上保安庁は7日夜、亡くなった3人について、患者が本石ミツ子さん(86)で、その息子が和吉さん(68)、医師が荒川渓さん(34)だと発表しました。
これは、過去に撮影された福岡和白病院で使用している民間の搬送ヘリ「ホワイトバード」の様子。医師が不足する離島の患者らを受け入れるため、病院は自費でこのヘリを導入していて、2023年の取材の際には「赤字だ」と明かしていました。
対馬の住民にとって“命綱”となっていたヘリ。
住民
「こんな事故があっても、なくてはならない。間に合わないじゃないですか、船でいっていたら」
7日に会見を開いたヘリの運航会社は…
エス・ジー・シー佐賀航空の会見
「このたびは弊社メディカルヘリの不時着水により、3名の尊い命を失う結果になりましたこと、深くお詫び申し上げます。原因は今のところ、まだ判明しておりません」
エス・ジー・シー佐賀航空によりますと、事故が起きたヘリは2013年に製造され、1202時間の使用実績があるとしたうえで、「今月4日の点検で異常はなかった」と説明、「機長の体調も問題なかった」としています。
しかし、この会社をめぐっては、去年7月、運航していたヘリが福岡県柳川市に墜落し、操縦士と整備士が死亡しています。
記者
「国の調査官が和白病院に入ってきました」
今回の事故を受けて、午後4時ごろ、国の運輸安全委員会が調査に入りました。一方、海上保安庁への取材で、機長が「自分の操縦ミスではない」「着水するためのフロートは手動で出した」などと話していることが新たにわかりました。
エンジンやローターなどには大きな損傷が見られず、海上保安庁は、機体のトラブルやバードストライクの可能性もあるとみて事故の原因などを調べています。