猫のリンパ腫とはどんな病気?種類別の特徴や症状、治療法について【獣医が解説】

2025-06-04 17:20

猫のリンパ腫とは

寝転がっている猫

リンパ腫は猫で最も多い血液のがんの一つです。特に消化器型、縦隔型、鼻腔型の発生が多く、犬と異なり多中心型(体表のリンパ節が腫れるタイプ)はまれです。

本記事では、猫のリンパ腫の種類や進行度、治療の選択肢についてわかりやすく解説します。

猫のリンパ腫の種類

くしゃみしそうな猫

リンパ腫はリンパ球が異常に増殖する血液のがんで、猫では発生する部位によっていくつかの種類に分かれます。

猫で多いリンパ腫のタイプ

消化器型リンパ腫

  • 最も一般的なリンパ腫で、小腸や胃、大腸に発生
  • 体重減少、慢性的な嘔吐や下痢が主な症状
  • 高齢の猫に多く、低悪性度のケースも多い

縦隔型リンパ腫

  • 胸の中(縦隔)に腫瘍ができるタイプ
  • 呼吸困難、食欲不振、元気消失が主な症状
  • 若い猫や猫白血病ウイルス(FeLV)感染猫で発生しやすい

鼻腔型リンパ腫

  • 鼻の中に腫瘍ができるタイプ
  • くしゃみ、鼻血、鼻詰まりなどの症状が出る
  • 放射線治療が有効なことが多い

その他のリンパ腫の種類

  • 白血病型リンパ腫:骨髄の中でがん化したリンパ球が増殖
  • 中枢神経型リンパ腫:脳や脊髄に発生し、神経症状(発作、けいれんなど)を引き起こす
  • 腎臓型リンパ腫:腎臓に発生し、腎不全を引き起こす
  • 肝臓脾臓型リンパ腫:肝臓や脾臓に腫瘍ができ、全身の倦怠感や食欲不振を伴う

このように、リンパ腫は発生部位によって症状や治療法が異なります。

リンパ腫は血液のがん

血液検査を受ける猫

リンパ腫は血液のがんの一種であり、ほかの腫瘍と異なり全身に広がりやすい特徴があります。そのため、外科手術で取り除くことは難しく、主に化学療法(抗がん剤治療)が選択されます。

猫のリンパ腫の診断方法

診断には、以下のような検査が行われます。

  • 超音波検査X線検査:腫瘍の部位を確認
  • 細胞診生検:腫瘍細胞を採取し、リンパ腫の確定診断を行う
  • 血液検査:FeLV(猫白血病ウイルス)やFIV(猫免疫不全ウイルス)の感染を確認

リンパ腫の治療法

抗がん剤治療

  • 多くのリンパ腫で最も有効な治療法
  • 高悪性度リンパ腫では生存期間の延長が期待できる
  • 低悪性度リンパ腫では、軽度の治療でも比較的長く生存できることがある

放射線治療

  • 鼻腔型リンパ腫や脳脊髄のリンパ腫に特に有効
  • 腫瘍の局所的な制御に役立つ

対症療法

  • 食欲不振に対する栄養サポート(高カロリー食、食欲増進剤など)

ただし、治療を行っても完全にがんを消すことは難しく、寛解(症状が落ち着いた状態)を目指すのが一般的な治療目標です。

リンパ腫の悪性度:進行の速さが異なる

診察を受ける猫

リンパ腫はその進行の速さによって低悪性度(インドレント)と高悪性度(アグレッシブ)に分けられます。

低悪性度リンパ腫

  • 進行が遅く、治療なしでも比較的長く生存できることがある
  • 主に消化器型リンパ腫で多く見られる
  • 抗がん剤への反応が良好で、数年単位の生存が期待できることも

高悪性度リンパ腫

  • 進行が速く、放置すると短期間で悪化する
  • 縦隔型や腎臓型、肝臓脾臓型などが多い
  • 化学療法を行わない場合、数週間~数カ月で致命的になることがある

一般的に、高悪性度のリンパ腫は化学療法によく反応するが、再発しやすいという特徴があります。そのため、定期的な経過観察が重要になります。

まとめ

寝ている猫

猫のリンパ腫は、消化器型、縦隔型、鼻腔型が多く、犬と異なり多中心型は少ないのが特徴です。リンパ腫は血液のがんであり、完治が難しいことが多いため、寛解を目指した治療が中心となります。また、低悪性度リンパ腫は進行が遅く、高悪性度リンパ腫は進行が速いため、早期診断と適切な治療が猫の生存期間を延ばす鍵となります。

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