石破総理“退陣”報道を「完全否定」 歴代総理3人と異例の会談も…自民党内では“石破おろし”“ポスト石破”の動きが活発化【news23】
参院選での大敗から3日。石破総理の進退をめぐる動きが慌ただしくなっています。23日には各社が「石破総理退陣へ」と報じ、その“進退”に注目が集まりました。しかし、総理は歴代総理との会談後、改めて続投を強調。退陣報道を“完全否定”しました。石破総理の進退はどうなるのでしょうか。
石破総理 “退陣報道”を否定 歴代総理と“異例”会談
読売新聞
「号外です。首相退陣です」
参院選での大敗から3日。突然飛び込んできた“石破総理が退陣へ”というニュース。
号外を受け取った人
「あそこまで(参院選の)結果がひどくて、そのまま居座るのもちょっと厳しいだろうと思っていた」
号外を受け取った人
「関税(交渉)が妥結したタイミングの後での表明ということなので、選挙で負けてすぐ辞めますっていうのよりは責任感はあるのではと思う」
23日午後1時半すぎ、 自民党本部では…
渡部峻キャスター
「今、石破総理が入ってきました。これから歴代総理との会談に臨みます。今、自民党本部に麻生太郎最高顧問が入りました」
麻生太郎最高顧問、菅義偉副総裁、岸田文雄前総理の総理経験者3人と“異例”の会談をおこなった石破総理。会談時間は1時間20分にも及びました。
午後3時20分ごろ、時折、笑顔も見せながら出てきた3人。一方、神妙な面持ちで取材に応じた石破総理は、自身の進退について…
石破総理
「私の出処進退につきましては、一切話は出ておりません。一部にそのような報道がございますが、私はそのような発言をしたことは一度もございません。国民生活というものがきちんと守られるということ、それに向けて全力を尽くしてまいりたいということでございます。報道されている事実は全くございません」
このように話し、“退陣報道”を完全否定しました。同席した森山幹事長は…
自民党 森山裕幹事長
「自民党の現状については強い危機感を持って臨み、党の分裂はなんとしても避けるべきとの考え方が共有されました」
――(森山幹事長は)石破総理はいつまで政権を続けるべきだと考える?
「それは私はいま、申し上げることはご遠慮申し上げます。そんな簡単な話じゃありません」
再びの続投表明に、街では…
50代
「(石破総理)本人は安倍さんの時とか、麻生さんの時やめた方がいいと言っていた割には、ちょっとしがみついているところが情けないと思う」
70代
「意外と長く続くのかなと思いながら見ていたが、選挙の結果がこういう感じだから。人がいないんじゃないかなと思う、誰も(総理を)する人が」
「関税合意が花道」退陣論広がる
これまで「国政の停滞を招かないことが重要」だとして続投を表明していた石破総理。
その理由のひとつ、日米関税交渉をめぐり、日本時間23日午前8時ごろ、親指を立てながらホワイトハウスから出てきた赤沢大臣。交渉が電撃合意となったのです。
この合意が伝えられたあと、自民党の幹部は…
自民党幹部
「総理は権力にしがみつきたかったわけではなく、関税交渉が終わるまで辞められなかっただけだ。今回の合意は花道だ」
こう話し、8月中にとりまとめる予定の党の参院選敗北の検証結果を待ち、石破総理が退陣する可能性を示唆していました。交渉の合意は“退陣の花道”なのか、それとも“続投への免罪符”なのか。
党内からは…
自民党 山田宏参議院議員(Xより)
「日米関税合意しました。これで総理にとどまらなければならない理由は消えたのではないでしょうか。これを花道に退陣を!」
自民党 鈴木貴子衆院議員
「今回の(参院選の)厳しい結果を受けて、速やかな、そして何よりも潔い退陣表明が求められていると思います」
また、自民党の青年局は全国のメンバーらとオンラインで緊急会議を開催。
自民党 中曽根康隆青年局長
「大変声が大きかったのが、総裁および執行部の刷新、そして即時退陣というものでありました」
さらに党の地方組織からも…
自民党 神奈川県連幹事長
「辞任も含めてしっかり説明してもらわないと、とにかく分かりにくいということ。責任の明確化ということで、辞任が一番分かりやすい。その要請です」
一方で、“ポスト石破”をめぐる動きも活発化しています。
2024年の総裁選で、石破総理と最後まで争った高市前経済安全保障担当大臣を支援するグループが23日、都内で会合を開きました。
出席者によると、10人ほどが集まり今後の政治日程などにかかわらず、早期の退陣を求める意見が出たということです。
野党はすでに解散総選挙を意識し始めています。
国民民主党 玉木雄一郎代表
「石破総理の再続投宣言だと思いますが、今後の(自民)党内政局によってはまだどうなるか分かりませんので、我々としては何が起こってもおかしくないように衆議院選挙の準備を加速したいと思います」
狭まる包囲網に、石破総理はどう対応するのでしょうか?
石破総理は辞める?辞めない? 総理経験者3人と会談
藤森祥平キャスター:
23日午後1時過ぎに出た読売新聞の号外には「石破総理退陣へ」と見出しがあり、お辞めになるのかなと思った方も多いかもしれません。この号外が配られた直後に、石破総理は予定されていた歴代総理経験者3人と会談しました。
会談後、今月中にも退陣を表明するとの報道について「報道されている事実は全くない」ときっぱりと否定をしています。
石破総理の本音として、退陣するつもりだが、今のところ否定しておかなければいけない事情があるのか。あるいは、会談を終えて気持ちが変わり続投するつもりなのか、どう考えられますか。
TBS報道局 岩田夏弥政治部長:
官邸の関係者の話によると、退陣という報道が出たことに石破総理はものすごく怒っていると。周辺に対して、「自分は辞めると言った覚えはない」と強く怒っている状態だそうです。
藤森キャスター:
つまり、当初から辞めることは考えていない?
岩田政治部長:
基本的には総理を続けるという考えには変わりはないと思います。3人の総理経験者との会談後の取材で、石破総理は「日米合意が確実に実行されるように国民生活がきちんと守られるということ、それに向けて全力を尽くしてまいりたい」と答えています。
日米関税交渉合意を花道にして、退任しようという「花道論」がささやかれたました。しかし、「日米合意が確実に実行されるよう全力を尽くす」という石破総理の発言を見る限り、心は折れていないと思います。
小川彩佳キャスター:
ただ、“退陣表明”報道が出た後の歴代総理経験者3人との会談で「出処進退の話は出なかった」と石破総理は説明していますが、それはあり得るのでしょうか。
岩田政治部長:
このタイミングで1時間20分も話をして、一つも出ないというのは不自然な気はしますし、永田町関係者はそんなことありえないという受けとめがほとんどです。
ただ、限られた会談ですので、なかなかまだ表には漏れてきてない状態です。
トラウデン直美さん:
各紙が号外で「退陣」と報じているところを見ると、自信を持った報道にみえ、それなりに根拠があるのではと思います。党幹部の誰からなのか、どこからの話なのか気になります。
岩田政治部長:
今回、「総理が退陣する意向を周辺に伝えた、示した」ところまで踏み込んで書いていたメディアは、ごく少数でした。ただ号外となると、簡単に報じられるテーマではなく、総理大臣が退陣の意向するというのは、極めて重いニュースです。
ただ、全体的な状況は、総理を続けさせたい人たち、辞めた方がいいと思う人たち、もう絶対辞めるべきという人たちがそれぞれ動いている状況で、いろんな情報がとにかく巡り巡っている状態です。
藤森キャスター:
「辞めた方がいい・辞めさせた方がいい」という声が、自民党の地方組織や小泉農水大臣から上がってきています。どんどん圧力がかかっている状況を止めることはできますか?
岩田政治部長:
23日もカメラの前で、現役の国会議員、青年局、中堅の方々が“もう退陣した方がいい”と言っているので、辞めるべきだ・辞めてほしいという声は盛り上がって、今のところ、静まる方向にはなっていません。
石破総理の今後の日程は? 28日に両院議員懇談会
藤森キャスター:
今後の政治日程です。
7月28日 両院議員懇談会
8月1日 臨時国会召集
8月6日 広島 原爆の日
8月9日 長崎 原爆の日
8月15日 終戦記念日
8月20日~ アフリカ開発会議
8月下旬? 参院選敗北の総括
自民党の両院議員懇談会が当初の予定より前倒しされました。ここで、石破総理としては続投を表明するんですよね?
岩田政治部長:
「これから、こういうことをやらないといけない」という説明をすると思いますが、当然、そんな簡単に納得はしないでしょう。
トラウデン直美さん:
これだけのスケジュールがある中で、退陣するのも混乱を招くと思います。
岩田政治部長:
8月に広島・長崎の原爆の日、終戦記念日という重要な国としてのイベント行事が続きますし、下旬には国際会議もあります。参議院選挙の敗北の総括も自民党内でやろうという話になっているので、間があるようでないような状態です。
小川キャスター:
総理が、ここまで何が何でもやりたいという思いがあるのは、どの辺りでしょうか。
岩田政治部長:
基本的には区切りというより、続投したいと思っていると思いますが、そういう説明をして、自民党内が本当にもつのかどうか。その辺りになります。
藤森キャスター:
選挙の総括が終わってから退陣表明するとなると、党内の事情を引っ張ったまま国政を続けるということになります。停滞しませんか?
岩田政治部長:
23日の三者会談では「党の分裂を避けなければならない」ということで、一致したといいます。総理を続けることが、党の分裂に繋がるのか・繋がらないのか。その辺りは4人で一致したということです。
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〈プロフィール〉
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行