なぜ?日米合意に“認識のズレ”…相互関税「8月7日から」発動?「合意文書」が作られない“思惑”とは【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-08-01 20:13

ついに合意に至った日米関税交渉をめぐり、早くも“認識のズレ”が明らかになっています。背景には何があるのか。また、詳細を記す「合意文書」が作られない“思惑”とは?

【写真を見る】関税合意に関する日米間の“認識のズレ”

日米間の認識“ズレまくり”の関税合意

高柳光希キャスター:
アメリカと日本の相互関税では、新たな税率が8月1日にスタートするはずでした。しかし、トランプ大統領は「8月7日」から発動する大統領令に署名しました。発動する日付の時点で、既にズレが生じています。

日比麻音子キャスター:
関税の引き下げは各企業にとって待ったなしです。なので「いつ始まるか」は非常に重要です。こんなことがあっていいのでしょうか。

TBS報道局経済部 竹岡建介 記者:
これが“トランプ流”です。アメリカはかねてから、「8月1日から新しい関税率が適用される」と発表していました。しかし結果、一週間ずれており「これが“トランプ流”の表れだ」と話している交渉関係者もいました。

高柳キャスター:
関税合意の認識のズレが生じているのは、他にもあります。

【農作物などの購入について】
日本「決まっていない」
アメリカ「80億ドル(1兆2000億円)分を購入、コメは75%増」

【防衛装備品】
日本「現行計画の範囲内で対応」
アメリカ「年間数十億ドル追加購入」

【事後検証】
日本「トランプ氏と話した認識はない」
アメリカ「不満を感じたら自動車など25%に」

【対米投資約80兆円】
日本「投資や融資など」
アメリカ「トランプ氏の指示で投資」

認識のズレの背景に“合意文書なし” 一体なぜ?

高柳キャスター:
こうした二国間のズレは、なぜ生じているんでしょうか。

TBS報道局経済部 竹岡 記者:
理由の一つは「法的拘束力のある合意文書がない」ことです。なぜ作らないのか。これには“スピード感”を大切にする日本政府の思惑があります。

高柳キャスター:
合意文書を作っていた場合、何が起きていたのでしょうか。

TBS報道局経済部 竹岡 記者:
日本側は、合意文書の作成は「損」だと判断しました。合意文書を作るには時間がかかります。イギリスだと1~2か月ほどかかり、その間も高い関税が課されました。

ある自動車メーカー幹部は「1時間に1億円損し続けている。一分一秒でも早く関税を下げて欲しい」と言っています。そのため日本は「文章作成の時間があるなら、早く関税を下げる」という戦略をとりました。

日比キャスター:
他の国とは文書を作ってないのでしょうか。

TBS報道局経済部 竹岡 記者:
イギリスは合意文書を作成しましたが、ベトナムやフィリピン、EUとは現時点で合意文書を全く作られていません。

日米合意で日本が一番恐れたのは、合意文書の作成までに、閣僚間や首脳間で詰めの協議が必要なことです。

トランプ大統領は交渉の達人で、1交渉する度に“1おみやげ”=譲歩を求めてきます。日本側からすると、「せっかく良い合意がまとまっているのだから、これ以上やぶへびな形で新たな取引を持ちかけるのは避けたい」と考え、今回は合意文書を作りませんでした。

スピード感重視の合意で日本に損は

日比キャスター:
これまでのズレを見ると、あやふやな条件があまりに多く、日本が損していないか不安になります。

TBS報道局経済部 竹岡 記者:
スピード感を取った一方、曖昧なところがたくさんあります。もしかすると、トランプ大統領が「日本はアメリカと約束したことを実行していない」と主張して、また関税を引き上げる可能性もあります。火種というのは常に残っている状態です。

南波雅俊キャスター:
アメリカは日本に限らず、世界各国に対して「関税」というカードで、交渉を有利に進めてきました。今はまとまっていても、今後、新たな交渉になる可能性もあるのでしょうか。

TBS報道局経済部 竹岡 記者:
ベッセント財務長官は「3か月に1回、合意の実施状況をチェックして、トランプ大統領が不満ならば関税率を元に戻す」という“脅し”のようなことも言っています。いったん合意したので一件落着、とはいかない見通しです。

日比キャスター:
今のところ日本のメリットはどこなのでしょうか。

TBS報道局経済部 竹岡 記者:
自動車関税が15%に下がったことは、政府内でも評価されています。自動車メーカーからも、「いまは円安なので15%でも苦しいが、25%よりかはマシ」という声が聞こえてきています。

また、合意文書がないメリットとして、ある経済官庁の幹部は「トランプ政権の任期終了後に合意文書がないと、うやむやにできる」と話しています。

文章があれば、国家間の約束なのでトランプ政権終了後も高い関税率が続きます。しかし、あいまいにさせておくことで、「あくまでトランプ政権ときの話。関税をもう1回見直してください」と言うことができます。

合意文書がなくても、交渉の余地を残すことで、日本が逆手に取ってうまく進められる可能性もあります。

日比キャスター:
この影響を受けているのは、特に中小企業の皆さんだと思います。一刻も早く安心できる交渉を進めて欲しいですね。

TBS報道局経済部 竹岡 記者:
赤沢経済再生担当大臣も、「今すぐにでも自動車関税を下げてほしい」とアメリカに強く要望してるようなので、一刻も早く下がることが一番だと思います。

================
<プロフィール>
竹岡建介 記者
TBS報道局経済部
不動産業界や経済官庁を取材

  1. 【 松村沙友理 】 「我が家のわんこ2匹目は こいしちゃん(♀)です」「今後とも いとし・こいし をよろしくお願いします♡」 新しい〝家族〟を紹介
  2. 【きょうの天気】北陸・東北の日本海側で雨、山沿いや内陸中心で雪に 関東~九州の太平洋側は晴れ 東京の最高気温は19℃で過ごしやすい陽気に
  3. 7月-9月期のGDP改定値 年率2.3%のマイナスに下方修正 企業の設備投資がマイナスに転じる
  4. “18.3兆円規模”補正予算案きょう審議入り 衆参両院の本会議で
  5. 香港マンション火災 追悼メッセージなどの撤去作業始まる 159人死亡、いまだ31人と連絡とれず
  6. 『絶対に家に帰りたくない』と駄々をこねる犬→『お友だちの名前』を言った瞬間…まさかの光景が131万再生「愛の力は偉大」「判断が早いw」
  7. 【 訃報 】歌手・白根一男さん 死去 89歳 『次男坊鴉』(1955 年)、『はたちの詩集』(1961 年)など数々のヒット曲
  8. 風俗店事務所の冷凍庫内から性別不明の乳児の頭部と手足見つかる 事務所の出入り口は常に鍵のかかってない状態 東京・墨田区
  9. 片手で抱っこできるほど小さかった赤ちゃん犬→5年後…まさかの『衝撃的なビフォーアフター』に反響「可愛さは変わらない」「チャーミング」
  10. タイ人少女“違法労働”事件 マッサージ店経営者の51歳男を追送検 当時12歳のタイ人少女にみだらな行為させた疑い 母親は今月中に日本かタイに移送される見通し
  1. 【速報】俳優・清水尋也被告が初公判で起訴内容認める 麻薬取締法違反の罪 裁判官から「言いたいことはありますか?」と問われ「いえ、大丈夫です」東京地裁
  2. 10月経常収支2兆8335億円黒字 10月単月として過去最大の黒字幅
  3. 真珠湾攻撃から84年 ハワイで追悼式典「分断ではなく理解する道を選んでほしい」若い世代へ呼びかけ
  4. 【 浜崎あゆみ 】 「家族が2人増えました」 保護犬猫団体に感謝 「この出会いを有難う!」「世界は救えずとも、ひとりの世界を救うことは出来ると信じて」
  5. タイ軍がカンボジア領内に空爆 カンボジア軍の攻撃で兵士5人死傷と発表 カンボジア国防省「タイ軍が攻撃」「反撃していない」と反発
  6. ご飯を食べようとしない犬→心配になり、病院に連れて行った結果…医者に告げられた『まさかの診断名』に反響「おもろすぎw」「愛くるしい」
  7. 【速報】10月の「実質賃金」10か月連続マイナス 前年同月比0.7%減 厚生労働省
  8. 【速報】木原官房長官「中国側の指摘は当たらない」と反論 中国軍機が自衛隊機にレーダー照射
  9. 『遊んでほしい』とアピールする犬→おててを見てみると…まさかの『器用すぎるお誘いの仕方』が22万表示「礼儀正しくて草」「健気な誘い方w」
  10. 【 工藤静香 】 新潟でディナーショー 「この日、この瞬間を楽しみに待っていてくださった皆さま 大切なお時間を私のために使ってくださり、本当にありがとうございました」
  11. ラブホに『のぞき目的』で侵入 小学校教諭(30)現行犯逮捕 教諭は「利用するつもりはなかった」
  12. 宮藤官九郎が主演・阿部サダヲ×磯山晶Pと再タッグ 『新年早々 不適切にもほどがある!』が問いかける“今”と“これから” 【ドラマTopics】