【記者解説】ウクライナ侵攻後初の米ロ首脳会談へ 停戦どうなる?トランプ氏、プーチン氏の思惑は【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-08-15 19:15

ウクライナ情勢をめぐりアメリカのアラスカで16日、米ロ首脳会談が行われます。トランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領らも含めた2回目の会談につなげたい考えですが、進展は見られるのでしょうか?

【写真を見る】米ロ首脳会談「成功しない可能性も25%ある」

侵攻後初の米ロ首脳会談…内外から関心集まる

高柳光希キャスター:
ロシアがウクライナに侵攻してから、8月で3年半となります。

侵攻後、初めてとなる米ロ首脳会談が、アメリカ・アラスカ州のエルメンドルフ・リチャードソン米軍基地で日本時間の16日早朝に行われます。

ロサンゼルス支局 小川健太 記者:
16日、米ロ首脳会談が行われる、米軍基地前に来ています。現在の時刻は午後11時半ですが、首脳会談が行われるということで、現地メディアや海外メディアが首脳会談に備えている状況です。

高柳キャスター:
なぜ首脳会談の会場にアラスカ州が選ばれたのでしょうか。

ロシア・プーチン大統領は、ウクライナ侵攻による戦争犯罪の疑いで、ICC(国際刑事裁判所)から逮捕状が出されているため、行ける場所が限られています。それに加え、アメリカはICCに加盟していません。

さらに地理的な要因も含まれており、ロシア・ウシャコフ大統領補佐官は「米ロは国境を接する隣国だ。代表団がベーリング海峡を越え、重要な首脳会談をアラスカで行うことは、理にかなっている」と発言しています。

米ロ首脳会談は、日本時間の16日午前4時半から行われます。まず、記者団の前でそれぞれの首脳が発言をした後、首脳に加え両国代表団(5人ずつ)が、ランチミーティングを行います。その後、共同で記者会見が行われるというスケジュールとなっています。

南波雅俊キャスター:
首脳会談が間近に迫る中で、アメリカの皆さんの受け止め方や温度感はどのように感じていますか?

小川記者:
アメリカ・アンカレジ市内を取材する中で、ウクライナの国旗を持った数百人単位の市民が集まっており、ウクライナに連帯を示すような行動が見られました。

今回の首脳会談は、ウクライナ・ゼレンスキー大統領が不在の中で行われる会談ということで、「会談の開催自体に意味があるのか」と違和感を持つ人や、ICC(国際刑事裁判所)の戦争犯罪の容疑者でもあるプーチン大統領がアラスカ州に訪れることを快く思っていない人など、市民は首脳会談に大きな関心を寄せています。

当初より発言がマイルドに…トランプ大統領の思惑は

高柳キャスター:
米ロ首脳会談の開催が発表されたのは、8月8日でした。

当初、トランプ大統領は「双方の利益になるように、領土の交換が行われるだろう」と発言し、ロシアとウクライナ間の領土の交換について言及していました。

しかし、8月13日には「今回の会談は、現在地を確認するようなものだ」と発言がマイルドになったような気もします。

小川記者:
今回の首脳会談が、和平交渉を巡る大きな進展が望めない中、首脳会談への批判をかわす狙いもあるとみています。

8日、首脳会談の開催が決定した際には、トランプ大統領は領土の交換について言及しましたが、当事者であるウクライナ抜きの議論に、ウクライナやヨーロッパが反発したのはもちろん、ロシア側もトランプ大統領が言う「領土交換」には納得できない姿勢を示しました。

このように依然として領土問題が平行線をたどる中、今回の首脳会談で停戦の道筋を見出すのは難しいとみられています。

こうした中で、トランプ政権は、会談の期待がされすぎないよう、少しずつ発言をトーンダウンし期待値を下げ、予防線を張っている形です。

一方、万が一領土問題に関する進展があれば、サプライズとして思いきりアピールできるため、どちらに転んでもいいような流れを作っているようにも感じられます。

「会談によってロシアの孤立は崩壊する」会談後ロシア包囲網はどうなる?

高柳キャスター:
米ロ首脳会談の後、今後はどうなっていくのでしょうか。

トランプ大統領は「もっと重要なのは2回目の会談だ。プーチン大統領とゼレンスキー大統領に加え、ヨーロッパの首脳も参加するかもしれない」と発言をしています。

そして、ロシア側に対しては厳しい発言が目立っています。8月13日には「ロシアが停戦に応じなければ、厳しい制裁措置に踏み切る」「会談が良いものになるか、悪いものになるかは、最初の数分でわかる。もし悪い会談になれば、短時間で終わるだろう」とも話しています。

今回の首脳会談における、プーチン大統領の狙いはどこにあるのでしょうか。

小川記者:
様々な見方がある中で、ニューヨーク・タイムズは「プーチン大統領がアメリカの大統領と会談するという事実そのものが、ロシアにとって外交的な大きな勝利だ」と伝えています。

ロシアに対して、これまで西側諸国が経済制裁などを通じ、ロシア包囲網を形成してきました。そうした中、米ロ首脳会談はとりわけ大きな意味を持っていて、ニューヨーク・タイムズは専門家の話として「会談によって、ロシアの孤立は崩壊する。会談結果がどうであれ、既に成功だ」と伝えています。

そして、この機を逃すまいとしてか、プーチン大統領もトランプ大統領による仲介について、「誠実に努力を続けている」と賛辞を送っています。

今回の会談後、両首脳の共同会見が予定されています。その内容や次の会談への道筋はもちろんのこと、会見におけるプーチン大統領とトランプ大統領の距離の近さや空気感が、今後どのようにヨーロッパ諸国とアメリカの関係に影響するのか。この辺りにも注目していきたいなと感じています。

日比麻音子キャスター:
一言一言、慎重に注目されることになりそうですが、現地の警備体制などの現状は、どのようになっているのでしょうか。

小川記者:
現状、アンカレッジ市内を車で巡る中で、とりわけ大きな警備体制が敷かれているとは感じていません。というのも、首脳会談自体は米軍基地の中で行われる予定で、両国首脳はそれぞれ飛行機で基地内に入るため、市内がものものしい雰囲気ではないといえます。

================
<プロフィール>
小川健太
米・ロサンゼルス支局記者
アナウンサーから転身
行政や事件取材を担当

  1. 「しおり作りワークショップ」成功の手応え! 東京書房と川崎フロンターレが読書週間に体験型イベントを開催
  2. 【速報】日経平均 一時700円以上値上がり ダウ平均最高値更新などを受け
  3. 『佐倉天然温泉 澄流』が開催する『澄流9周年祭』で特別な温泉体験を!
  4. フレッシュトークショー「ホラン×サッシーのカイギカイギカイギ」後輩指導、告白、気付きを描く第二夜放映のお知らせ
  5. 「金を出せ」深夜のコンビニ強盗 男が店員に刃物向けレジから現金22万円奪う 男は現在も逃走中 埼玉・鴻巣市
  6. 『戻れないように』と足を折られ、山に捨てられた猟犬→片目も失い…壮絶な物語と『現在の光景』が77万表示「なんて酷い…」「本当に良かった」
  7. 女の子を起こしに行った犬→なかなか戻ってこないので、様子を見に行ったら…まさかの光景に爆笑「ミイラ取りがミイラにw」「心変わりで草」
  8. Utility Global は 京セラと経済的に脱炭素化を実現する H2Gen® の製造拡大に向けた戦略的提携で合意 製鉄
  9. 耳の聞こえない男性が『手話で犬とコミュニケーションをとった』結果…言葉が無くても『心が通じ合っている光景』に絶賛「愛感じる…」「すごい」
  10. 突然現れた『1匹の野良犬』→保健所に収容されて…1年後の『奇跡の物語』に感動の声「幸せそうな表情で泣いた…」「なんてお利口さんなの」
  1. 【授業中】教師を追いかけて『暴行』 男子中学生(14)現行犯逮捕 ネットは「やはり教室にも防犯カメラが必要か…」
  2. 女の子を起こしに行った犬→なかなか戻ってこないので、様子を見に行ったら…まさかの光景に爆笑「ミイラ取りがミイラにw」「心変わりで草」
  3. 口裂け女ブームはなぜ社会問題になった?1979年の日本で何が起きていた?
  4. 『戻れないように』と足を折られ、山に捨てられた猟犬→片目も失い…壮絶な物語と『現在の光景』が77万表示「なんて酷い…」「本当に良かった」
  5. バス車内で『女子生徒にわいせつ行為』 県立高校教諭(29)逮捕 教諭は「やっていない…」
  6. 突然現れた『1匹の野良犬』→保健所に収容されて…1年後の『奇跡の物語』に感動の声「幸せそうな表情で泣いた…」「なんてお利口さんなの」
  7. 耳の聞こえない男性が『手話で犬とコミュニケーションをとった』結果…言葉が無くても『心が通じ合っている光景』に絶賛「愛感じる…」「すごい」
  8. 「金を出せ」深夜のコンビニ強盗 男が店員に刃物向けレジから現金22万円奪う 男は現在も逃走中 埼玉・鴻巣市
  9. 追いかけっこをして遊ぶ『パパと猫』を見ていると…思わず笑ってしまう光景が21万再生「お互いワクワクw」「絶妙でクセになる」とSNSで反響
  10. 「贅沢スープ」なぜ人気?バリスタ“ふわふわ仕立て”や5時間煮込みの“透明スープ”【THE TIME,】
  11. トランプ大統領の考えは「日中両国と良好な関係を維持・構築できる立場にあるべき」と米報道官 中国が日本への反発を強める中で
  12. キャッシュレス社会の実現はどこまで? 30の支払いシーンから見る利用実態と世代間ギャップ