ライカ犬に火星の土地!奇想天外な宇宙ブームが日本を席巻!【アーカイブ秘録】

毎年9月12日は「宇宙の日」。これは宇宙飛行士・毛利衛さんが1992年9月12日に日本人科学者として初めてスペースシャトル「エンデバー号」に搭乗したことを記念して制定されました。しかしその35年前に、日本を熱狂させた空前の「宇宙ブーム」が巻き起こっていたことを知っていますか?きっかけは一匹の犬と旧ソ連の人工衛星でした。(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)
【写真で見る】「ロケットサンド」「火星土地権利書」「人工衛星流花道」…奇想天外な宇宙ブームが日本を席巻!
ライカ犬がスーパースターに!
1957年(昭和32年)11月3日、旧ソ連の人工衛星「スプートニク2号」に一匹の犬が搭乗していました。名前はライカ(クドリャフカ)です。この打ち上げ成功のニュースが報じられると日本に一大宇宙ブームが巻き起こったのです。
犬を乗せて回転するスプートニクをかたどった広告塔や人工衛星を模したデコレーションが東京・銀座のデパートに設置されました。
宇宙メニューに火星の土地!?
このブームは人々の日常にも浸透していきました。東京・大田区の商店街にあったレストランでは「ロケットサンド」や「ムーンランチ」、「宇宙飲料ミサイル・ジュース」や「円盤スープ」といったユニークな名前の宇宙食が提供され、大勢の客で賑わいました。さらに日本宇宙旅行協会が「火星の土地」を販売!天体写真で分譲地の説明を行う社員の姿もありました。七五三の衣装にも影響が出ていました。当時のヒーローだった月光仮面やスーパーマンの衣装の隣に宇宙服が並べられていました。
斬新な「人工衛星流花道」
「人工衛星流花道」という奇想天外なアートも誕生。レインシューズに花を生けたり、土管に電球と犬の置物を乗せた先生の作品「犬を乗せてドカンと打ち上げ」などが紹介されるなど宇宙を表現する斬新な作品が次々と生み出されたのです。
歳末大売り出しの目玉展示は「ライカは生きていた」
商店街の歳末大売り出しの時期には集客の目玉ディスプレイとしてスプートニクの模型が飾られました。タイトルは「ライカは生きていた」。スプートニクの中には生きた子犬が入れられ、大勢の人々が見守る中、地球に帰還する演出がなされました。
「地球は青かった」のガガーリン少佐TBSに出演!!
1962年5月22日には、人類で初めて宇宙飛行に成功した旧ソ連の宇宙飛行士ユーリー・A・ガガーリン少佐がTBSの番組「圭三ショー」に出演しました。通訳を介して話す様子や、子どもたちの質問に答える様子が当時の映像として残されていました。
この旧ソ連の快挙にアメリカも負けてはいません。「アポロ計画」で月を目指し、宇宙開発競争はさらに加速していくのです。