“6輪のミニバン”や“走るリビング”…海外勢に勝つための新しい「クルマのカタチ」とは?【Bizスクエア】

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2025-11-05 06:40
“6輪のミニバン”や“走るリビング”…海外勢に勝つための新しい「クルマのカタチ」とは?【Bizスクエア】

 EV(電気自動車)の覇権争いが本格化する中、メーカー各社の戦略とは?大学時代は自動車部に所属し、A級レーサーでもある皆川玲奈キャスターが最先端の現場で聞く。

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「センチュリー」のクーペに“江戸彫金”や“西陣織”

10月30日、日本最大級の乗り物などの祭典「ジャパンモビリティショー2025」が東京ビッグサイト(東京・有明)で開幕した。

今回は、過去最多となる517の企業や団体が出展。
自動車の国内A級ライセンスを持つ皆川玲奈キャスターと、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の選考委員でもあるモータージャーナリストの小沢コージさんが各社注目のクルマを取材した。

まずは世界販売トップの『トヨタ自動車』。
大衆車のイメージが強い「カローラ」がスポーツカーデザインになったコンセプトカーや、タイヤが前2つ後ろ4つの“6輪”になった「レクサス」のミニバンなどが展示されている。

この6輪車。後輪が前輪より小さいのが特徴で、後部座席のスペースが広がるため快適さが増しているという。

中でも力が入っていたのが、最高級ブランド「センチュリー」のコンセプトカー。

センチュリーは皇室が御料車としても使用している「黒いセダン」というイメージが強いが、今回発表されたのは「オレンジカラー」のスポーティーな「クーペ」。

エンブレムには江戸彫金。シートには西陣織などを豪華に取り入れ、「日本のものづくり」を強調した世界に一台だけの試作車だ。

『トヨタ自動車』豊田章男会長:
“最高峰にして別格のクルマ”。このクルマは日本を背負って生まれたと私は思っている」

センチュリーのクーペは「今回のモビリティショーですごくビックリした1つ」と話すモータージャーナリストの小沢コージさんが、開発の狙いを聞いた。

――豊田会長がブランド化して、これで世界に打って出る?

『トヨタ自動車』清水竜太郎さん:
「まずはコンセプトモデルを出した。センチュリーがもともと大事にしていた日本のものづくりや日本の技術・伝統みたいなものをしっかり使って、『ジャパンプライド』という言葉も豊田会長から出ていたが“世界に誇れる日本のものづくりの象徴”みたいな形でやっていきたいと思っている」

――トヨタが本気で富裕層ビジネスに参入する?

清水さん:
「富裕層向けに参入ということも考えていけたら」

レクサスを超える高級ブランドとしてセンチュリーを育て、これまでロールスロイスを買っていたような富裕層向けの市場に打って出る構えだ。

「エルグランド」“16年ぶり”フルモデルチェンジ

経営不振からの復権を狙う『日産自動車』の注目は、16年ぶりにフルモデルチェンジした高級ミニバン「エルグランド」だ。

自慢の車内を見た小沢さんは「やっぱりシートが立派」と口にし、皆川アナは「パネルにちょっとびっくりした」と若干興奮気味に。

そのパネルというのは、運転席のディスプレイ。2つのスクリーンを繋げた横長デザインで、国内モデル初となる「14.3インチ」の大画面。速度計やカーナビなどを1つの画面で表示できるのが特徴だ。

ライバルであるトヨタ「アルファード」の牙城を切り崩したいと話す。

『日産自動車』中村智志さん:
「16年ぶりになるので相当気合が入っている。今回、エルグランドを待ち望んでいた客、あとエルグランドを知らない客もいると思うが、“日産のフラッグシップとして出す”。日産の復活をかけてトップエンドのクルマとしてこれが“日産の象徴的なクルマ”だと」

さらにEV(電気自動車)、新型「リーフ」も展示している。

モータージャーナリスト・小沢コージさん:
――EVはいろんな意味で競争が激化している。今回の3代目リーフはどういう勝負に出たのか

『日産自動車』遠藤慶至さん:
「航続距離を700キロ、正確に言うと702キロまで伸ばした。客の“三大不満”『航続距離・充電が長い・インフラを見つけづらい』、これら3つをすべて克服して、いままでガソリン車しか考えなかった客に乗ってもらいたい」

高級ミニバンとEVの二本柱で、復活への道筋を描く戦略だ。

24年ぶりにハイブリッドで復活「プレリュード」

『ホンダ』のブースで目を引いたのは、24年ぶりに復活した「プレリュード」。

「プレリュード」は、1978年に登場したホンダを代表するクーペで、80年代「あっしー君」と呼ばれた若者のデートカーとして人気だった車種。
それが、“操る楽しみを凝縮”したクルマに生まれ変わって登場した。

『ホンダ』三部敏宏社長:
「いまのホンダを象徴するような粋なクルマが欲しいと、強いこだわりをもって開発に踏み切った。だからもちろん“いま私も愛車でもありとても気に入っている”

そして、EVの新たなコンセプトカー「ゼロ アルファ」は、SUVタイプ。
独自のソフトウェアを搭載し、運転する人に合わせてクルマがバージョンアップしていくという。

三部社長:
「走る・まがる・止まるは絶対の自信がある。それは過去からまったく変えずにソフトウェアの価値をその上に乗せて、“今までのクルマの価値とは違うクルマ”を作っていきたい」

このゼロ・アルファ、2027年からインドを中心に「アジア市場での投入」を狙っているという。

『本田技術研究所』福井 拓さん:
「インドならではの自動車の道路環境とかもある。“洗練されたデザイン”+悪路でも安心して乗ってもらえる“パワフルでタフネス”を感じられるように力強さを意識してデザインしている」

モータージャーナリスト・小沢コージさん:
――インドというと正直『スズキ』が強いイメージ。「安さ」というコストが頭にくると思うが

『ホンダ』廣瀬敏和さん:
「そのためインドで作っていて、そこの肝はインドでどれだけ現地で部品を生産できるか」

運転席も回転「走るリビング」

『マツダ』や『SUBARU』、『三菱自動車』、『スズキ』なども意欲的なクルマを発表する中、今回は、日本市場を狙った海外勢のEVも多く発表された。

中国の『BYD』が打ち出したのは、ワゴンタイプのEV軽自動車「ラッコ」。

『BYDオートジャパン』東福寺厚樹社長:
「ラッコは日本の軽規格にあわせて開発した“BYDとして初の海外専用モデル”になった」

人気のスライドドアを採用し、日本の新車販売の4割を占める軽自動車市場に参入する。

さらに、台湾の「ホンハイ」傘下の家電メーカー『シャープ』もEVに参入。

コンパクトミニバンタイプの「LDK+」は、運転席を回転させることで対面空間を実現。格納式テーブルやプロジェクターを搭載するなど、“走るリビング”が最大のアピールポイントだ。

『シャープ』大津輝章さん:
“クルマの中を部屋として使ってもらう”という発想。基本的にクルマは、走っている時間は5%以下。残りの95%は駐車場に止まっている。これがわれわれが目をつけたところ」

皆川アナ「もうちょっと夢が欲しい」

今回のモビリティショーでは、「コンセプトとは言いつつも、もう数年後には売りたい。売れるクルマを出してきたな」という印象を受けたと話す皆川アナ。
またEVの軽自動車では日本勢がもっと頑張らないとという危機感も感じたという。

一方、小沢さんは少し違う感想を持ったようだ。

モータージャーナリスト・小沢コージさん:
「もっとすごい未来を予想していたが、“明日来るぐらいの未来”を提案してきて僕的には安心した。でも皆川さん的には不満?」

皆川アナ:
“もうちょっと夢が欲しい”。大学生の時にずっと通っていた東京モーターショーは、もうちょっと先の未来でコンセプトが奇抜で、あのときは見たことがないクルマの形だった。いまはもう逆に、そこの時代に追いついた感覚もある」

小沢さん:
「だってもう2025年、未来ですよ、今。もうリアルを見せないと。そういう感じがした」

(BS-TBS『Bizスクエア』2025年11月1日放送より)

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