民族の言葉そして狩猟…未来に繋ぐ台湾「多文化教育」【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-11-22 15:20

“民族の言葉”が消滅しかかっていた台湾。「言葉が消えるということは、民族が消滅すること」。“民族の言葉や文化”を未来へつなぐため児童が言葉に触れ、狩猟や魚とりを体験する。多文化教育の最前線を切り開く台湾の小学校を取材しました。

【写真で見る】教室に生徒はたった1人 自身の母語を学ぶ女の子 

生徒がたった1人でも…台湾で導入の“母語教育”

先生
「文の最初と最後の音を正確に読んでみましょう」

台北市内にある小学校で行われているのは、少数民族タロコ族の言葉「タロコ語」の授業です。

タロコ族の生徒
「以前は話せなかったけど、今は話せるようになりました。(自分の)文化を理解したいです」

台湾では1994年以降、段階的に“母語教育”が導入され、今では小学校~高校まで週1回、民族の言葉である“母語”を学ぶことが義務付けられています。

タロコ語の授業を受ける生徒はたった1人。しかし、どんなに対象生徒が少なくても、学校は生徒が希望する言語の先生を探し、教育を受けさせる義務があります。

「言語の消滅は民族の消滅」“母語教育”の意義

なぜ、このような取り組みが必要なのでしょうか。

張秀英 先生
「私たちの言葉は絶滅の危機にありました。今最も大切にしているのは言葉の復興です」

台湾には、古くから台湾に住む中華系の人々が使う「閩南語(びんなんご)」や「客家語(はっかご)」の他、16の先住民族にそれぞれの言葉が存在します。

しかし、日本統治時代には日本語教育が行われ、その後、中国本土から渡ってきた国民党は中国語を「国語」としました。結果、各民族の言葉は消滅しかかっていたといいます。

母語教育を推進するプロジェクトメンバーの張校長は、母語教育の意義をこう強調します。

台北市内南港国民小学校 張嘉芬 校長
ひとつの言葉が消えるということは、ひとつの民族が消滅すること。台湾でもひとつの言葉しか使えない時期がありました。今後、台湾に多様な言語が話される美しい光景が戻ってくることを心から願っています」

“言葉が失われる”。それは文字だけでなく、家族のルーツを失うことも意味します。

台湾の取り組みは、言葉を保存することの難しさと大切さを教えてくれます。

衣装・踊り・狩猟 言語に限らない「文化の継承」

台中にある民族文化の教育を中心とした小学校。57人いる児童のほとんどが「タイヤル族」です。

タイヤル族は、農業や狩猟をして暮らしていましたが、年々、民族の文化を知らない若者が増加。

この学校では、児童が自ら伝統的な資料などを体験し、学びます。

記者
「午後の授業が始まりましたが、このクラスでは民族が日常的に使うカゴを制作しています」

慣れない授業に悪戦苦闘する子どもたち。作っているのは、タイヤル族が農業や狩りをするときに使うカゴです。

タイヤル族の女性
「よく見て、上に引っ張って、上下になってるでしょ」

児童
「ここはこうしたらいい?」

他のクラスでは、タイヤル族の伝統的な踊り。さらに民族衣装を着たり、伝統的な染め方で色付けした服を着たり、タイヤル族の文化や習慣を学びます。

タイヤル族の民族衣装を着た児童
「すごくかっこいい。だけど、ちょっと体がチクチクかゆい感じがして、日中は数分外に出ただけですごく暑いです」

胡家豪 教務主任
「今日やらなければ、明日タイヤル族はいなくなる。文化を伝承し教育しなければ、文化も言語も失われてしまい、民族そのものが消えてしまうかもしれません」

タイヤル族の男性は狩りに出ることも多いため、この学校では卒業前、特別な授業があります。猟銃の使い方を伝授します。

猟銃の授業を受けた児童
「さっき射撃練習してた時、初めて撃つ時はちょっと緊張した」

先生「何を獲った?」
児童「イノシシだ」

全ては民族の文化を守るため。他にも伝統的な魚とりや植物採集など、できる限りを継承していきます。

先住民族の歴史の灯を絶やさぬように、山間の小さな小学校が、台湾の多文化教育の最前線を切り開いています。

“失われつつある多様性”を守るには

藤森祥平キャスター:
自分たちの使っている言葉が消えていくということは、正直、私たちの感覚ではピンとこないところもあります。

クイズプレーヤー 伊沢拓司さん:
民族の定義は複数ありますが、使っている言語によって分類されるというのが民族の一つの定義だと思います。「言語が失われていく」ということは「民族そのものが失われていく」こととイコールになってくるわけです。

台湾では2019年から施行された法律により、どんなに人が少なくても、その言語を学びたい生徒がいたら教えるという教育方針になっています。言語に線引きをしないところが、本質的な多様性なのかなと思います。

「これはOKで、これもOKにしよう」が多様性なのではなく、ありとあらゆるカオスや境界線のなさを許容するのが、本来、多様性のあり方だと思います。1回線を引くと、その線を中心にどんどん分断されて、多様性から外れていってしまうわけです。

台湾においてそれを行ったのは、日本の支配であり、中国国民党の支配であり、そうした文化があったからこそ、台湾の多様性は1回失われてしまった。

なくなってしまったものを戻すことはできないからこそ、ありとあらゆる境界をなくして、全てを1回受け入れる、カオスをそのまま受け入れるという多様性の本来的な意味が、台湾の法律によって、どれだけ守られていくのか、回復していくのか。今後、多様性について考える上で、すごく重要なベンチマークになると思います。

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<プロフィール>
伊沢拓司さん
株式会社QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中

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