今永昇太「アヒルが初めて見たものを親と認識するような感じ」残留決断の裏に“カブスへの思いと決意”「逃げ道はない」

去就が注目されていた今永昇太(32、カブス)が、単年契約でカブス残留を決めた。その決断の裏には「退路も断ってやれるのが一番」という強い決意とカブスへの思いがあった。
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残留発表の翌日、今永は「すごい大きな決断ではありますけど、ひとまず来季プレーする場所が決まったんで、それはすごく安心感はありますね」と安堵した。1年目は日本人左腕初の15勝を挙げるなど、鮮烈なメジャーデビューを飾った今永。今季は怪我で戦列を離れながらも25試合に登板したが、9勝8敗、防御率3.73。8月以降はわずか1勝にとどまり、プレーオフでも2試合に登板(うち1試合に先発)して、1敗、防御率8.10と苦しんだ。
3年目以降については、シーズン終了後、球団が契約延長の権利(3年総額約86億円)を行使するかどうかを判断することになっていて、待つしかない状況の中で今永は心境を明かした。
「MLBは、もう明日何があるかわからないっていう世界なんで、僕の中ではもうそれもひっくるめて全てひっくるめて、『アメリカだろ』っていうのが僕の合言葉なんで。もちろんシカゴに2年いたんで愛着もありますし、この街が好きですし、過ごしやすい。アヒルが初めて見たものを親と認識するような感じで、僕にとっては初めて来た街、初めて見たファンの方々、初めてプレーしたグラウンドがシカゴ・カブスっていうことはもう変わりないんで一生。そういう意味ではカブスで一番初めプレーして、すごい良かったなと思いますね」
その後、11月にカブスが今永の3年の契約延長の権利を破棄。今永も単年契約(約23億円)できるオプションを持っていたが、行使しなかった。しかしFAとなった今永に、カブスはクオリファイングオファー(QO※)を提示。現地で高い評価を得ていた今永は、他球団で複数年契約を勝ち取れると報じられていたが、最終的に、今永は単年契約でカブスに残留することを選んだ。(※QOとは、球団が手放したくないFA選手に対し、規定額で単年契約を提示し、選手が拒否して他球団に移籍した場合、旧所属球団はドラフト指名権の補償を受けることができる制度)
今永の代理人を務めるオクタゴン社の長谷川嘉宣・アジア統括本部長はカブス残留の経緯を次のように説明した。
「来季、今永くんのパフォーマンスは間違いなく大丈夫だと。慣れた環境でもう1年やれば、1年目の2024年のような結果が出せるんじゃないか。もう1年、同じ環境でプレーした方が彼にとってもパフォーマンスが出せるんじゃないか。原因が分かってる問題だったのでその原因を解決すれば自ずと結果は出るだろう、そういう考えです」
今永自身も強い決意があった。
「退路も断ってやれるのが一番だと思うんで、保険をかけないっていう。腐っても勝負師だと思うんで、1年契約なんで結果出なかったらまず終わりですし、怪我しても駄目ですし、逃げ道はないので。でもその方が自分にとってはやりやすいのかなと思いますね。いいシーズンを終えられるように頑張りたいと思います」
メジャー3年目へ、再び二桁勝利を目指し左腕が再起をかける。