【15人死亡・シドニー銃撃事件】「犯人は自信満々に走り回り撃ってきた」 緊迫の現場とらえた新映像 高まる“反ユダヤ主義”…分断の懸念強まる【news23】
オーストラリアで15人が犠牲となった銃撃事件、当時の緊迫した状況をとらえた新たな映像には子供の叫び声も記録されていました。撮影した人は「犯人は自信満々にあたりを走り回り弾を一発ずつ撃ってきた」と証言しました。
「どれだけ撃ち続けるんだ?」緊迫の現場
撮影者
「撃ってきている!橋の上にいる!」
イスのかげで身を隠す男性。JNNが入手した新たな映像からは、何発もの銃声が鳴り響き、周辺から子どもの叫び声も聞こえます。
撮影者
「警察はどこだ?撃ち続けている!どれだけ撃ち続けるんだ?」
映像では5分以上銃声が聞こえました。
銃声がおさまり、撮影者が移動をすると、広場には倒れ込んでいる負傷者が何人もいました。
「助けが必要だ」
撮影者は当時をこう語ります。
撮影者
「犯人は自信満々に辺りを走り回っていた。ベルトかポケットの中の弾を装填して、一発ずつ撃ってきた。銃を持っていた警察官が目の前で撃たれて、助けに行ったんだ」
容疑者親子 “イスラム過激思想”に影響を受けた可能性も
15人が犠牲となったシドニーのビーチで起きた銃撃事件。この日はユダヤ教の祭り「ハヌカ」を祝うイベントが行われていました。
容疑者は親子で、50歳の父親が現場で死亡し、24歳の息子が拘束されました。
オーストラリアの捜査当局によると、2人は11月にフィリピンに渡航していたといいます。
フィリピン南部のミンダナオ島では、現在も「イスラム国」系の勢力などが活動を続けているとみられていて、2人がイスラム過激思想に影響を受けた可能性があるとみて調べています。
ユダヤ系住民を狙ったとみられる今回の銃撃事件。事件前から懸念を抱いていた人がいます。
ユダヤ人作家のリンダ・ロイヤルさん。知人が現場に居合わせ、その隣にいた宗教指導者が亡くなったといいます。
ユダヤ人作家 リンダ・ロイヤルさん
「政府に対しては以前から警告していたし、情報機関も政府に対し、攻撃が起こる可能性があると警告していた」
オーストラリアでは、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が激化して以降、ユダヤ系住民が多く暮らす地域で放火などの事件が相次いでいました。
ユダヤ人 作家リンダ・ロイヤルさん
「いま私たちは脅かされ、恐怖を感じている。今回のようなことがもう起きないという保証はない」
ユダヤ系を守ったのは「イスラム教徒」英雄と賞賛
今回の銃撃事件を受け、さらなる分断も懸念されていますが、そんな中、ある男性の行動が注目されています。
車のかげから男に近づき、飛びかかって銃を奪った男性。シリア出身のイスラム教徒だったのです。
現在入院中の男性のもとを、アルバニージー首相が見舞いに訪れました。
アルバニージー首相
「我々はこの国が分断されることを許さない。それがテロリストのねらいだ」
「ユダヤ系」の人たちを身を挺して守ったイスラム教徒の男性。現地では「英雄」と称賛されています。