出撃当日に届いた終戦・・・死を覚悟した16歳の特攻兵は「頭が真っ白に」 最後の語り部が語る戦争のむなしさと思い「平和ボケでいい」

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-02-04 07:04
出撃当日に届いた終戦・・・死を覚悟した16歳の特攻兵は「頭が真っ白に」 最後の語り部が語る戦争のむなしさと思い「平和ボケでいい」

シリーズ「戦後80年を超えて‥パイロット「生きる」ことの尊さ」【第3話】

特攻。
第二次大戦下、航空機や小型艇に若き命を乗せ、敵軍に体当たりをする特別攻撃だ。

【写真を見る】出撃当日に届いた終戦・・・死を覚悟した16歳の特攻兵は「頭が真っ白に」 最後の語り部が語る戦争のむなしさと思い「平和ボケでいい」

特攻は若き兵士たちの「志願」によって敢行された。6000人以上が国のためだと命を捧げ、散っていった。

特攻に志願した兵士の中には、成人に満たない少年たちまでもがいた。

その体験を語り継ぐ人は少なく、今なお証言ができる貴重な当事者の声に耳を傾けた。

突如訪れた出撃の機会「お前を伍長にする」 迎えた8月15日

1945年8月13日、明け方。起床時刻にはなっていないはずだったが、上野辰熊さん(97)さんは整備兵に突然、起こされた。

この時、福岡県の陸軍大刀洗飛行場にいた。隊員は、部隊ごとに飛行場そばの集落にある農家に分宿していた。

「別の隊に特攻の出撃命令が出たが、パイロットが足らんから、上野を呼んでこいと言われた」

上野さんは、言われるままに、別の部隊に合流し待機をした。作戦命令を受けた。

出撃直前になって、上官から伝えられたことがある。昇進していた兵長から、さらに伍長に昇格すると。

「兵長は兵隊だから、そのままでは出せない、お前を伍長にする」

しかし、さらに待機命令が出た。8月15日になった。15日は、出撃予定だった。しかし、また待機命令が出る。すると・・・

「頭が真っ白になった」終戦で行方を失った“死への覚悟”

正午。特攻隊員12名が戦隊本部に集合させられた。外には特攻機が並んでいた。だが、そこで行われたのは「詔勅」を聞くことだった。

終戦の詔勅。玉音放送と言われる、ラジオによる国民への、天皇陛下による終戦宣言だ。

上野さんは放送を聞いた印象を「最初は、励まされたのか、終わったのか、分からなかった」と振り返る。しばらくして、隊長が告げた。

戦争は、終わったんだ。

上野さんに、「その瞬間、どう感じましたか」と尋ねる。

「頭が真っ白になりました。今日は死ぬつもりでしたから」

行き場のない感情を抱え、竹を切り、暴れ回る仲間もいた。飛行場の機体は燃料を抜かれ、滑走路には障害物が置かれた。独断での行動を阻止するためだ。私物は書類ごと、すべて焼却されていた。

今も消えない、亡くなった仲間の顔 戦友は「家族と同じ」

「軍服と、飛行服だけで帰りました」

8月18日、復員。上野さんは、叔父の家へと戻った。

97歳の上野さんに聞く。

「上野さんにとって、戦友とはどんな存在だったんですか」

上野さんは少し考えてから答えた。

「家族と同じですね。生死を共にしましたから。今でも忘れられません」 

亡くなった仲間の顔は、今も消えない。一方で、生き残った戦友は年々少なくなっている。

「今は、その息子さんたちと話すことが多いです。それでも家族みたいなものです」

戦争とは「むごたらしくて、むなしいもの」 “最後の語り部”の言葉

戦争についての思いを問われると、上野さんはこう語った。

「むごたらしくて、むなしいものです。一番苦しんだのは町の人、国民です」
「戦争はやらないでください。平和ボケでいい。80年間戦争をしなかったから、日本はここまで来たんです」

静かな口ぶりだったが、その言葉の一つひとつは、確かに今へとつながっていた。

【第1話】16歳の“子ども”が一人で空へ…97歳の元少年飛行兵が語る「死への覚悟」“最後の語り部”の記憶
【第2話】「飛び立ったら、もう帰れない」16歳の少年はなぜ特攻を“熱望”したのか 紙一枚で迫られた選択と“最後の語り部”明かす死への覚悟

【上野辰熊さんプロフィール】
上野 辰熊(うえの たつくま)さん 97歳
1928(昭和3)年3月、山口県生まれ。
1943(昭和18)年10月、陸軍少年飛行兵として大刀洗陸軍飛行学校に入校、基礎訓練。
1944(昭和19)年4月、正式に任官し、京城教育隊へ配属。「赤トンボ」による飛行訓練。
1944(昭和19)年8月、九九式襲撃機の搭乗員となり、訓練や特攻機輸送などに従事する。
1945(昭和20)5月、鹿児島県の万世飛行場で沖縄航空作戦中の飛行第66戦隊に転属。
沖縄戦が終結したため、7月に大刀洗北飛行場へ転属。 8月、終戦を迎える。
終戦後、部隊は解散し、山口県の叔父の家で生活を送る。                         
現在は、飛行第六十六戦隊会連絡事務局長、万世特攻慰霊碑奉賛会(万世特攻平和祈念館・鹿児島県南さつま市)常任理事、陸軍少飛平和祈念の会 会長を務める

写真:帰還者たちの記憶ミュージアム 所蔵

今江大地(STARTO ENTERTAINMENT)が特攻隊員を演じる舞台「パイロット」。特攻隊員の目線で平和をテーマに、大戦中と現代の日本を表す。2月18日(水)から24日(火)まで、東京「赤坂 RED/THEATER」で。

  1. 「最初から最後まですべてうそ」北海道・旭川の女子高校生殺害事件 内田梨瑚被告の裁判員裁判で共謀の女が証言 内田被告と主張食い違う
  2. 悠仁さまが“晩さん会デビュー” 愛子さまと笑顔で言葉を交わす場面も フィリピン・マルコス大統領夫妻迎え宮中晩さん会 天皇皇后両陛下主催
  3. 中国軍 オランダ軍の艦船が西沙諸島に「不法侵入」と発表 「圧力かけ退去させた」
  4. たつの市母娘殺害事件で指名手配 大山賢二容疑者の新たな写真を警察が公開 5月20日に現場から2キロ離れた場所で撮影
  5. インテリジェンス機能強化に向け 「国家情報会議」設置法案が参議院本会議で可決 議長は総理大臣 事務局として「国家情報局」新設
  6. 中国外相 パナマ外相に中国企業の権益守るよう要請 香港系企業のパナマ運河港湾運営権取り消し念頭に
  7. “晩さん会デビュー”悠仁さま(19)はジンジャーエールで乾杯 フィリピン・マルコス大統領夫妻迎え宮中晩さん会 天皇皇后両陛下主催
  8. ハードからソフトへ移行する運送業界 老舗70年企業が進める事業再定義と同族外からの代表交代
  9. ラオスの洞窟で住民らが1週間以上閉じ込められる 捜索活動続く 救助チームには8年前のタイ洞窟事故で活動したダイバーも
  10. 【 レイザーラモンRG 】愛車「ベスパT5」と2ショット 「古着屋でひっそり売られてたRoberto Baggioユニフォームとvespa」
  1. 「体の関係は30回ぐらい」一時保護所の元職員の男(31)を逮捕 15歳少女にホテルで性的暴行疑い 声優として活動も所属事務所は契約解除 警視庁
  2. “晩さん会デビュー”悠仁さま(19)はジンジャーエールで乾杯 フィリピン・マルコス大統領夫妻迎え宮中晩さん会 天皇皇后両陛下主催
  3. “チャーハン症候群”にご注意! においや味で見分け困難…熱に強い食中毒菌 対策は?【Nスタ解説】
  4. 悠仁さまが“晩さん会デビュー” 愛子さまと笑顔で言葉を交わす場面も フィリピン・マルコス大統領夫妻迎え宮中晩さん会 天皇皇后両陛下主催
  5. 脳梗塞 治療中・鈴木愛來さん(19) 退院を報告 手術受け 「注射の跡は23箇所」「頭には大きな傷も残ってしまいましたが」 医療関係者に感謝 「本当にたくさんの方々に支えていただいて」
  6. 中国外相 パナマ外相に中国企業の権益守るよう要請 香港系企業のパナマ運河港湾運営権取り消し念頭に
  7. たつの市母娘殺害事件で指名手配 大山賢二容疑者の新たな写真を警察が公開 5月20日に現場から2キロ離れた場所で撮影
  8. ハードからソフトへ移行する運送業界 老舗70年企業が進める事業再定義と同族外からの代表交代
  9. ラオスの洞窟で住民らが1週間以上閉じ込められる 捜索活動続く 救助チームには8年前のタイ洞窟事故で活動したダイバーも
  10. 中国軍 オランダ軍の艦船が西沙諸島に「不法侵入」と発表 「圧力かけ退去させた」
  11. タイパ&コスパで再注目!定食の魅力…食堂百名店の絶品「しょうが焼き」、揚げ時間1分半の「極上アジフライ定食」【Nスタ解説】
  12. 【 レイザーラモンRG 】愛車「ベスパT5」と2ショット 「古着屋でひっそり売られてたRoberto Baggioユニフォームとvespa」