光でパニック…『ノドグロ』完全養殖成功までの苦難の道のりを近大・研究所長が解説 食卓にはいつ並ぶ?【ひるおび】

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2026-02-09 16:22
光でパニック…『ノドグロ』完全養殖成功までの苦難の道のりを近大・研究所長が解説 食卓にはいつ並ぶ?【ひるおび】

“白身のトロ”とも呼ばれる高級魚「ノドグロ」を、身近なものとして食べられる日が来るかもしれません。
近畿大学は、人工的にふ化させた稚魚を育て、次の世代まで誕生させる「完全養殖」に成功したと発表しました。
成長が遅く光や音に敏感な深海魚のため、これまで難しいとされてきたノドグロの養殖をどのように成功させたのか、近畿大学水産研究所の家戸敬太郎所長に聞きます。

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“近大マグロ”に続き“近大ノドグロ”

恵俊彰:
完全養殖成功おめでとうございます。先生、やっぱり大変でしたか?

近畿大学水産研究所 家戸敬太郎所長:
大変なこともあるんですけど、チャレンジ精神で何とか楽しくやりました。

近畿大学というと“近大マグロ”が有名ですが、マグロの完全養殖に成功したのは2002年のことでした。
その後、2023年にニホンウナギの完全養殖に大学で初めて成功。そして2025年10月、ノドグロの完全養殖に世界で初めて成功しました。
近畿大学が完全養殖に成功した魚は、今回で30種目となります。

「ノドグロ」は、脂のりの良さから、“白身のトロ”とも呼ばれる高級魚で、主に北陸から九州の日本海側に生息しています。
例年、冬場は身が締まって大きなノドグロが水揚げされていましたが、今漁獲量が減っています。
背景にあるのが、気温の変化です。海水温が上昇しノドグロの生息地が北上しているのです。

近大が成功した「完全養殖」とは

「完全養殖」は、人工的にふ化させた稚魚を育て、次の世代まで誕生させることを指します。

≪ノドグロ養殖の流れ≫
新潟上越沖で採取した卵を人工ふ化させ、「親魚」という繁殖可能な魚に育てる
【1】卵をとり、人工授精・ふ化させる
【2】完全養殖の稚魚に育てる
【3】育てた稚魚を、また親魚として育てていく
近畿大学は、【1】~【3】をサイクルとして確立しました。

恵俊彰:
この中で一番困難だったのはどの辺りでしょうか?

家戸所長:
よくわからない魚だったので、まずは卵をとるところから苦労しましたし、卵から稚魚に育てるのも非常に難しかったですし、最終的に成熟させて卵を取るというステップでも結構苦労しました。

完全養殖への道【第1章】育てる以前の“壁”

ノドグロ養殖の研究がスタートしたのは2015年。
まず、「卵の確保」に苦戦しました。
ノドグロは深海魚なので、100mを超える水深から船に引き揚げる際に、弱ってしまいます。
新潟県糸魚川市の漁業者に協力してもらい、良い卵をとれる海域や時間帯を模索し、船の上ですぐに採卵する工夫もしたそうです。

家戸所長:
最初は卵がとれなかったんですけども、産卵時刻と漁業者が操業する時刻がずれているんじゃないかと考えて、ちょっと時間をずらして漁に出てもらったんですね。それが一つ大きなポイントでした。

完全養殖への道【第2章】光と揺れが命取り

ノドグロはとてもデリケートな魚です。
稚魚を育てている最中に、飼育棟の隣の道路をトラックが通った振動だけで暴れ出したり、夜に雷の光が差し込んだことでパニックになって大量死してしまったこともありました。
対策として、飼育している建物自体を遮光率の高いシートで覆い、光が差し込まない環境作りを行ったということです。

近畿大学水産研究所 家戸敬太郎所長:
トラックもそうですが、地震の被害を受けたアスファルトを直すときに、すごく震動が強くなったんですね。それによってもたくさん死んでしまいました。

よくこのデリケートなノドグロの養殖に挑戦しましたね。

家戸所長:
そうですね。でも非常に美味しくて値段の高い魚ですので、やはり養殖にチャレンジしたいという強い気持ちがありました。

完全養殖への道【第3章】地震・全滅…それでも前へ

また、飼育する過程で全滅してしまうことの繰り返しで、とても苦労したといいます。

近畿大学水産研究所 家戸敬太郎所長:
地震の時は、生き残った魚を、とにかく殺さずに飼い続けようということで、頑張ってスタッフと一緒に対応しました。
それぞれの出来事に対して原因をしっかり考えて、対策をとっていくというスタンスでずっと臨んでいました。

弁護士 八代英輝:
卵から成魚になるまで期間はどれぐらいかかるんですか?

家戸所長:
天然の魚の情報だと4年以上かかるとされていたんですけど、今回3歳魚から卵がとれたので、「ふ化してから3年で卵がとれる」ということがわかりました。
これから3年のサイクルを回し続けるということになります。

また、人工ふ化したノドグロはほとんどがオスで、メスの比率は3%程度とされています。

家戸所長:
最初はどうしたものかと諦めかけていたんですけど、たくさんの魚を残すことができるようになったので、例えば3%でも1000匹いれば30匹がメスということになります。そういう対処で今回卵をとることができました。

いつ食べられるの?味は?

恵俊彰:
食卓に並ぶまでにはどのぐらいかかるんですか?

近畿大学水産研究所 家戸敬太郎所長:
養殖の技術はもう少し改良していかないといけないところもありますし、量的に増やすというところでも工夫をしていかないといけないんですけど、5年後ぐらいに稚魚を養殖業者に販売して、それが二、三年で出荷できるような大きさに育ってくれたら、皆さんの食卓に届くんじゃないかと考えてます。

恵俊彰:
そう考えると、七、八年ということですね。

気になる「養殖ノドグロ」のお味は・・・
家戸所長によると、「サイズが小さくても脂がよくのっていて美味しい」そうです。
近畿大学が運営しているレストラン「近畿大学水産研究所」の銀座店・大阪店では、2月中にも養殖ノドグロが提供される予定だということです。

(ひるおび 2026年2月9日放送より)

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