13歳で避妊注射「従うしかなかった」 揺れるグリーンランド デンマークによる“強制避妊”の実態は【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-02-21 13:17
13歳で避妊注射「従うしかなかった」 揺れるグリーンランド デンマークによる“強制避妊”の実態は【news23】

トランプ氏の領有発言に揺れる島・グリーンランド。この島で「13歳の時、強制的に避妊薬を打たれた」と告白する女性がいます。かつて、グリーンランドを植民地としていたデンマークが行っていたものです。大国の思惑と過去の政策への不信感の間で、グリーンランドでは独立を求める声が高まっています。

【写真を見る】10代の頃に強制的に避妊注射を打たれたマリナさん(40)

大国アメリカに翻弄される島国 デンマークへの不信感も

日本から約9000km、北極海に面する世界最大の島、グリーンランド。美しき氷の大地は今、揺れています。

デモ参加者
「私たちのグリーンランドだ」

1月、グリーンランドで行われたデモ。人口2万人に満たない中心都市、ヌークで約5000人が抗議の声をあげました。

人々が怒りの矛先を向けているのは、グリーンランドの領有に強いこだわりを見せるアメリカのトランプ大統領です。

アメリカ トランプ大統領
「いずれにせよグリーンランドに対して何か行動を起こすつもりだ」

背景には、豊かな鉱物資源や北極海をめぐる中国・ロシアとの覇権争いがあるとみられています。

グリーンランド市民
「グリーンランドはグリーンランド人のものです。アメリカに支配されたくありません」
「アメリカ大統領ともあろう人が、このように振る舞うことをとても悲しく思います」

デモに集まったほとんどは、先住民イヌイット系の人々。

グリーンランドの人口の9割を占め、漁業や狩猟など独自の伝統文化を育んできました。

記者
「こちらはルークにある市場です。漁師の方々がその日にとってきた新鮮な魚、ネズミイルカというクジラの一種や、その隣にはミンククジラ、そしてアザラシなどが新鮮な状態で販売されています」

市場の人
「(イルカやアザラシは)冬によく食べます、ビタミンが豊富なので。グリーンランドには果物や野菜があまりないですから」

市場の人
「(Q.ヌークのどこが好きですか?)全部だよ…ただ好きなんだ。育った場所だからね」

そんなイヌイットの人々は今、トランプ氏への危機感とともに、かつて植民地支配を受けたデンマークにも不信感を抱えています。

「従うしかなかった」当時13歳の少女が受けた“強制避妊”

グリーンランドで生まれ育った中学校の教師のマリナさん(40)。
13歳の息子、クリスチャンくんと暮らしています。

マリナさん(40)
「家ではグリーンランド語・デンマーク語・英語、全部使って会話します」

かつて、グリーンランドはデンマークの植民地でした。1979年に自治権を与えられましたが、外交や安全保障は、今もデンマークが担っています。

笑顔を絶やさないマリナさん。その裏で息子と同じ年頃に負った心の傷を、今も抱え続けています。

マリナさん(40)
「最初の避妊措置は13歳の時でした。『デポ・プロベラ』という注射薬を、19歳まで打たれ続けました」

27年前、学校のすすめで訪れた医療機関で、デンマーク人の医師から強制的に避妊注射を打たれたといいます。

マリナさん(40)
「医師からは『中絶が嫌なら注射を打つように』と言われました。『処女です』と伝えても、『初めての性行為でも妊娠することはあるから』と言われて。まだ13歳だったんですよ?ショックでした。でも大人の言うことに従うしかなかった。まだ子どもでしたから」

それは、増え続けるイヌイット人口を抑えるため、デンマークが進めた政策の一環。

マリナさんや同級生たちは、学校にいる時間に医師のもとを訪れるよう言われ、家族でさえその事実を知りませんでした。

そして19歳のとき、生理の際に大量出血して倒れるまで避妊注射を打たされ続けていたのです。

27歳のときに無事、クリスチャンくんを出産したマリナさん。

マリナさん(40)
「授乳期間中でも避妊の再開を迫られました。まるで体までも支配されているようでした。デンマーク政府への信頼を失いました。もう信用できません」

数千人の女性に…明らかになった“強制避妊”の実態

近年の調査で、デンマークの保健当局により1960年代~70年代にかけて、マリナさんのように避妊注射を打たれていた人の存在が明らかになった他、数千人に及ぶグリーンランドの女性や少女が、強制的に子宮内避妊具を装着させられていたことがわかっています。

デンマーク政府は2025年、この強制避妊措置を被害者に直接謝罪。

しかし、謝罪はトランプ大統領がグリーンランド領有の意欲を再び見せ始めた時期と重なったことから、「グリーンランドとの関係修復を急ぐためだった」とも指摘されています。

グリーンランドの悲願 高まる独立の声

グリーンランドでは今、独立を求める声が上がっていて、2025年の世論調査では、独立に「賛成」と答えた人が56%に上りました。(グリーンランド・デンマーク新聞社 2025年1月発表)

グリーンランド市民
「(Q.グリーンランドの人々は何を求めていますか?)独立です。グリーンランドの独立。独立できると思っています。いつか独立する、それが私の夢です」

10代で強制的に打たれた避妊注射。しかし、マリナさんのように被害が近年まで続いていた実態や、どれほどの人が被害を受けたのか、その全容は、今なお明らかになっていません。

マリナさん(40)
「独立のためには、デンマークが行ってきたひどい仕打ちを証明する必要があると思います。しっかりと調査ができれば、人権も得られるし、独立もできると思う」

デンマークの支配と恩恵の間で…揺れるグリーンランド

喜入友浩キャスター:
心が痛む証言ですが、これだけではなくデンマークは約70年前にもイヌイットの子ども22人を強制移住させて、言語や文化などを事実上同化させる社会実験も行っていました。

ただその一方で、グリーンランドはデンマークの社会保障が適用されるなど、恩恵も受けているという関係性でもあるんですね。

そうした中、グリーンランドの連立与党の議員は次のように話しています。

グリーンランド連立与党議員
「今は独立の議論をする適切なタイミングではない。すべき唯一の議論は、どうすればアメリカの大統領を排除できるか」

上村彩子キャスター:
トランプ大統領の領有発言の裏で、デンマークのこのような人権侵害も注目されたわけですが、このように尊厳が踏みにじられるような行為をされていたというのは初めて知りました。

揺れ動いている国際情勢の中で、グリーンランドの方たちの気持ちが置き去りになっているようにも思います。

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