「懸念払拭されるようなメッセージ出ず」トランプ大領領演説をワシントン支局長が解説 一方で「発電所の攻撃にも踏み込む」と新たに表明も

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-04-02 13:45
「懸念払拭されるようなメッセージ出ず」トランプ大領領演説をワシントン支局長が解説 一方で「発電所の攻撃にも踏み込む」と新たに表明も

「発電所の攻撃にも踏み込む」明確なメッセージも

ーー今回のトランプ大統領の演説をどう見ましたか?

【画像で解説】イラン攻撃1か月…原油や石油、日本への影響は?

涌井文晶 ワシントン支局長:
やはり新しい話は特になかったという率直な感想です。「2~3週間で軍事作戦が終わる」というのはこれまでも言ってきたことで、これを国民向けに改めて強調した。

この「2~3週間」というタイムラインについては、大統領令署名式の後に報道陣に対して聞かれたので答えたという形でしたが、今日は、はっきりと自分で設定した場で、国民向けに2~3週間という目途を示したので、それはかなり重い意味があると見ました。

また「ディールが成立しなければ発電所への攻撃を行う」ということは、この間何度か表明して、延期を続けてきたという話でしたが、これについても圧力を非常に強めました。やはり「ディールしなければ、発電所の攻撃にも踏み込む」とはっきりとメッセージとして出されたと見ました。

今回の演説は18分間程度で、トランプ大統領は日々演説は非常に長くなっていますし、報道陣への取材対応はもっと長いことも多い中で、これまで言ってきたことを18分の中にまとめて、「発電所への攻撃」を表明したことが唯一新しいというところです。

この間、述べてきたことをまとめて説明して、イランへの戦闘をなぜ始めたのかという意義を改めて強調していました。国民の中であまり理解が得られていないというところを踏まえて、改めて説明したのではないかと思いました。

ーートランプ大統領は、何となくいつもの調子で話し始めたので、また長くなるのではないかと思いましたが、その辺は短くあまり寄り道もせずに行った印象でした。どのような印象でしたか?

涌井文晶 ワシントン支局長:
やはり国民向けのテレビ演説は、テレビ各局で全国に中継されることもあり、コンパクトにまとめるということは、トランプ大統領の過去の演説でもそのような傾向はありました。

多少バイデン政権やオバマ政権の批判といったいつもの話もなかったわけではありませんが、その中でもかなり絞られた形で話をしたとは思いました。一方で、あまり勢いはなかったとも思います。

ホルムズ海峡 “自然に開くだろう”とするも…市場の反応は

ーー日本から見ていて非常に注目されるのが、ホルムズ海峡についての言及です。元々、直近1週間ぐらいの交渉については、「ホルムズ海峡を開放しろ。さもなくば発電所を攻撃する」ということを言っていました。

ここ数日のトランプ大統領の発言と一貫しているものと捉えられますか。

涌井文晶 ワシントン支局長:
基本的にはホルムズ海峡について「開放まで行かなくても戦闘を終結する」という姿勢を改めて示したのではないかと見えました。

実際、マーケットもそのように受け止めているようです。既に原油市場などは値上がりで反応しているという状態になっています。

ホルムズ海峡の封鎖に対して、「アメリカが何かをすることはない」とはこの間も繰り返し言っているわけですが、改めて「その状態のままでも戦闘は2~3週間で終える」ということで、その見通しが立ちません。

またトランプ大統領は「Naturally」という言い方、つまり「ホルムズ海峡は自然に開くだろう」ということです。確かに停戦が合意されれば、その緊張が収まって解放に向かっていくという理屈だと思いますが、市場の反応を見ていると、本当にその通りになるとは受けとめていないと思います。

そういう意味では、この演説がどの程度、トランプ大統領が狙ったような効果があったのかは今の時点ではすぐには判断できませんが、すぐにマーケットが交換するような結果にはなっていないように今のところ見えます。

「懸念を払拭するようなメッセージ」は出なかった

ーー手元にマーケットの情報がありますが、ニューヨークのWTIの原油先物価格は、演説前は98ドルぐらいで推移していましたが、現在は3〜5ドル上がっています。それから株式市場も下げに転じています。日経平均も下がっています。

そういう意味では、2~3週間という言及が数日前からあり、いわゆる“出口戦略”、「もうすぐ終わりそうなんだ」とトランプ大統領は強調していますが、マーケットははっきりとしたメッセージが打ち出されなかったという受け止めをしていると理解してよいのでしょうか?

涌井文晶 ワシントン支局長:
特にホルムズ海峡については、実際イランが支配権を事実上持ってしまっているという状態です。

これについてトランプ大統領は、「石油を輸入する国が自分の努力で何とかしなさい」ということを繰り返し言っているわけですが、「自分たちで始めた戦闘に対してなんと無責任なことか」というような論評はアメリカの中からも多数出ているというような状況で、そのスタンスは今日の演説でも変わりませんでした。

そして今ヨーロッパ諸国だけで解決できるかどうかもよくわからない状況ですから、そこに対しては、懸念を払拭するようなメッセージは、残念ながら出なかったというふうに私は受けとめます。

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<プロフィール>
涌井文晶
ワシントン支局長
トランプ氏を2年半取材

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