明るい髪色・くっきり分け目は注意?プロが警告!将来の白髪やパサつきを招く「頭皮」の日焼け 数年後の美髪を守る紫外線対策

年々、厳しさが増しているように感じる夏。太陽からの強い紫外線対策として、日焼け止めを塗っている人も多いはず。
しかし、頭上から降り注ぐ日差しから「髪の毛」は守っているだろうか?
頭部は体の中で最も太陽に近く、顔の約3倍もの紫外線を浴びていると言われている。無防備な髪は、私たちが思う以上に深刻なダメージを受け、静かに「日焼け」しているという。
しかも、恐ろしいことに「一度日焼けしてしまった髪は元には戻らない」そう。
髪の日焼けの真実と、未来の髪を守るための対策方法を、美容ジャーナリスト・毛髪診断士の伊熊奈美さんに聞いた。
紫外線だけで「ヘアカラー1回したのと同じダメージ」に…
「髪が日焼けしても、せいぜい色が抜けるくらいだろう」と思ったら大間違い。
髪と、その土台である頭皮が受けるダメージは、私たちが想像する以上に大きいものだと伊熊さんは警鐘を鳴らす。
伊熊奈美さん
「まず紫外線による影響は、『髪』と『頭皮』の2つのダメージに分けて考える必要があります。髪の毛に関しては、ただ紫外線を浴び続けているだけでも、ヘアカラーをした時と同じくらいのダメージを与えていると言われています」
髪の構造は、よく「のり巻き」に例えられる。外側には髪の内部を守る「のり(キューティクル)」があり、内側には髪の質量を保つ「ごはん(コルテックス)」が詰まっている。
健康な髪を保つためには、「髪の強度を保つ骨組み(SS結合)」が正しく手をつないでいる必要があるが、強い紫外線を浴びることでその結合が外れてしまう。これはまさにヘアカラーの仕組みと同じことが日焼けによって起きているといえる。
その結果、表面のキューティクルが剥がれ、内部のタンパク質や水分が外へ流出し、スカスカになる「髪の空洞化」が進行。それによって起きるのが「サンブリーチ現象」だという。
この現象が起きると、髪の毛のツヤやコシが失われ、パサつきや切れ毛を引き起こす。さらに、髪を染めていないにもかかわらず、ブリーチしたかのように色が抜けたり変色したりするのだそう。
髪は「死んだ細胞」であるため、一度傷んでしまうと、自力では元の健やかな状態には戻らない。最終的にはハサミを入れるしか解決策はなくなってしまうというのだ。
白髪の原因は「頭皮の日焼け」? 髪色や分け目が抱えるリスク
髪の毛以上に深刻なのが、「生きている細胞」である「頭皮」への影響。
それは頭皮も顔の肌と同じように、常にターンオーバーを繰り返す肌だからである。
「白髪が増えた気がする」といった悩み。もしかしたら、長年にわたって蓄積された「頭皮の日焼け」が原因かもしれない。
髪の変化は、ある日突然、始まるものではない。自覚のないまま浴び続けた紫外線など、日頃のダメージの蓄積があるとき表面化して出てくるものなのだ。
実は、肌や頭皮の老化の原因は、8割が紫外線などによる「光老化」によるものと言われている。年齢による劣化よりも、光を浴び続けた蓄積による老化の方が圧倒的に影響が大きいという。
さらに頭皮は、顔の約2倍もの皮脂が分泌される場所でもある。頭皮に残った皮脂が紫外線を浴びて酸化すると、通常のシャンプーでは落としにくい「過酸化脂質」に変化する。これが毛穴やその周囲に残ることで、毛根や髪の色を作る工場である「幹細胞」にも影響を与えてしまうと考えられる。
伊熊さんは「幹細胞への影響は、将来的には白髪、さらには薄毛や抜け毛といったエイジングの悩みを引き起こす要因の一つになり得る」と話す。
頭皮ケアの観点から見ると、特に注意が必要なのが、ヘアカラーやブリーチなどをして「髪色が明るくなっている人」だという。
髪に含まれるメラニン色素には、紫外線が頭皮の奥へ侵入するのを防ぐ役割がある。しかし、カラーによってメラニン色素を分解してしまっていると、頭皮への紫外線ダメージは強くなってしまう。
また黒髪でも、頭皮が露出している「分け目」は特に気を付ける必要があると、伊熊さんは警告している。
伊熊奈美さん
「分け目の部分は紫外線の影響で白髪が多いと言われています」
紫外線を浴びた直後、頭皮が赤くなったり、ヒリヒリしたりといった炎症が起こると、それによって頭皮は乾燥しやすくなる。それも将来的な細毛や薄毛、抜け毛の可能性に繋がるという。
伊熊奈美さん
「顔は日焼け止めを塗るなど対策をしている人が多いと思います。一方で、体の中で最も紫外線が当たる場所なのにもかかわらず、分け目は本当に無防備です」
「帽子は蒸れて薄毛になる」は誤解?プロの紫外線対策
一度傷んだら元に戻らない髪、そして、ダメージの蓄積によっては白髪などの影響が出る頭皮。これからの過酷な夏の日差しから、どのようにして守っていけばよいのだろうか。
まず私たちが思い浮かべる基本の対策といえば「帽子」がある。しかし「帽子をかぶると頭が蒸れて、薄毛の原因になるのではないか」という不安を持つ人も少なくないだろう。
それに対し、伊熊さんは「蒸れよりも、直射日光を浴びるダメージの方が圧倒的に深刻」だと断言する。
また、近年の研究では、頭部の「温度」が高くなるほど紫外線によるダメージが加速することも判明しているそう。
そのため、日傘や帽子で物理的に紫外線を遮断し、頭部の体感温度を下げることが、最大の対策になると話す。
▼帽子
通気性の良いもので、頭部を過度にしめつけない、ゆったりとしたサイズを選ぶ
例:ラフィア素材のハット、頭部がメッシュネット仕様のキャップ、など
▼日傘
遮光性はもちろんのこと、体感温度を下げてくれる遮熱効果の高いものがおすすめ
▼ヘア用のUVスプレーやオイル
外出前に髪の表面に向けてスプレーをくるくると円を描くように1〜2周させればOK。ただし、スプレーは触ると取れてしまうので、こまめな付け直しが必要
伊熊奈美さん
「UVスプレーをしていることを過信してはいけません。帽子や日傘などの物理的な紫外線対策とダブルでやることが重要です」
また、最も無防備で日焼けしやすい「分け目」も気を付けたいところ。
地肌を隠すために、▼分け目の位置を毎日変える、▼コームを使ってジグザグにしてくっきりさせない、といった工夫をして対策してほしい。
日焼けしてしまっても…いち早い「アフターケア」を
どれだけ気をつけていても、うっかり長時間、紫外線を浴びてしまうことはあるだろう。
「日焼けはやけどと同じ」。どれだけ早く適切なケアをできるかが重要だ。
もし分け目がヒリヒリとするようなら、まずは「冷却」して炎症を抑えるのが鉄則だという。保冷剤をタオルで包むなどして、直接強い刺激を与えないように優しく冷やす。
炎症が落ち着いたら「保湿」を行う。
日焼け後の頭皮はいつも以上に乾燥しやすくなっているため、頭皮専用の化粧水や美容液などを使って乾燥を防ぐ。ドライヤーで乾かす前や、朝のスタイリング前に頭皮の根元に塗布するのが理想的だ。もしひりつきがなどの症状がなくても、頭皮の保湿は顔などの肌と同じように行うことがおすすめだという。
パサつきが気になる髪の毛には、シャンプーとトリートメントの間に浸透力の高い「ウォータートリートメント」を1本追加するといいだろう。
また、日焼けをしてから数日が経ち、赤みやヒリヒリ感が完全に引いていたら、頭皮用のスクラブやジェル、クリームを使って、週に1〜2回の「頭皮のディープクレンジング」を取り入れてリセットすると効果的だという。
伊熊奈美さん
「髪と頭皮の日焼けには別々のケアが必要となります。どちらにとっても共通するのは、紫外線によるダメージは想像以上に大きいということ。当たってから慌てるよりは当たる前の心がけが大切です」
「髪は顔の額縁」と言われるように、その人の第一印象や若々しさを左右する大切なパーツ。
一度傷んでしまった髪は完全には元に戻らないが、日頃の適切な対策とケアを続ければ、ダメージの進行を遅らせ、5年後、10年後の髪を守ることに繋がる。
この夏、顔のスキンケアと同じように、髪と頭皮にも丁寧な愛情を注いでみてはどうだろうか。
取材協力:美容ジャーナリスト・伊熊奈美さん
日本毛髪科学協会 毛髪診断士指導講師、国際毛髪科学研究所頭皮ケアカウンセラー。
女性誌で美容記事の編集・執筆・監修に25年以上携わる。生活者視点のヘアケアメソッドを提案し、各メディアでの執筆、監修のほか、TV出演や講演登壇も多数。
著書に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた』(グラフィック社)など。Instagram @namiikuma_hairista