「ストーカーの認識なかった」再犯防ぐカウンセリングの受診率はわずか5.6% 任意と受診料の“壁”【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-07-24 21:13

ストーカーの疑いで逮捕されても、釈放された後に再び同じような行為に及んでしまうといった例が後を絶ちません。
こうした中、解決策の一つとして注目されているのが、加害者を対象にした「カウンセリング」です。

【写真を見る】ストーカーにカウンセリング 受診料補助を行う自治体

加害者カウンセリング受診率は5.6% 課題点は?

高柳光希キャスター:
有効性が注目されているストーカー加害者へのカウンセリングですが、課題もあります。

2025年、ストーカー規制法に基づいて、「つきまとい」や「ストーカー行為」を禁止する「禁止命令」が出された人は過去最多の3037人にのぼりました。

全国の警察では、2024年3月から禁止命令を受けた全ての人に対して、「カウンセリングの有効性」を説明しています。

2024年に「禁止命令」を受けた人の数は2415人。「禁止命令」を受けていない人も、必要性があると感じた場合には、カウンセリングの説明を行っているということで、説明を受けたのは3271人にのぼっています。

ただ、カウンセリングを受診した人は184人。全体のわずか5.6%にとどまっています。

約95%は、カウンセリングを受診していないということですが、受診率の低さは何が要因なのでしょうか。

TBS報道局 社会部 東田幸太 記者:
課題として考えられるのは、カウンセリングは強制ではなく任意だという点です。

捜査関係者からの話によると、カウンセリングの呼びかけは1回ではなく、繰り返し説得しているといいます。
ただ、加害者は「自分のした行為よりも、自分の気持ちばかりを話し、聞く耳を持ってくれない」という話もありました。

カウンセリングの現場を取材したなかで印象的だったのが、ストーカー行為を4人以上に対して行った元加害者の「ストーカーをしている認識は全くなかった」という言葉です。

やはり思い込みの強さや、勘違いにとらわれていることも多く、周りが見えなくなってしまい、「自分は加害者ではなく被害者なんだ」という考えに至る人もいるそうです。

このような状況で、警察から任意で「カウンセリングを受けた方がいいですよ」と言われても、なかなかカウンセリングに向かいづらいという現状があります。

高柳キャスター:
ストーカーには依存性もあるので、なかなか自分自身では客観的に見ることができないということも考えられます。

日比麻音子キャスター:
加害者自身が(加害行為をしたことに)気がつくまでに時間がかかると、被害者の心の苦しみはその間も続くことになります。

カウンセリング受診料年間13万の“壁” 自治体で補助も

高柳キャスター:
警視庁は対策を強化しています。

これまでは、警察官がカウンセリングの有効性を説明し、受診を促していました。

しかし、警察官相手だと捜査の一環のように感じてしまい、加害者が拒否反応を示すという課題もありました。

そこで警察官の立会いのもとではありますが、2025年6月からは専門の心理士が面談をすることも可能になりました。

治療が必要かの判断を行い加害者に説明をすることで、具体的な動機付けに繋げようとする取り組みです。

こちらは成果が出ているのでしょうか。

TBS報道局 社会部 東田幸太 記者:
7月の段階で、警察官の呼びかけに応じてカウンセリングを受診した人の件数は、2025年の1年間の数に迫っています。

その中で3分の1から半数近くは、心理士の面談を行った後に、加害者がカウンセリングを受けたといいます。捜査関係者も一定程度効果があるのではないかという話をしていました。

ただ、受診料という大きな壁があります。

横浜の「大石クリニック」では、1回のカウンセリングと医師による診察が合わせて2600円。週1回通院するようになっており、初診を含めると、年間で約13万円かかります。

「大石クリニック」では、金銭的な面でなるべく圧迫しないような値段設定にしているそうですが、値段によってやめる人もいたそうです。

そんな中、自治体が受診料を補助することが、有効な手立てになるのではないかという意見も出ています。

高柳キャスター:
実際に、受診料の補助を行っている自治体があります。

▼京都府警
「カウンセリングが必要」と判断された場合、5回まで全額を補助

▼品川区
1回最大1万2000円を、10回まで補助

ただ、犯罪の加害者であるため、補助に対して賛否の声もあるようです。

「警視庁版スクリーニングシート」導入予定も どこまで普及できるか

日比キャスター:
カウンセリング料が自己負担ということが、ひとつの大きな壁になっているのが現状のようですが、被害が起きる前のストーカー行為の対策は、具体的に強化が進んでいるのでしょうか。

TBS報道局 社会部 東田幸太 記者:
政府も強化を進めていますが、警視庁では今回心理士をつけたことに加えて、2027年度から運用しようとしているのが、「警視庁版スクリーニングシート」です。

「禁止命令」が出て、危険だからカウンセリングを促す前に、「この人はこういう理由でストーカーをした」というのを分析し、その結果、危険な犯罪を起こすかもしれないという人を事前にカウンセリングなどに促すという施策を進めています。

ここからどこまで普及していくのか、各自治体で取り組みは異なっていくのかもしれません。

日比キャスター:
被害が出てからでは遅いです。同じことを繰り返さないためにも、引き続き対策の強化を期待したいと思います。

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<プロフィール>

東田幸太
TBS報道局社会部 警視庁担当
ストーカー殺人・闇バイト強盗など凶悪事件を取材