池江璃花子「もうとにかく深呼吸してゲーム」レジェンド・入江陵介に語る池江流アンガーマネジメント【アジア大会】

日本競泳界のエース・池江璃花子選手(26)が9月19日に開幕するアジア大会愛知・名古屋に出場する。
アジア大会では2018年に6冠を達成し、MVPに輝いた池江。その翌年に、急性リンパ性白血病を公表したが、過酷な闘病生活を経て病を克服し、2020年に奇跡の実戦復帰を果たした。その後は東京五輪、パリ五輪と連続でオリンピック出場し、2024年9月には「完全寛解」を迎えたことを報告している。23年に行われた前回大会では50mバタフライの銅メダルなど2つのメダルを獲得。地元・日本開催で3大会連続での表彰台を狙う池江に、TBSアスリートアンバサダーを務める元競泳日本代表の入江陵介さん(36)が大会を迎える思い、さらには独自の感情コントロール術について聞いた。
意外な素顔「私が一番緊張してます」
今年3月の日本選手権では50mバタフライと50m自由形で2冠を達成、自由形とバタフライで3回目のアジア大会代表となった。
入江陵介さん:(アジア大会)日本代表になりましたが、今の心境はいかがですか?
池江璃花子選手:ここに入れてすごくホッとしてる気持ちです。
入江さん:最初の100m(バタフライ)がすごく緊張したっていう話を聞くんですけど?
入江さん:私的には、100mより全然50mのバタフライの方が緊張してて、100mで緊張してるって言ったことも忘れてました。「私が1番緊張してます」みたいなタイプなんで、50mバタフライの時もそうですけど、決勝の8人の中で1番緊張してたんじゃないかなって思います。
2015年の世界選手権から代表になり、15歳でリオデジャネイロ五輪に出場するなど数々の大舞台を経験してきた今でも、大きな緊張の中でレースに臨んでいる事を明かした。
入江さん:50mバタフライがロサンゼルスオリンピックの正式種目になって思いは変わりましたか?
池江選手:ロスが決まったから、「じゃあ50mをめちゃくちゃ頑張るぞ」っていう気持ちよりかは、もちろん100m(バタフライ)でもちゃんと代表に入りたいっていう気持ちがあるので、両方で代表に入るために、100mの強化も50mの強化もどっちもしていけば、両方とも右肩上がりにはなっていくかなって思うので、どちらも全力で向かいたいなって思ってます。
新たな拠点、新たなコーチのもとで
池江は昨年の秋からはオーストラリアから拠点を日本に移し、高城直基コーチ(47)の下で練習に臨んでいる。
入江さん:大きく環境が変わったなという印象なんですけども、高城コーチはどうですか?
池江選手:高城先生は、優しい顔をしてるけど、トレーニングは全然優しくないし、なんか“ニコニコしながら鞭打ってくる”感じ。でも高城先生のメニューをやってれば強くなれるって信じて高城先生のところに行ったので、毎日毎日のきついトレーニングも、これを乗り越えたら大丈夫っていう風に自分を鼓舞しながら、いいトレーニングはできてるかなって思います。
入江さん:その中でも、このメニューめっちゃしんどかったなとか、あります?
池江選手:高城チームは200mの選手が多い。自分は50m、100mを専門でやってるので、みんなよりも本数は少ないんですけど、その分1本1本に対しての強度の高さっていうのを求めてくる。“泳ぎ切れるキツさ”、絶対に速いスピードで泳ぎ切れるようなトレーニングをたくさん組んでくださって、一生懸命やりすぎて、もう次の日の練習が体ボロボロで全然できない時もあるんですけど、そういう時はうまく自分の体の調子を見ながら調整してくれたり。学生の頃と違ってすぐに体力が回復しないので、そこはうまく向き合ってくださっているなという印象です。
池江流アンガーマネジメント「もうとにかく深呼吸してゲーム」
入江さん:TBSアジア大会のテーマは「引くほど推そうぜ」。なんか自分自身の推しポイントであったりとか、今ハマってるものとか、推してるものとかあります?
池江選手:ゲームだと思う、ハマっているのがキャンディークラッシュと桃鉄(桃太郎電鉄)。
入江さん:おお、なんか前からあるやつ。
池江選手:はい。キャンディークラッシュは、2021年の東京五輪の時にちょうど本気でやり始めて。
入江さん:本気ってなにか違うの?
池江選手:私、東京オリンピックの時にレベルが1000だったんですけど、今は1万2000とか。
入江さん:え、どこまであるの?それ、わかんない、永遠にあるの?
池江選手:永遠に、毎日更新されるらしくって、それを毎日毎日一生懸命やってて、桃鉄は令和バージョンを持ってたんですけど、最近、桃鉄ワールド(桃太郎電鉄ワールド)と桃鉄の東西(桃太郎電鉄2)っていうのを買った。
入江さん:ゲームは大事。自分自身をマネジメントすることにもなると思いますし。逆に池江選手は感情のコントロールが上手い方だと思うんですけども、どうやってコントロールされてるんですか。
池江選手:ええっと、なんか・・・6秒待つといいみたいな。
入江さん:ああ、怒りの時でしょ。
池江選手:6秒待ってダメな時は、おかしいなって思うことはすぐに質問したり言ったりするんですけど、自分に対してのイラ立ちとか、周りの環境に対して自分がうまくいっていない時は、“もうとにかく深呼吸してゲーム”をする。もう忘れることをしないと、どんどんドンドン苛立ちとかって増えていっちゃうので、そういうふうに対処しています。
嬉しかった反面、恥ずかしかった前回のアジア大会
入江さん:もうアジア大会も3回目になると思うんですけども、池江選手にとってアジア大会とはどういう大会ですか。
池江選手:アジア大会(2018年)は、初めてMVPを獲らせてもらって、2023年のアジア大会では、前回大会のMVP獲得者っていうことで注目もされているのは自分で分かっていました。アジアの選手たちが自分のことを知ってくれていた事も嬉しかった。その反面、なんか恥ずかしさみたいなのもあって、MVPを獲っているのに、2023年は(個人は)メダル1個しか獲れなかった。しかも銅メダル。注目されている、名前が知られているという事と反比例した競技結果というのが悔しさや恥ずかしさを生み出してしまっていたので、今回は3回目ということで、右肩上がりというか、どん底まで落ちてはしまいましたけど、1回毎にちゃんと成長してる姿を見せられる試合にできたらいいかなとは思ってます。
入江さん:日本開催ということで、また違ったアジア大会になると思うんですけども、楽しみですか?
池江選手:いつもの試合会場(競泳の会場は東京アクアティクスセンター)なので、緊張感とかはもしかしたら(国内大会と)一緒のように感じられるかもしれないんですけど、もちろん観客の方だったり、選手の方はアジアの各国から集まるので、すごく楽しい華やかな雰囲気になるんじゃないかなっていうふうに思っています。そういうことを楽しみながら、アクアティックセンターの良さみたいなものをちゃんと見つけ出して、その試合に対しての楽しみを増やしていけるような、そんな試合にしたいなと思います。
怖がる後輩たちに向けて「私は普通の人なんだよ」
入江さん:改めてアジア大会への意気込みをお願いします。
池江選手:アジア大会はやっぱり前回大会よりもいい記録で終わりたいという気持ちもありますし、後輩たちが多い立場にもなってるので、しっかり自分の強みと言いますか、経験してきたことの多さを後輩たちにしっかり伝えていけるようなそういう立場でいたい。
入江さん:池江選手の存在ってのは日本代表にとって本当に不可欠だと思いますし、本当にたくさんの経験をしているし、人一倍嬉しい思いも悔しい思いもしてる選手なんで、なんかもうたくさん伝えていってほしいな、後輩たちに“ビシバシ”と(笑)
池江選手:したいですけどね、今の時代はね(笑)
入江さん:今の時代ね(笑)。でも確かに畏れ多いかも、「池江選手に話しかけるなんて」と思ってる選手が多分めっちゃいると思うので。
池江選手:もちろん話したいなって思ってくれてる選手もいると思うんですけど、うーん、なんか本当に怖がられちゃってて。
入江さん:なんかイメージだけど若い選手は若い選手で固まっていそうで、高校生はこっちみたいな。
池江選手:そうですね。
入江さん:そこを打破してほしいな、いいチームを作るためにも。
池江選手:「私は普通の人なんだよ」って「名前は確かに池江璃花子っていう名前かもしれないけど、普通の人だから大丈夫だからね」って言ったんですけど、やっぱりそんなこと言っても怖いことは怖いと思うので。もうちょっと他の選手みたいに「璃花子さ〜ん、璃花子さ〜ん」みたいな選手が増えてくれたらいいなあとは思うんですけど。
入江さん:そうなってるアジア大会の風景見るの楽しみにしてます(笑)
池江選手:頑張ります(笑)
【アジア大会・競泳日程】
日程:9月20日〜25日
場所:東京アクアティクスセンター