イオンモール爆発事故で199テナントの運営会社に独自アンケート、災害マニュアル「認識していなかった」テナント運営会社も【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-08-13 21:06

イオンモール熊本の爆発事故をめぐり、JNNは出店する199テナントの運営会社にアンケート調査を行いました。その結果、イオン側の災害時のマニュアルを認識していなかったテナントの運営会社があったことがわかりました。

【写真で見る】イオンモール爆発事故 時系列まとめ

「館内に戻らない」イオン側の指示はあったのか

井上貴博キャスター:
イオンモール熊本で起きた爆発事故で、誰が悪いのかという犯人探しの議論ではなく、次に起きうる災害に向けて何ができるのかという観点で深堀りしていきます。

今回、JNNはイオンモール熊本に入っている199店舗の運営会社にアンケート調査を行い、そのうち130の店舗から回答を得ました。

『館内に戻らないように』というイオン側の指示について、認識の有無を聞くと次のような返答がありました。

▼美容サービス 運営会社
「『営業再開しないので、そのまま帰宅して大丈夫。締めとかもしなくていい』と聞いていた」
▼飲食店 運営会社
「屋外への避難後10分程度で『そのまま帰宅してよい』と連絡があり、アルバイト従業員はそのまま帰宅した」

避難後、スマートフォンなどは館内に残ったままだと思われるため、電話、メール、システムで指示を受けられる状態だったのか詳細は分かりませんが、中にはイオン側から「館内に戻らないように」との指示が確かにあったとする運営会社もあります。

一方で、そのような指示はなかったという回答もありました。

▼アパレル店 運営会社
「イオン側からの指示はなかったと聞いている」
▼靴販売店 運営会社
「避難したら戻らないというイオンモールのルールがあった」
▼アパレル店 運営会社
「安全確認の上でテナント側が避難。直接指示はなかった」
▼書籍・雑貨店 運営会社
「避難訓練で習うということだと思う」

イオンモール熊本は“年2回”避難訓練を実施 マニュアル周知は?

井上キャスター:
JNNのアンケート調査結果によると、イオンモール熊本では、避難訓練が年2回実施されていたことが分かりました。

▼飲食店 運営会社
「定期的な避難訓練が実施され、避難後は館内には戻らないよう説明を受けている」

一方で、次のような回答も得られました。

▼飲食店 運営会社:
「訓練は定期的に行われていたが、参加できないテナントもある」

避難訓練が実施されていても参加できない可能性もあると思います。いずれにしても今回の熊本地震で避難誘導がしっかり行われたというのは、訓練の成果が出ていると言えるのかもしれません。

次に、マニュアルについてです。マニュアルについても店舗によって大きく回答が変わりました。

イオン 吉田昭夫社長(7月29日)
「一旦、避難したものは館内に入らないというのが我々のマニュアルのルール」

という見解を示していた一方で、店舗の運営会社側は…

▼印鑑店 運営会社
「会社にはいただいていない」
▼アパレル 運営会社
「実物は見たことがない」
▼飲食店 運営会社
「直接説明を受けた記憶はありません」

などとイオンの吉田社長とは異なる回答をしています。

なかには、「マニュアルはあった」「現場がどうなっているのかが分からない」とする回答もありました。

イオンは取材に対し、「店舗の担当者にはマニュアルを渡していたが、運営会社には共有しておらず、契約時に『災害時に関する規則』を渡していた。マニュアルのあり方を見直していきたい」と述べていました。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回のJNNのアンケート調査は、すごく意味のある調査報道だと思いました。災害時に、実際にマニュアルがどこまで機能するか、しないかということが分かってきたように感じます。

また、マニュアルは文書で渡されても、現実にはほとんど見ないというケースが多いことがハッキリしたのではないでしょうか。

訓練についても、地震後のヒビが入っている、廊下が危なくなっていることまでは想定できたと思うのですが、ガス爆発の発生は想定できなかったと思います。今後、想定外のことが起きた時に、いかにして更新していくかという問題提起にもなると思います。

出水麻衣キャスター:
イオンモール熊本には色々な人が勤めていて、運営会社の社員やアルバイトがいて、7月28日に初めて出勤した人もいると思います。そのため、いかに全員に対して安全の規則を浸透させるかというのも一つの課題だと考えます。

なぜ再び館内に? 運営会社による“対応の違い”も明らかに

井上キャスター:
想定外をなくす具体例として、航空機内で緊急脱出時は絶対に機内に戻ってはいけないと訓練でも徹底されていることが挙げられます。しかし、航空機内の緊急脱出時のレベルまで引き上げるべきなのか。

今回の熊本地震では、例えば、「鍵を取りに戻らないと、家に帰ることができません」「子どもと連絡するためにスマートフォンが必要」などと言われた現場の担当者は非常に悩ましかったと推察します。

JNNのアンケート調査結果でも、運営会社によって対応が分かれていたことが分かっています。

▼眼鏡店 運営会社
「警備スタッフと思われる方が施設内への入場を控えるような呼びかけをしていた」
▼飲食店 運営会社
「荷物を取りに行くと警備員に伝えたら通してくれた」

警備員側からすると、家に帰れないのであれば、中に一旦であれば戻っていいですよという対応をしても違和感はないですし、警備員の対応まで徹底するのかは非常に悩ましいのではないでしょうか。

▼7月28日 地震当日
午後4時27分頃 地震発生
         館内放送・避難誘導を開始
午後5時    客および従業員の屋外避難を確認
午後5時21分  安否確認システム イオン側→従業員
        「営業中止」「帰宅」のアナウンス
午後5時50分  イオンモール熊本で爆発が発生

今回の地震、しっかりと避難誘導がされたうえでお客さんが避難をして、ある程度時間が過ぎたころに、「戻れるかもしれない」「余震が落ち着いてきたかもしれない」と思うタイミングで爆発が起きているため、このような場合にどのような判断をすべきだったのかは今後、検証が必要なのかもしれません。

井上キャスター:
JNNのアンケート調査結果には、次のような返答もありました。

▼美容サービス運営会社
「『荷物があるから取りに戻っていい?』と言われたら『いいよ』と言っていたかもしれない」
▼アパレル店 運営会社
「スタッフが家の鍵を忘れて戻るんだったら、『気を付けて』と言っていたかもしれない」

これらの回答はイオンモール熊本に出店する運営会社に限らず、全国の施設で今後、想定外を潰したマニュアルをどう作っていくのかということが非常に大きな課題だと思います。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
従業員の働き方の形態も色々あると思いますが、会社も下請けや元請けなど色々と入り組んでいるため、その中でどう徹底させていくかというのも課題になってきていると思います。

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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年