記録的な豪雨に見舞われた能登半島では、生存率が低下するといわれる72時間が経過しました。懸命の捜索活動が続けられています。
【写真を見る】約6割は「浸水想定区域」仮設住宅も“安全な場所とは限らない” 石川・能登豪雨で浸水相次ぐ【Nスタ解説】
ライフラインの状況は 停電・断水など相次ぐ
良原安美キャスター:
記録的な豪雨が襲った石川県能登地方では、懸命の捜索活動が続けられています。
【能登大雨 被害状況】
・輪島市:死者6人 安否不明者4人 孤立集落34か所
・能登町:行方不明者1人 孤立集落1か所
・珠洲市:死者1人 行方不明者1人 安否不明者1人 孤立集落11か所
※JNNまとめ(24日午後4時時点)/ 石川県HP(23日午後3時時点)
ライフラインにも起きな影響が出ています。
【能登大雨 ライフライン状況】
・輪島市:停電約1400戸 断水3086戸
・能登町:停電約240戸 断水230戸
・珠洲市:停電約700戸 断水1744戸
※石川県HP(23日午後3時時点) / 北陸電力HPより
現在、給水車の派遣要請が出て22台が活動中です。
また携帯にも影響が出ていて、情報などが集めづらい状況になっています。
NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIの各社HPによりますと、石川県の一部エリア(輪島市・珠洲市・能登町など)で携帯電話サービスが使えない、または使いづらい状況となっているということです。(緊急通報含む)
原因としては大雨による停電や基地局までの伝送路の断線などがあり、復旧の見通しは現在確認中だということです。
井上貴博キャスター:
元日に起きた地震の被害よりも今回の水害の方が復旧が難しく、大変だとおっしゃる方が多いそうです。
ホラン千秋キャスター:
行方不明や安否不明者の方たちが本当に心配です。そしてライフラインやインフラが破壊されてしまうと生活がままならなくなってしまいますので、何とか早く回復してほしいです。
井上キャスター:
珠洲市の方に話を聞きますと、大雨の予報が出た段階で避難所の開設に動いていたそうですが、被害がとても早く発生してしまったそうです。また携帯電話については、衛星を利用するなどの対策を進めていくことも必要なのではないかと思います。
仮設住宅で浸水 約6割が「浸水想定区域」
良原キャスター:
今回、仮設住宅での浸水被害も相次ぎました。輪島市では仮設団地45か所のうち約10か所で床上・床下浸水が起こりました。仮設住宅の住人の方からは不安の声が上がっています。
「5月に入居したばかり。やっと落ち着いてきた矢先の出来事で、これからどうしようかと…」
「わずか1年の短い間に2度も家を無くしてしまいました」
なぜ仮設住宅で浸水被害が起こってしまったのでしょうか。実は地震後に建てられた輪島市内の仮設住宅の約6割が「浸水想定区域」に指定されている場所でした。
輪島市によりますと能登地方は山間部が多く、平地が少ない場所で用地の確保が困難だったという事情もあるようです。
では、仮設住宅を建てるのに条件などはあるのでしょうか。災害社会工学に詳しい東京大学大学院の片田敏孝特任教授は「用地の基準などは特になく、各自治体が選定して建てる決まり。迅速な対応が求められるため、用地を探す時間に限りがある場合もある」といいます。つまり仮設住宅がある場所が“安全な場所とは限らない”そうです。
実際に輪島市の仮設住宅では、仮設団地内の掲示板に洪水と土砂災害のハザードマップが掲示されていました。さらに入居する際には、避難経路などの説明もあったといいます。
井上キャスター:
能登半島は独特な地形であるため、避難所を建てられる場所が少ないし、今回のようにリスクもある。少し遠いところなどに集団避難という考えも必要になるのでしょうか。
ホランキャスター:
リスクの少ない土地に避難した方がいいという考えもありますが、コミュニティがゼロになってしまうのは避けたいという考えもあります。天秤にかけるのは難しいですね。
良原キャスター:
今後は被害にあった家屋の清掃が必要になります。注意点をまとめました。
【家屋の浸水・清掃の注意点(厚労省HPより)】
・ゴーグル・マスクで目や口を保護
・ドアや窓を開けしっかり換気
・手袋、厚底の靴を履いてケガの予防
・泥を取り除き乾燥
乾燥させた後は、感染症などを予防するため消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどで家具や床などを消毒してください。