一度離縁した夫婦が元に戻らないことを「覆水、盆に返らず」と表現します。
これらは修復不可能な関係を指す言葉となります。
もしくは手遅れになっている状態を表す言葉です。
今回はそれら「覆水、盆に返らず」について解説します。
特にここではその意味はもちろん由来や語源について説明します。
「覆水、盆に返らず」とは
まずは「覆水、盆に返らず」の意味について見てみましょう。
「覆水、盆に返らず」の意味
「覆水、盆に返らず」とは一度離縁した夫婦の仲は元には戻らないことの例えです。
一度壊れた関係は元には戻らないことを言った言葉となります。
事実、人間関係などで関係がこじれると、そこから修復するのは非常に難しいです。
転じて、一度してしまったことは取り返しがつかないことの例えなどとしても「覆水、盆に返らず」が使用されます。
「覆水、盆に返らず」の由来
では「覆水、盆に返らず」はどこから来たのでしょうか?
由来となった故事
「覆水、盆に返らず」の由来は古代中国の故事「野客叢書-二八」にあるとされています。
特に紀元前11世紀頃、周王朝の創建に功績のあった呂尚の逸話から来ているそうです。
その昔、呂尚という貧しい人物がいました。
彼は結婚していたもののほとんど仕事はなく、毎日本を読んで過ごしていました。
ある日、彼の生活を見かねた妻は家を出て行ってしまいます。
貧乏生活に耐えられなかったというより、まともに働かない呂尚に立腹していたのかもしれません。
とにもかくにも伴侶が出ていく結末となってしまいました。
ところが、呂尚が高い地位に就いた途端、彼女が戻ってきて復縁を求めたのです。
すると呂尚は水の入った容器を傾けて中の水を地面にこぼし、こう言いました。
「覆水は定めて収め難がたし」と……。
この言葉には、一度こぼれた水は元には戻せないものだという意味があります。
そうして呂尚は復縁の意志がないということを示したのです。
実際に夫が出世した途端に戻ってくる伴侶など言語道断です。
その怒りを表した表現が「覆水、盆に返らず」となります。
これらの逸話から、この言葉は夫婦関係を指す表現として広まったとされています。
ただ、近年では取り返しのつかないこと全般に使用される表現となるので、その点は注意が必要です。
由来となった人物は「太公望」とも呼ばれる歴史的人物
「覆水盆に返らず」の原典となった呂尚は太公望とも呼ばれる歴史上の人物です。
太公望とは中国、周王朝の政治家のことを言います。
これは呂尚のことを指す名称としても知られています。
また、高い地位の人から補佐役に迎えられるような優秀な人も指す言葉です。
ただ、近年では釣りをする人の名称としても使用されているので、その点は注意しましょう。
「盆に帰らず」ではないので注意!
「覆水、盆に返らず」は「盆に帰らず」ではありません。
日本にはお盆があるため、どうしても帰省という意味の「帰らず」と思いがちです。
ただし、これはあくまでもこぼれた水が元に戻らないことを言った表現となっています。
そのため、間違わないように注意しましょう。
「覆水、盆に返らず」の英語表現
最後に「覆水、盆に返らず」の英語表現を見てみましょう。
「覆水、盆に返らず」と同様の意味の英語のことわざは・・・
「覆水、盆に返らず」の英語表現としては「It's no use crying over spilt milk.」などがあります。
これはこぼれたミルクを嘆いても仕方がないという意味の表現となります。
その意味はほとんど「覆水、盆に返らず」と同じです。
ミルクをこぼしたところで元には戻りません。
だからこそ、嘆いても仕方ないということです。
まとめ
「覆水、盆に返らず」は一度離縁した夫婦は元には戻らないものだということを言ったことわざとなります。
事実、人間関係が一度こじれると修復は困難です。
これらは古代中国のある話から来た言葉となっています。
英語にも似た表現があるので、併せて覚えておきましょう。