たくさんの人や物が並んでいることを指す「目白押し」。
この目白押しは、野鳥の「メジロ」の習性から生まれたとされています。
そこでここでは、「目白押し」がどのような言葉なのか、その意味や成り立ちについて解説します。
「目白押し」とは
まず「目白押し」の意味や類義語について見ていきましょう!
「目白押し」の意味
「目白押し」とは、多人数が込み合って並んでいること、もしくは物事が集中していることを指す言葉です。
商品のような物品を対象として用いられることが多く、テレビや新聞などの広告で「目玉商品が目白押し!」などのような使われ方をしています。
また、大きなイベントなど一大行事の際にも使用されることがあります。
その用途から、「注目されること」という意味で「目白押し」を使われてしまうこともありますが、実際の意味としては存在しません。
目白押しの類義語は「すし詰め」
目白押しの類義語としては、「すし詰め」があげられます。
「すし詰め」とは、限られた空間に入りきれないほどの人がいる様子を指しています。
これは寿司を箱に詰める際に移動中に動いて倒れたりしてしまわないように、隙間なく詰めることから来ているとされています。
この様子から、人や物が隙間なく詰まっていることをたとえとして用いるようになりました。
おしくらまんじゅうの一種の名前でもあった
「目白押し」は、昔の子供たちの遊びのひとつでもありました。
子供たちが一列並んで押し合う遊び、つまり「おしくらまんじゅう」の一種だったということですね!
「目白押し」は、通常のおしくらまんじゅうとはルールがちょっとだけ違います。
「おしくらまんじゅう」はある一定の場所から押し出されたら負けです。
対して「目白押し」は、一列に並んで押し合い、その列からはみ出たらまた端に行って押し合うという延々に続く遊びとなっています。
目白押しの語源は鳥のメジロから
「目白押し」という言葉は、鳥のメジロが木の枝で並ぶようにして羽を休める姿から来ているとされています。
メジロとは
メジロは、スズメ科に分類される鳥で、全長10cmほどの小鳥です。
目の周りに白い縁のような模様が入っていることから「メジロ」と呼ばれるようになりました。
花の蜜などを好む食性をしています。
警戒心もそれほど高くなく、庭先にミカンの輪切りなどを置いておくと、一生懸命についばむかわいらしい姿を目撃できることもあるほどです。
メジロは寄り添いあう習性がある
小さく、かわいらしい緑色の体をしたメジロにはかわいらしい習性があります。
それは、木の枝に押し合うように体を寄せ合って止まるというものです。
どんなにスペースに余裕があっても、お互いに押し合うようにぴったりと並びます。
それは2匹であっても5匹であっても10匹であっても同じなのだとか。
綺麗に整列するというよりも割り込んだり突っ込んだりして押し合う姿が見られます。
このぎゅうぎゅうになっている様子を見て、人や物が集まっていることも「目白押し」と表現するようになったようですね。
東京の「目白」という地名にメジロは関係ない!
東京には目白という地名があります。
山手線の駅のひとつにもなっているこの土地の名前ですが、鳥のメジロは関係ありません。
では、目白という地名はどこから来ているのでしょうか?
目白という地名
目白という地名は、江戸五色不動の1つである目白不動にちなんでいます。
五色不動とは、五行思想の五色にあたる「白・黒・赤・青・黄」の色を名を冠する不動明王像の事です。
そして、この五色は東西南北と中央をそれぞれ表しているのだとか。
江戸時代の初期、三代将軍・徳川家光は江戸府内に存在した不動尊から5ヶ所を選定し、天下泰平を祈願しました。
この時に目白不動として選ばれた不動明王像が、豊島区にある「金乗院」で祀られているものでした。
目白不動の名を贈られてから、金乗院のある高台一帯は「目白台」と呼ばれるようになりました。
他にも目黒・目赤・目黄・目青がある
「五色不動」というほどですから、目白以外の4色も存在します。
目黒・目赤・目黄・目青の名を贈られた不動明王像があるのですが、目黄だけは2ヶ所なぜかあります。
ちなみに、目黒不動明王が祀られているのは目黒区の瀧泉寺なのですが、この目黒不動もまた目黒という地名の由来とされています。
まとめ
「目白押し」は、鳥のメジロがまるで押し合うように身を寄せ合うかわいらしい姿を語源としています。
語源と同じように、何かが密集して押し合っている姿を指して用いられます。