物事のやり方がありきたりなことを「紋切り型」と言います。
特にこれらは決まりきっているようなことを言う表現です。
しかし、なぜそれを「紋切り型」と表現するのでしょうか。
今回はそれら「紋切り型」について詳しく解説します。
ここでは特に意味や由来、語源などについて説明します。
「紋切り型」とは
まずは「紋切り型」の意味について見ていきましょう。
熟語としての「紋切り型」の意味
熟語としての「紋切り型」は物事のやり方が決まりきっていることを言います。
近年は個性や独創性がまったくないことも意味します。
そのため、あまり良い印象のない言葉と言えるでしょう。
「紋切り型」の用い方
「紋切り型」は主に「紋切り型の○○」のように形容詞として使用します。
例えば「紋切り型の応対」であればありきたりな接客などを意味します。
同じく「紋切り型の指導」なら代わり映えしない教育や研修を意味するわけです。
このように真新しさが感じられないやり方のこと全般を言った表現が「紋切り型」となるのです。
他にも古くからある方法や手段に囚われていることなどを指して「紋切り型の受験勉強」「紋切り型の就職活動」などのように使用することもあります。
これらの言葉には「だからこそ柔軟な発想をすべき」というようなニュアンスや意味合いも含まれていると言えるでしょう。
「紋切り型」の由来
では「紋切り型」はどこから来た言葉なのでしょうか。
ここからは「紋切り型」の由来や語源についてまとめます。
由来はズバリ「紋切り」から
「紋切り型」はそのまま「紋切り」という言葉から来ています。
「紋切り」とは紋形に切り抜くことです。
そのために使用する型を「紋切り型」と呼ぶわけです。
これらの型を使用すれば、同じ型を量産できます。
そういった同じものを繰り返し生み出すところから、次第に型通りで形式的なもの全般を意味するようになったそうです。
「紋切れ」は意味も読みも全く違うので注意
「紋切り型」が「紋切り」から来ているのは前述の通りです。
ただし「紋切れ」という言葉となると表すものも読みも全然違うので注意しなくてはなりません。
「紋切れ」とは歯切れが良いことを意味する言葉で「あやぎれ」と読みます。
これらは主に発音などがはっきりしていることを意味します。
そのため「紋切り」とはまったく違う表現となってしまうのです。
そこは字面は似ているものの意味の異なる言葉なので注意したいところです。
「紋切り型」の類義語
最後に「紋切り型」の類義語について見ていきましょう。
「紋切り型」の類義語には「ステレオタイプ」や「形式的・儀礼的・事務的」などがあります。
ステレオタイプ
「ステレオタイプ」は大衆に浸透している思い込みのことです。
これらの言葉は先入観や固定観念、認識や偏見、差別など類型化された潜在意識を指します。
なお、「ステレオタイプ」はアメリカのジャーナリストであるウォルター・リップマンによって生み出された言葉だそうです。
その「ステレオタイプ」は印刷用語から来ているとか。
中でも活字印刷に使用されたステロ版印刷から来たようです。
実際にステロ版で活字印刷すると型を抜いて作ったかのように同じものができます。
そこから生まれたのが「ステレオタイプ」という言葉です。
そういった意味でも「紋切り型」と非常に似た表現と言えるでしょう。
形式的・儀礼的・事務的
「形式的」は形式だけで内容を問題にしない様子のことです。
「儀礼的」は儀礼だけ重んじて誠実さがない様子のことです。
「事務的」は事務だけで規定通りに処理する様子のことを言います。
どれも感情が込められていないようなニュアンスが強いです。
どこかありきたりで空虚な印象すら受ける言葉となります。
それらの意味合いが「紋切り型」と同じ表現と言えるでしょう。
まとめ
「紋切り型」はありきたりな方法や手段のことを言います。
特に旧態依然としていて凝り固まっているような様子を言った表現です。
要は新しいことが何もなく、面白みがないことを言うわけです。
ただし、似たような表現「紋切れ」となると読みも意味も違うので、そこは注意しましょう。