今年も熱き高校生たちの料理コンテストが開催されました。去年の9月からエントリーが開始し、全国の⾼校26校144チームという多くのライバルとの1次審査を通過し、選ばれた16チームが1月7日「東京山手調理師専門学校」にてトップシェフの前で料理を披露する最終審査会が行われました。我々消費者が美味しいものを食べたいという気持ちで行く飲食店は全国に至る所にあります。庶民の味から高級レストラン、そしてチェーン店として気軽に行けるファミリーレストランまで、我々は当たり前のように利用していますが、そこに未来の彼らのレシピが並んでいるかもしれません。テレビや雑誌で紹介されるレシピだけではなく、全国の料理人たちのレシピが我々の「贅沢」を支えてくれているのです。そしてそんな未来を支えてくれる最有力の高校生料理人たちが集まりました。
「うまさ開発!⾼校⽣うみうまレシピコンテスト」は全国の⾼校⽣を対象に、⽇本料理/⻄洋料理/中国料理の3部⾨で、東⽇本⼤震災被災地地域の⽔産加⼯品を使⽤したレシピを考案し、実際に調理・プレゼンテーションを披露し各界で活躍するトップシェフを審査員として1日かけて行われました。高校生たちは三陸・常磐のテーマ食材の「ボイルホタテ/いかそうめん/笹かまぼこ/松川浦産あおさ/寒いわし水煮 缶詰」のうち1種類を選び、三陸・常磐の水産加工品の魅力を開発していくのです。
主催:「復興水産加工業販路回復促進センター」(代表機関 全国水産加工業協同組合連合会/代表理事会長 髙木安四郎)/ 東京山手調理師専門学校を運営する「学校法人村川学園」(理事長 村川秀夫)
実際に調理された料理やコンテストの結果、各関係者・高校生たちの生の声を聞いてきました。1月7日に選ばれた16チームの高校生の皆さんは東京都世田谷区にある東京山手調理師専門学校に集まりました。
大学の外観はなんとも綺麗な場所でひと目では学校とは思えないようなオシャレなデザインの場所でした。
まず最初に選ばれた3チームによって行われたのは中国料理部門です。
9時から各チームの調理が同時に開始され、与えられた1時間半という調理時間の中で真剣な表情で調理に取り組む高校生たちがそこにはいました。
それぞれ自分たちで考え抜いたレシピを最大限に披露するために、高校生が集中して手際よく完成させていきます。
【熊本県】慶誠高等学校のレシピ
【宮城県】宮城県農業高等学校のレシピ
【東京都】東京都立赤羽北桜高等学校のレシピ
日本の食卓に根付いている中国料理、料理は国境を超えて愛することができる。 そして今はその中国料理をどこまで美味しくできるかという事を日本の地にいる高校生が真剣に取り組んで出した一品です。
中国料理部門の調理が終わると、すぐさま日本料理部門のチームたちの調理が始まりました。中国料理部門の審査がトップシェフにより行われる間に新たな戦いが繰り広げられます。
日本料理部門では5チームが参加し、こちらも独自で考案したレシピを完成させました。
【東京都】東京都立赤羽北桜高等学校
【埼玉県】埼玉県立新座総合技術高等学校
【奈良県】奈良県立国際高等学校
【愛知県】愛知県立緑丘高等学校
【徳島県】徳島県立徳島科学技術高等学校
まさに「和」を感じさせる日本料理です。今度は私たち日本の料理が日本人に、そして世界の人に愛してもらえるような一品です。
そして最後に調理に取り掛かるのは西洋料理部門の8チームです。アジアという大陸を超えてやってきた文化の料理に彼らは挑戦します。真剣で戦っているかのような、まさに真剣な表情で適切に食材を調理していました。
【鹿児島県】神村学園高等部
【沖縄県】沖縄県立美里工業高等学校
【岡山県】岡山県立井原高等学校
【群馬県】桐生第一高等学校
【宮城県】仙台城南高等学校
【長野県】長野県飯山高等学校
【静岡県】静岡県立相良高等学校
【岐阜県】岐阜女子高等学校
定められたテーマの食材の中で、彼らは他のチームの料理と被る事なく、まさに「一つのレシピ」を全チームが作り上げました。
高校生でありながら、この日は料理人だったのです!
各部門毎に調理が終わると、各チームはトップシェフの前でプレゼンを行い、実食してもらう最終審査が行われます。審査をするシェフはまさにトップシェフで、日本の食卓を支えている最前列にいる方たちです。
左からMaison Tateru Yoshinoプロデューサー 𠮷野建 先生、中国料理 Wakiyaグループ オーナーシェフ 脇屋友詞 先生、国際日本料理協会 会長 藤口晃一 先生、日本料理 よし邑 取締役総料理長兼支配人 冨澤浩一 先生、レストランJULIA エグゼクティブシェフ nao 先生、株式会社whole4000 代表取締役 菰田欣也 先生
上記の6人が各部門の料理を審査をします。「料理の順位」というのは消費者の我々からすると想像が付きにくいものがあります。漠然とした「美味しさ」という観点ではなく、料理の世界を生き抜いてきたトップシェフたちによる様々な観点から料理に対する評価を下します。どのチームの高校生も今日は間違いなくシェフとして素晴らしい料理を仕上げました。我々からすると、全員に賞をあげたくても、これはコンテストです。彼らも望んでこのコンテストに参加し、数多くのライバルがいた1次審査を通過し、ここまでやってきたのです。そしてこの日も全国から東京に集まり、彼らはトップシェフの審査を望んで自分たちの力を注ぎました。その思いを組んで、トップシェフたちは厳正なる審査を行いました。
全ての審査が終わった後、16時から表彰式が行われました。審査結果の発表をみな心待ちにしています。表彰式で最初に主催者である「復興水産加工業販路回復促進センター」の代表機関である全国水産加工業協同組合連合会の弥永健次朗さんによるご挨拶から始まりました。
そして待ちに待った結果発表が行われます。中国料理部門は金賞、日本料理部門は金賞と銀賞、西洋料理部門は金賞と銀賞、そして全部門の中から最優秀賞が選ばれ、全6チームが表彰されました。
最優秀賞 【鹿児島県】神村学園高等部
レシピ名 「いかそうめんと海鮮ムースのカダイフ風イカスミのソース」
神村学園高等部は、2人組でエントリーしていましたが、パートナーが体調不良により、最終審査会は上 優(氏名:かみ 名前:ゆう)さんのみで参加。こだわったポイントは「カダイフ麺の代わりにそうめんを使用したこと」と「いかそうめん以外にも7種類の海の食材を使用したこと」。いかそうめんがテーマ食材だったため、そうめんも使用すると面白いのではと思い考えました。そうめんは、霧吹きで麺をふやかして巻きやすくしました。そして、海鮮の味が引き立つようにイカスミソースで仕上げました。
最優秀賞を受賞した【鹿児島県】神村学園高等部1年生 上 優さんのコメント
「今日ペアが不在でプレッシャーもありましたが、一番良い賞をお土産として持って帰ることができてうれしいです。メニューは1か月くらいで考えて考案しました。試作しているときはそうめんがなかなかパリッと仕上がらなくて悩んでいましたが、今日は本番でしっかり仕上げることができました。審査員のみなさんから、そうめんがパリッとしていておいしかったとコメントをもらえた時はうれしかったです。三陸・常磐の食材がテーマでしたが、魚介が好きなのでまだ食べたことがない食材や加工品もたくさん食べてみたいです。」
中国料理部門 金賞 【熊本県】慶誠高等学校
レシピ名 「あおさのタイピーエン」
もともとあおさが大好きで、あおさの魅力を世の中に伝えたいとプレゼン。あおさは、風味があり料理のアクセントになること、保存食としても有効、ミネラルなど不足しがちな栄養価が補えることからレシピを考案。熊本の名物である「タイピーエン」と「あおさ」コラボさせました。
日本料理部門 金賞 【東京都】東京都立赤羽北桜高等学校
レシピ名 「イカソーメンの天ぷら」
プレゼンでは、ご自身で制作した曲「いかの天ぷらのうた」も披露。これまでの衣をつけて揚げる天ぷらでは、時間が経つとどうしてもしっとりしてしまうため、時間が経ってもサクッとした天ぷらを目指し、「天かす」をまぶしたレシピを考案。見た目でも「天かす」を使うことで、イカの吸盤らしさを表現しています。中に入れたイカソーメンの天ぷらには、衣にあおさを混ぜて香りをよくしています。
日本料理部門 銀賞 【奈良県】奈良県立国際高等学校
レシピ名 「6種の笹かま寿司」
西洋料理部門 金賞 【岡山県】岡山県立井原高等学校
レシピ名 「食感楽しい!ホタテのクリーミーサンド」
テーマは和洋折衷。ホタテを味噌・みりん・酒に漬け込んでうまみを凝縮。また、間のクリームチーズソースには、食感を楽しんでもらえるように、たくあんを入れています。ホタテは和と洋の料理とも相性がよいため、クリームチーズとたくあんを入れて、和と洋を取り入れました。もともと、2人ともクリームチーズが好きなので絶対入れたかったことから生まれたレシピ。そして、クリームチーズは滑らかで、そこに歯ごたえのある爽やかな食感を生み出すために、たくあんを入れました。
西洋料理部門 銀賞 【静岡県】静岡県立相良高等学校
レシピ名 「三陸ブリーズサンド」
6組の表彰による結果発表が終わると、審査員による講評が行われました。
Maison Tateru Yoshinoプロデューサー 𠮷野 建 先生
「今の時代は、SNSの影響で世界が近く感じる中、携帯を持てば色々な知識や物語を手に取ることができます。また、プロスポーツに目を向けると、みなさんと同世代の10代で活躍している選手もいます。ぜひ自分の技を磨くために、たくさん勉強して将来に向けて頑張っていただきたいと思います。」
中国料理 Wakiyaグループ オーナーシェフ 脇屋 友詞 先生
「レシピだけではなく、高校生のプレゼンの仕方なども含めて非常に素晴らしい最終審査会でした。人間は、食を通して成長して豊かになれると考えています。食べる人の笑顔を思い浮かべて作ると、料理はどんどん上達していきますので、これからも「作る喜び、食べる喜び」を持って頑張ってください。」
国際日本料理協会 会長 藤口 晃一 先生
「食は、人の心を豊かにする側面があります。レシピをイメージして料理を考案する「考える力」は、人としても成長できる機会だと考えています。将来、ぜひ料理の業界に進出してもらい、幅を広げて頑張ってもらいたいと思いました。本日はありがとうございました。」
最後に記念撮影をして、「うまさ開発!高校生うみうまレシピコンテスト」は幕を閉じました。しかしこの日ここに集まった高校生たちはこの経験を経て新たな人生の扉を開きます。何故なら彼らの作り出す「美味しさ」を私たち消費者は世界中で待ち侘びています。彼らの料理が日本の食卓に届く日を待ち侘びています。そして彼らにそのような経験の場を与えてくれた主催者、トップシェフたちが今の日本の食卓を支えてくれています。
入賞したレシピは、今後一般の方への販売も予定しているようです。
「うまさ開発! 高校生うみうまレシピコンテスト」特設サイト
URL:https://www.daicho.ac.jp/recipe-contest02/
▼復興水産加工業販路回復促進センターについて
復興水産加工業販路回復促進センターは、東日本大震災被災地域における水産加工業等の復興を 支援し、販路回復を望む水産加工業者等をサポートしています。
その支援の一環として、寒流と暖流が交わる世界三大漁場である三陸・常磐地域から、“うみ”の “うまいもの”を厳選して紹介するサイト 「UMIUMA」 (https://umiuma.jp/)を運営しています。
▼学校法人村川学園 東京山手調理師専門学校について
東京山手調理師専門学校 (https://yamanote.ac.jp/tokyo/) のキャッチコピーは 【食を武装せよ 世界が認めた=High Brand Collage】
毎日行う調理実習による圧倒的な実習時間、学内にある本格レストランに本物のお客様を招く レストラン実習で身につけた技術で調理現場で即戦力になれる料理人を育てています。