国会では、きょうも派閥の裏金事件を受けた衆議院・政治倫理審査会が開かれています。安倍派の西村前経済産業大臣はおととし、派閥としてキックバックをやめる方針を一度決定していたと明らかにしました。
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政倫審で西村氏・松野氏が語ったこと
加藤シルビアキャスター:
2日目となった衆議院・政治倫理審査会。「完全公開」ということですけれども、3月1日(衆議院・政倫審2日目)の予定について見ていきます。
1日午前中に、安倍派の▼西村康稔・前経済産業大臣、▼松野博一・前官房長官がそれぞれ約80分ずつ出席しました。
そして午後は、▼塩谷立・座長が午後1時から、▼高木毅・前国会対策委員長が午後2時半から出席する予定でしたが、衆議院の予算委員長に対する解任決議案が提出され、その採決が優先されているということで、1日午後4時50分現在、午後の2人は始まっていません。
では、午前中の2人は、一体何を語ったんでしょうか。裏金事件の真相について、従来通りの発言を繰り返しました。
西村康稔・前経済産業大臣(100万円の不記載)ですが、「いつから還付(キックバック)があったか不明」と話しました。
さらに、松野博一・前官房長官(1051万円の不記載)は、「会計処理には関与していなかった」という旨の発言をしたということです。
安倍元総理「現金での還付をやめよう」 3か月後…
加藤キャスター:
その中で、注目された発言が西村氏からありました。安倍派がキックバックをやめる方針を持っていた時期があったということなんです。
西村氏によると、2022年4月、安倍派幹部の会合があり、安倍元総理、塩谷元文科大臣、松本事務局長、西村前経産大臣(当時は事務総長)、下村元文科大臣、世耕元経産大臣が出席。
このときに、▼安倍元総理から「現金での還付(キックバック)をやめよう」という発言があったということなんです。そして、政治資金パーティー収入の一部の“キックバック廃止方針”が決定されたということで、幹部から所属議員に電話で連絡がありました。
しかし、この会合から3か月後(2022年7月)に、安倍元総理が亡くなりました。その後に、ノルマより多く売った議員から「還付してほしい」との声が上がったそうです。
そして、安倍元総理を除く、先ほどの5人が再び会合を開き、同年8月上旬に幹部で対応を協議しましたが、結論が出なかったということです。
このことについて西村氏は…
西村康稔 前経産大臣(3月1日午前・政倫審)
「結論が出ないままに経産大臣になりましたので、事務総長を離れることになり、そのあと還付(キックバック)の話は一切しておりません」
その後、そこから事務総長を引き継いだ高木毅・前国対委員長が政倫審2日目の午後に出席予定で、このキックバックを継続したことに対する説明が注目されています。
“キックバック継続方針”に高木氏・塩谷氏が言及するか
日比麻音子キャスター:
(衆議院・政倫審)2日目は午前が行われたということですが、西村氏としては「事務総長を離れることになっていたので、一切わからない」という説明でしたね。
TBS報道局 政治部 後藤俊広部長:
プロセスで、どういう議論があったのかということを西村氏は、かなり時系列にのっとって、さらに誰がその会合に参加したかということも詳細に話していました。結論的には、「自分は経産大臣になったから、最終的な決定に自分は預かっていないんだ」という部分を強調したかったのではないかと思います。
そしてポイントになるのが、なぜ安倍元総理が「還付(キックバック)をやめよう」と言ったのかですよね。安倍さんやそこにいた他の幹部が「何らかの問題がある」、あるいは「ひょっとしたら違法性という問題があるのではないか」と感じていたのかもしれない。そういうことが言えると思います。
この後、高木さんだけではなく、塩谷さんも政倫審に出席する予定ですが、(会合での)やり取りはどうなったのか、高木さんにはもちろんどういう結論になったのか、なぜ(キックバックを)やめることをやめたのか。
塩谷さんは両方(の会合)に出てますよね。かつ、その後に座長として派閥を代表する立場になっているので、2人の政倫審での証言・答弁が非常に注目されると思います。
日比キャスター:
2022年4月時点で、なぜ(安倍元総理から)「やめませんか」という話があったのか、そのきっかけに関しても、まだわからないことが多くありますよね。
TBS報道局 政治部 後藤俊広部長:
そこは西村氏の証言・答弁でも、なぜかについては、ほとんど言及されていません。やはりそこは注目されるのではないかと思います。
「何も罰則がないような政倫審の限界が見えてきている」
日比キャスター:
斎藤さんは、ここまでご覧になってどうですか。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
少し見ていても「資料がない」、「秘書がやった」、「自分は知らなかった」など、結局こうやって、ウソをついてたり、説明を逃れたりしても、何も罰則がないような政倫審の限界がやっぱり見えてきていると思います。
国民が知りたいのは、誰が裏金を始めたのか、そして誰が中止を撤回してしまったのか、さらに結局その裏金は何に使われたのかという問題を明らかにしてほしいのに、全然明らかになっていない。
その裏では、(2024年度の)予算の強行採決をしようとしている。裏金問題を抱えて、カネの問題を抱えてる人たちが無理やり予算を通そうとしてるという構図も、かなり問題があるのではないかと思います。
TBS報道局 政治部 後藤俊広部長:
(1日午後4時50分現在)政倫審が再開される見通しなんですが、ここは私たちも注視して、(会合などで)実際に何が話されたのか、どう決められたのか、見ていきたいと思います。
日比キャスター:
一言一言に、私たちは説明を求めています。