国内初の内臓脂肪を減らす薬の販売が4月8日に始まり、処方せんなし・薬局で購入することが可能です。効果や購入の条件、懸念されることなどについて、糖尿病の専門医とともにお伝えします。
【写真を見る】「脂肪の吸収を抑制して便として排泄させる」内臓脂肪減少薬「アライ」販売へ 肥満症治療薬との違いは?【Nスタ解説】
薬局で“内臓脂肪減少薬”販売へ 価格は?効能・効果は?
南波雅俊キャスター:
4月8日に発売される内臓脂肪を減らす薬「アライ」(大正製薬から発売)。値段は6日分で2530円。用法・用量は1日3回・1回1カプセル、食事中あるいは食後1時間以内に服用するものです。
期待できる効能・効果はどういうものでしょうか。
対象は「腹部が太めの人」で、内臓脂肪・腹囲の減少がみられました。臨床試験では、1年間服用した人の腹囲が4.73センチ減少したということです。
<「アライの」購入の条件>
▼18歳以上で、腹囲が男性は85センチ以上、女性は90センチ以上。
▼服用の3か月前から生活習慣を改善している人。運動と食事は服用中も継続しなくてはならない。
▼「高血圧」や「2型糖尿病」など、原則、肥満に関する健康障害のない人に限られる。
こういった人に関して、研修を受けた薬剤師がチェックシートで確認するなど対面で販売します。つまり、病院に行かなくても薬局で買うことができます。チェックシートの「運動はしていますか」「こういう薬飲んでないです」など20個ぐらいの設問に答えていく形になります。
ホラン千秋キャスター:
瘦せ型だけど内臓脂肪率が高いという人には、この薬は向いていないということですね?
eatLIFEクリニック 市原由美江 院長(糖尿病専門医):
基本的には肥満があって内臓脂肪が大きい人の方が向いていると思います。
南波キャスター:
懸念される副作用ですが、「おならをすると便がもれる」「気がつかないうちに肛門から油がもれる」。慣れるまでは、“おむつ”や“便モレパッド”で対策をしてくださいということです。
さらに、臨床試験において「消化器の副作用」が40.9%。440症例のうち180症例です。ただ、服用を中止した人は2.5%しかいませんでした。
肥満症治療薬「ウゴービ」と「アライ」の違いは?
そして、2月22日に発売されている肥満症治療薬「ウゴービ」、そして4月8日に発売される内臓脂肪減少薬「アライ」の違いを見ていきます。
<用法>
ウゴービ:腹などに注射
アライ:飲み薬
<用量>
ウゴービ:週1回
アライ:1日3日 1カプセル
<購入>
ウゴービ:医師の処方箋が必要
アライ:薬剤師がいる薬局
市原先生によると、ウゴービは「食欲を抑制して体重を減少させるもの」。アライは「脂肪の吸収を抑制して便として排泄させるもの」。大体、食べたものの油のうち25%ぐらいが排泄されるそうです。
ホランキャスター:
ウゴービとアライの違いをどのように捉えればいいんでしょうか?
市原 院長:
そもそもウゴービは消化管が出すホルモンなので、それが胃腸の動きを弱めて食欲抑制に働いて体重が減ります。アライは便から油を出すという全く違う働きをしています。
ホランキャスター:
使用している間は、注意することが結構ありそうだなっていう印象でした。
市原 院長:
結構大変という話は聞きますので、それをわかった上で気をつけて使う必要があると思います。
「アライ」を使うときの注意点は
南波キャスター:
もう1つ、気をつけなくてはいけないことがあります。
GLP-1受容体作動薬(糖尿病治療薬)が美容クリニックなどでダイエット目的で処方され、急性膵炎を発症したケースもありました。
市原由美江 院長
「こうした薬は、美容目的のやせる薬ではないので、対象外の人が使用すると免疫が低下する可能性もある」
こういった薬も含めて、対象になる人はしっかり考えていかなくちゃいけませんよね。
日比麻音子キャスター:
改めて、「アライ」は美容目的では全く推奨されないものですよね。
市原 院長:
ちょっと肥満がある方で内臓脂肪が多めの方で、痩せたい、食事療法じゃうまく痩せないなという方が、薬剤師の適切な指導のもとで購入して服用していく適正利用が求められる薬です。
スポーツ心理学者(博士)田中ウルヴェさん:
本当に必要な方が薬剤師さんと一緒に副作用は何か、どんなときはやめるべきか、どんなときには医者に行くのが必要かと、わからないことは何でも聞く。薬ですので一番それが大事ですよね。
ホランキャスター:
「アライ」に関してどのような印象ですか?
市原 院長:
病気がない方で肥満の方が適切に使うのであれば、副作用をある程度理解しているのであれば、試してみて痩せるのであれば、健康がゲットできるので試す価値はあるかなとは思っています。