![「ゴジラ-1.0」には監督も一目置く“Z世代のスゴ技”が! 米アカデミー賞で日本映画2作品が受賞【Nスタ解説】](/assets/out/images/jnn/1047798.jpg)
2023年、日本で公開され、アメリカでも大ヒットした日本映画2作品が“映画界の最高峰”であるアカデミー賞を受賞しました。特に「ゴジラ-1.0」には“ハリウッドも見習うべき”という声が上がっています。
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「ゴジラ-1.0」と「君たちはどう生きるか」が受賞
齋藤慎太郎キャスター:
2023年に日本で公開され、アメリカでも大ヒットした日本映画の2作品が映画界の最高峰・アメリカのアカデミー賞を受賞しました。受賞した作品を振り返ります。
【視覚効果賞】を受賞したのは、山崎貴監督「ゴジラ-1.0」です。この賞を受賞したのは、アジア作品としては初めての快挙ということになります。
そして【長編アニメ映画賞】を受賞したのは、宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」です。
(※崎=旧字体の「たつさき」)
一度は引退宣言をしましたが、撤回して10年ぶりの作品になりました。
宮崎駿監督は、2003年に「千と千尋の神隠し」で受賞しており、21年ぶり2度目の受賞。さらに、2014年には名誉賞を受賞しているので、合わせて3回目の受賞で、日本人最多ということになります。
受賞した際の喜びの声が入っています。
スタジオジブリ 鈴木敏夫 プロデューサー
「もう二度と作らないって、大記者会見やったじゃないですか。あれはすごく反省してるんですよ、本人は」
受賞について、宮崎駿監督は…
スタジオジブリ 鈴木敏夫 プロデューサー
「さっき連絡したところ、本当に心の底から喜んでましたね」
一方、「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督についてです。
アメリカのロサンゼルスで行われている授賞式に出席した際に、手元には金色のゴジラを持っていました。ゴジラも蝶ネクタイ姿で正装で登場しました。
さらに登壇者の皆さんが履いていた靴は、「ゴジラシューズ」といい、全員が同じ靴を履いていました。かかとの部分がゴジラの手になっています。実際にオンラインで購入することができるようになります。
「惹きずり込まれる運命」(ゴジラシューズ)
・ドレスシューズ 9万6800円
・ヒールパンプス 8万2500円
※数量限定で2024年夏ごろに販売予定
日比麻音子キャスター:
(アカデミー賞で)2つの作品が受賞したというニュースが飛び込んでくるのは、本当に嬉しいことです。
宮崎作品は私も拝見しましたが、忘れられない世界観で、「宮崎監督、帰ってきてくれてありがとう」という気持ちになりました。世界で日本のカルチャーが評価されるのは、何より嬉しいことですよね。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
暗いニュースが多い中で、日本のソフトが世界に発信されていくのは、いいことですね。しかも、その予算がすごいんですよね。
「ゴジラ-1.0」 わずか35人でVFXを使いこなす
齋藤キャスター:
そうなんです。実は「ゴジラ-1.0」は、かなり低予算で製作されているということも含め、かなり注目されています。詳しく見ていきます。
あらすじは、戦後の日本にゴジラが襲来し、“無(ゼロ)”から“負(マイナス)”へ。絶望的な状況に、人々はどう立ち向かうのか?、となっています。
アメリカのエンタメ業界誌では、ハリウッド作品に比べて、低予算にもかかわらず、「ゴジラ-1.0」は見事な出来栄えだと評価されています。
特に、VFX=視覚効果がスゴイと言われています。
このVFXというものは、「撮影した映像」に「編集技術」を合わせ、現実では“ありえない”演出・効果が可能になるというものです。「スター・ウォーズ」や「タイタニック」などに使われてるそうです。
この技術を駆使しようとすると、ハリウッド作品でも1000人くらいが参加するそうです。しかし、「ゴジラ-1.0」は、クリエーターわずか35人でVFXを使いこなしたということです。
日比キャスター:
あまりにリアルすぎて、映画を鑑賞した外国人が「日本に本当にゴジラがいた」と思い込むくらいの迫力だったとも伺っています。この35人の力はすごいですよ。
齋藤キャスター:
山崎監督は「逆に効率的でいい」という話をしていました。
山崎監督が一目置く25歳の実力派
齋藤キャスター:
山崎貴監督が一目置く若き実力派の方がいらっしゃいます。白組コンポジターの野島達司さん(25)です。
この方は水を担当したんですけれども、数千万粒の水しぶきを表現しました。
白組 野島達司さん
「ゴジラ以外の周りの点々ひとつひとつの粒があるんですけど、全ての点をどっちに進むか、計算するのをコンピュータにやらせる」
そして、元になるのが小さな船をゴジラに見立てた映像だそうです。
野島達司さん
「CGだけの状態に、さらに合成して上に重ねる。最終的に海を泳ぐゴジラが出来る」
日比キャスター:
すごいテクノロジーですね。若手が実力を発揮して、評価されるというのはすごいことですよね。
南波雅俊キャスター:
すごいですね。野島さんを自由にやらせる山崎監督の度量というか、それを認めている風土もすごく大きいというふうにも感じますよね。
「何で国内だけ考えているんですか」 製作段階で世界も視野に
齋藤キャスター:
インタビューで2人で話してるシーンを見ても、かなり野島さんが山崎監督に物申している場面もあり、このようなエピソードがあります。
野島さんが作っている作品に対して、山崎監督が「いいじゃん!」と言ったそうです。すると…
野島達司さん
「これでいいんですか?アメリカ納得しますかね?」
このような発言をされたということです。
監督としては「日本でブレークして、そして後に世界に」と思っていたそうですが、もう野島さんは最初から世界を見ていました。野島さんは「(監督は)大体7割くらいでOK出しちゃうからな」というふうに言っていました。
若い実力について…
山崎貴監督
「“Z世代の実力”は怖いなと思ったんですけど、『ゴジラは世界を目指しています。何で国内だけ考えているんですか』と言われたとき、(私自身)ハッとした」
こういった若い力が支えていて、35人で作り上げたということですね。
日比キャスター:
過去の視覚効果賞は、「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」、「E.T.」、「タイタニック」などが受賞し、それを今回獲ったと。しかも、この若手の存在ですよね。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
低予算ということもあり、今後の日本も人口が減っていく中で、映画も国内だけだと売り上げも飽和状態なので、こういうコンテンツをしっかり最初から海外に向けて発信していく。
東宝自体も、今回それにかなり力を入れて海外での商標権などを取り戻して、配給や宣伝を一括して自分たちでやるということをやって、今回の受賞に繋がったと。
これがきっかけになって、いろんなアニメも広がっていくといいですよね。
南波キャスター:
別の媒体で野島さんが受けていたインタビューを見たのですが、「非常にレベルの高いグラフィックでも、まだまだ日本のレベルは海外と比べると20年くらい遅れてる。日本全体のレベルを上げるのが目標だ」ということも言っていて、この年代で全体を見渡せるのは、すごいことですよね。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
そういうためにも、人数が少ないとどうしても低賃金・長時間労働になってしまうと思うので、こういう業界がこういうのをきっかけにして、どんどん待遇が上がって盛り上がっていくことを期待したいです。
日比キャスター:
改めて、「おめでとう」と「ありがとう」を伝えたいです。