和歌山県串本町にある“日本初”の民間ロケット発射場から打ち上げられた小型ロケット「カイロス」は、発射からわずか5秒後に爆発しました。アメリカの宇宙開発企業「スペースX」を率いるイーロン・マスク氏は、Xで「ロケットって難しい」と投稿。今後の日本の影響について、専門家は「ビジネスという点で、2年ぐらい遅れるんじゃないか」と話しました。
【写真を見る】イーロン・マスク氏「ロケットって難しい」 “日本初”の民間ロケット発射、わずか5秒後に爆発 専門家「ビジネスという点で2年ぐらい遅れるおそれ」【news23】
発射場周辺に落下も、けが人はなし
14日、午前11時ごろ。
記者
「大きな爆発音のようなものがしたと同時に、機体の姿が消えた」
観客
「飛ばんぞ。爆発や」
アナウンス
「発射点火後に爆発して機体がバラバラになったと…」
発射の5秒後に爆発した、小型ロケット「カイロス」の初号機。
和歌山・串本町にある日本初の民間ロケット発射場から、宇宙に向かう初めてのロケットになるはずでした。
観客は…
「夢にも思いませんでした。辛いです。孫たちも楽しみにしてた」
「すごく残念です。がんばれって応援したよね」
記者
「消火活動が行われている様子が確認できます」
発射場の周辺には落下したとみられる部品や、先端部分の一部とみられるものも確認できます。けが人はいませんでした。
「失敗という言葉は使わない。今後の挑戦に向けた糧に」
カイロスを開発したスペースワンは、爆発の原因は調査中としながらも…
スペースワン 豊田正和 社長
「安全な飛行中断をすることができた」
スペースワン 遠藤守 取締役
「“自律飛行安全”といって、ロケットに搭載しているコンピュータによって、異常を判断する」
――ロケット自らが、機体の異常を感知して破壊させたという理解でいいか?
スペースワン 遠藤守 取締役
「設計上は、そういう機能が働いたということ」
ギリシャ語で「チャンス」の意味が込められているというカイロス。
人工衛星を、安価かつ高頻度で宇宙に送り届ける「宇宙宅配便サービス」の確立を目指しています。
当初、2021年度中の打ち上げを目指していましたが、新型コロナの影響で、2度延期。
その後、2023年2月の打ち上げを予定していましたが、ウクライナ情勢による、供給の乱れなどの影響でさらに延期。
3月9日にも、打ち上げを予定していましたが、警戒海域に船がいたために延期。
何度も延期される中、ロケットにちなんだお土産が用意されるなど、地元では期待が高まっていました。
打ち上げを見守った人
「楽しみが先に延びたと思って、またリベンジします」
スペースワン 豊田正和 社長
「温かく応援してくれた方たちに、十分なお応えができず、期待に応えられなかったことは、お詫びを申し上げたい。スペースワンとしては、失敗という言葉は使いません。すべて、今後の新しい挑戦に向けた糧と考えている」
イーロン・マスク氏「ロケットって難しい」
アメリカの宇宙開発企業「スペースX」を率いるイーロン・マスク氏も、カイロスの爆発に言及。
イーロン・マスク氏の投稿
「ロケットって難しい」
政府の小型衛星を載せていたカイロス。
日本の小型ロケットビジネスへの影響について、専門家は…
大同大学 澤岡昭 名誉学長
「民間の場合はあくまで、お客様が安心して注文してくれなきゃいけない。しかも、世界中でいろいろなところが、同じような小型ロケットの売り込みをしてますから、ちょっと様子を見ようということで、ビジネスという点では、おそらく2年ぐらい遅れるのではないか」