派閥の裏金事件を受け、自民党は先ほどから党紀委員会を開いていて、まもなく関係議員ら39人の処分を決定します。ただ、既にこの処分をめぐり、党内からは不満の声が相次いでいます。
【写真を見る】「到底納得できない」塩谷氏、“裏金”安倍派議員ら処分決定へ、処分めぐり党内から不満続出【Nスタ解説】
“裏金”安倍派5人衆を処分へ 真相究明は?証人喚問は?
加藤シルビアキャスター:
派閥の裏金事件に関わった39人の議員らの処分について、4日の党紀委員会で決定されるということです。現在、取材でわかっている処分についてまとめていきます。
処分は8つあり、上から順に重い処分となります。
「除名」
「離党勧告」
「党員資格停止」
「選挙での非公認」
「国会・政府の役職 辞任勧告」
「党の役職停止」
「戒告」
「党則遵守の勧告」
そのうち上から2番目に重い「離党勧告」になるのが、塩谷元文部科学大臣と世耕前参議院幹事長です。この2人は2022年4月に開かれた「キックバックの中止」を決めた会合、さらにその4か月後に開かれた「キックバックの復活」を巡る会合について、2人とも出席していたという点、塩谷氏は座長を務め、世耕氏は参議院の取りまとめをしていた立場を鑑みて、この処分になるということです。
その他に上から3番目に重い「党員資格停止」という処分になるのが、西村前経産大臣と下村元文部科学大臣。それぞれ1年ということになります。
こちらの4人(塩谷元文科大臣、世耕前参院幹事長、西村前経産大臣、下村元文科大臣)は政治倫理審査会に出席しています。
世耕氏に関しては、「キックバックの中止」を決めた会合の1か月前に開かれた、2022年3月の安倍派幹部の協議について、政治倫理審査会でこのように答えています。
世耕前参院幹事長
「私のスケジュール表には残っておりませんでしたし、私自身の記憶にもありません」
しかし、自民党側から「2022年3月に安倍派幹部が協議していた可能性がある」と野党側に報告されています。こうしたことを受けて、野党から世耕氏の証人喚問を求める声が上がっているという状況です。
“裏金”問題 真相は解明されるのか?
加藤キャスター:
今後、“裏金”の真相解明はあるのでしょうか?そして証人喚問は行われるのでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
残念ながら真相解明は進まないと思います。
理由は二つありまして、一つは、ほとんどの人たちは警察に事情聴取を受けていて、その段階で防衛ラインを自分で決めちゃったんですね。「自分は関係していません」とか「秘書がやりました」とか、ずっとそれを言い続けているわけですから、新しいことを言うとは思えないということ。
それから、全体の中で一番派閥を仕切っていた森元総理の新しい証言が得られないということですので、真相に迫るのはまず難しい。証人喚問というペナルティのあるところに出てきてもらって、何人か並んで矛盾を追及することをやれば、少しは道が開ける可能性はあるんですけど、おそらく自民党は絶対反対するでしょうから、残念ながら真相解明はできないという状況になってきました。
ホラン千秋キャスター:
真相解明できないけれど、ここで処分をすることで幕引きをはかりたいという思いが自民党としてもあると思いますが、これで本当に世間が納得するのでしょうか。
星さん:
この問題も本質はそこだと思うんです。つまり、岸田さん含め、政治家にとって“かなり重いペナルティ”だと思っているんですけど、世間からすると「そんなの当たり前でしょう、これだけ悪いことやったんだから」と、ギャップがものすごいわけですよね。
ですから、いくら岸田さんや党の執行部が重い処罰だと言っても、世間は納得しないという状況に陥ってしまいましたね。
井上貴博キャスター:
そもそもなんですけど、この一連のニュースで「処分」という言葉がそぐわないんじゃないかなと思っていまして「処分」というのは実態解明をして、原因がわかって、裏金を何に使っていたのかがわかって、だから、あなたを処分します、となるはず。
それもしないのにポーズでしかない。こんな姑息なやり方は本当に馬鹿にされてるなと思います。民間企業でいうと、組織のトップが責任を取るのは当然ですよね。最高責任者はどなたかというと、岸田さん。処分されないんですか。
星さん:
民間企業で、この規模のスキャンダルであれば、社長が処分されるのが当たり前ですが、岸田さんは今のところ処分を逃れているということです。最終的に岸田さんは自分の処分について何か発信する可能性はまだ残っていると思います。
4日夕方、記者団に対応する予定になっているので、そこで自分の責任について何か発信をするか、今、岸田さんが最終的に知恵を絞っているところだと思います。
そもそも真相がはっきりしないのに処分という、相当無理筋に幕引きを急いでるとしか思えませんので、そこの全体の責任を含めて岸田さんがどう答えるかですね。
ホランキャスター:
一旦、形として処分が決まっていくと思いますが、当人たちが処分を渋ったらどうなるのか?とか、党員資格の停止とか、政治家として、どれくらい影響があるものなんですか?
星さん:
永田町の論理としては「党員資格停止」になると無所属で出馬することになりますから、選挙では相当のハンディを背負うことになります。議員心理からすると相当キツイですが、世間からすると当然ですし、これからいろいろな手続きがあるでしょうけど、「離党勧告」を拒否したら「除名」ということになりますから、そこは比較的議員にとっては厳しい対応ですよね。