![32歳・松山英樹「技術と体力がないとどんな心を持ってても通用しない」年齢重ね生じた変化とマスターズへの思い](/assets/out/images/jnn/1103729.jpg)
男子ゴルフの今季メジャー初戦、マスターズが11日(日本時間)に開幕する。今年で13回目の出場となるのは松山英樹(32)。2月のジェネシス招待でアジア勢最多となる米ツアー9勝目を挙げ、直近のバレロテキサスオープンでも7位となるなど、優勝以降は4戦で3度のトップ10入り。3年ぶり2度目のマスターズ制覇へ期待が高まる。2月に32歳になった松山は、年齢を重ねるなかで、ある変化が生じたと明かす。
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石井大裕TBSアナウンサー:2023年はゴルファー松山英樹にとってどんな年でしたか?
松山英樹プロ:本当に悔しいシーズンでしたし、なかなか思うようにいかなかったなっていうのが最後まで続きましたね。
石井アナ:思うようにいかなかった。その悶々とする中でも戦ってきたわけじゃないですか。どうやってコントロールしてました?
松山プロ:コントロールしきれてないっていうか。年齢も重ねていって、諦めるのが早くなり過ぎちゃってるんで、最後の粘りっていうのは出せなくても、うまくいかないとすぐ切れちゃうじゃないですけど、何かちょっと気持ちが入らなくなったりするのはあったんで、そういうのはしっかりと(2024年は)なくさないといけないなというのは思ってますね。
石井アナ:2013年に日本で賞金王を獲って10年間アメリカで戦ってきた。改めてどのように思います?この10年。あっという間?
松山プロ:そうですね。あっという間ですね。もう10年経ったんだって感じですね。
石井アナ:ゴルフは当然進化してるわけじゃないですか。ここの気持ちでさらに磨き上げた技術だったりとか、勝ちきるっていう部分を出すっていうのは・・・
松山プロ:そこが大変なんですけどね。
石井アナ:そこですよね。さっきも年齢っていうこともありましたけど。どうすればいいんですかね。
松山プロ:やっぱり練習しなきゃいけないなと思いますし、2022年に怪我して23年は、試合に出たいからちょっと練習量を減らして痛みが出ないようにしてやってたんで、そこはやっぱりもどかしいですよね。
石井アナ:本当にゴルファーって大変だなっていうのを改めて感じていて。松山選手の一番すごいなと思うところは、やっぱりツアー選手権(フェデックスカップポイントの上位30人が出場できる最終戦)に9年連続で出ていた、ここはやっぱり現役選手の中で最長だったわけですよね。でも、2023年に関してはそれができなかった。この部分については松山選手はどのように捉えられたんですか?
松山プロ:やっぱ悔しいですし、優勝の次に重きを置いてたんで僕の中で。そこを達成できなかったっていうのは本当に悔しかった。シーズンの途中ぐらいからゴルフの状況と、現状のランク的に「ああ、もう厳しいのかな」って正直思ってたんで。それでも諦めたくなくて頑張ってたお陰で、多分50位以内には入れたと思うんですけど(50位)、正直シーズン途中から厳しいなとは思ってました。
石井アナ:当然上手くいかないタイミングというのはあるわけじゃないですか。怪我があって、2022年もそれでも出てたわけですよね、ツアー選手権。
松山プロ:2022年のことに関して言えば、シーズンの最初の方に優勝してポイントを稼いでたんで。そういう意味で、出られなくてももう行けるぐらいのポイントは稼いでたんで、そこでやっぱ余裕はあった。2023年は大きなケガはなかったですけど、やっぱりいけなくてこの成績じゃ仕方ないよなと思ってましたね。
「技術と体力がないとどんな心を持ってても通用しない」
石井アナ:プロに転向して最初のマスターズ(2014年)。この時の気持ちと今のゴルフをやっている時の気持ち。もちろんマスターズチャンピオンになられて見える景色も変わったと思いますけど、違いってあるんですか?
松山プロ:あると思いますね。やっぱりこのときは、「上を上を」って思って、ずっとそこしか見てなくて。試合をやっていく中でも、諦めるじゃないですけど、上手くいかなくても「どうにかしよう、どうにかしよう」と必死に結果につなげようとしてたんですけど。今はやっぱりうまくいかないってなると、まず技術をどうにかしたいなっていう。結果じゃなくて、そっちに走っちゃってる部分がある。長い期間アメリカでやってる中で結果を求めてずっとやってたところで、その根本的な技術が崩れてしまってるんで、それでやっぱ先に技術をどうにかしたいっていう風に走っちゃってるんで。今この時の気持ちを早く戻さないと、「結果を、結果を」っていう風になっていけば、もう少しまた変わったところが見れるんじゃないかなとは思ってますけど。
石井アナ:深いですよね。そういうさっきもあった諦めちゃう部分が2023年はあった。諦めちゃうっていうのはどういうことなんでしょう?
松山プロ:試合中に優勝を目指してやってる中で、ちょっとこれは優勝は難しいかなと思った時の気持ちの持ち方が、前なら「トップ5、トップ10には絶対にいたい」とか、そういうのがあったのが、ちょっとずつそこじゃないところに、結果より自分のゴルフをどうにかしたいという方にいって。やっぱりそうすると結果もついてこなくなるんで、気持ちはちょっと結果と離れちゃってるんで。そこはやっぱり最近の中で一番悪い部分だなっていうのは自分でも分かってますし。それをどうやったらそこに戻るのかなとか分かんないですけどまだ。やっぱ技術的に落ち着いて戦えるものが作れれば、多分戻ってくるんじゃないかなとは思ってますけども。
石井アナ:よくやっぱアスリートだとそういう時に、心をもっとこうしてメンタルトレーニングしてとか言いがちだと思うんすけど、松山選手は今、技術っていう、心技体あったら心じゃなくて、技術だって今はっきりとおっしゃったんですけど。
松山プロ:そうですね。そこがあっての心だと思うんで。
石井アナ:技術あっての心・・・これはどういう?
松山プロ:やっぱり若い時はその心、気持ちだけでどうにかできた。それは若いんで、どうにかしようと思ってできたのが、やっぱりもう年取ってくるにつれて・・・やっぱり色んなものを経験した中で、しんどくなってくる時に頼れるものは技術しかないと思いますし、それは体力もそうですけど、技術と体力がないとどんな心を持ってても通用しないものは通用しないので。
マスターズのサンデーバックナインの雰囲気
石井アナ:いつもより1週間(開幕が)遅いんですよね。
松山プロ:寒くないといいです。2年連続気温がガタって落ちてるんで。お願いだから雨降ってもいいんで気温だけ落ちないようにしてほしいです。
石井アナ:2023年の経験も踏まえて24年というのはどういった・・・
松山プロ:2021年、自信を持って挑めて勝てたところで、そういう一つの経験として今ああいうゴルフをすれば勝てるっていうのが分かってるんで、そこにどれだけ近づけるかだと思います。
石井アナ:改めて思うマスターズの魅力は?
松山プロ:現場で見てる人が一番分かると思うんですけど、やっぱあの雰囲気ですかね。もうやっぱり優勝争い、サンデーバックナインに入った時の雰囲気っていうか。あの緊張感っていうのは、やっぱりテレビもすごくいいんですけど、現場で見るとさらに緊張感は高まると思いますし、その緊張感をパトロンが作ってるんで、もう本当にプレーしてて最高の環境だなと思いますね。
石井アナ:やっぱり特別なんですね。松山選手にとっても。
松山プロ:全然違いますね。優勝して3年経っているので、もう1回勝てるように頑張ります。