「標本室は目の開けられないくらい…」731部隊の実態、元少年兵の目に焼きついた光景【報道特集】

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2024-04-20 06:31
「標本室は目の開けられないくらい…」731部隊の実態、元少年兵の目に焼きついた光景【報道特集】

世界で戦争や紛争が起きるたびに私たちが目にするのは、傷付いた戦争弱者としての子どもや若者たちです。一方で、若者たちが戦争に加担させられるケースもあります。先の大戦で、日本の少年兵たちが細菌兵器の開発や実験にかかわっていた事実はあまり知られていません。

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731部隊 元少年兵の証言

軍服を身にまとった男性。京都大学医学部出身の軍医で名は石井四郎。

石井が創設し、隊長を務めたのが通称「731部隊」だ。第2次世界大戦下、旧満洲で細菌兵器の製造と使用。そして、人体実験を行っていた。

731部隊研究の第一人者、故・常石敬一氏によれば、2000人とも3000人とも言われる人々が人体実験の犠牲になったという。

最終的に軍医として最高階級の中将となる石井のもとには、名門大学出身の名だたる医師や研究者が集った。

実はこの部隊に、14歳の少年たちも連れて来られ、細菌兵器の製造などに荷担させられたことはあまり知られていない。我々はこのうち1人の男性に話を聞くことができた。男性は長野県の宮田村に暮らしているという。訪ねてみると…

清水英男さん、現在93歳。しっかりした足取りで取材班に自らコーヒーを運んできてくれた。

80年前の記憶も鮮明だ。清水さんの手元に唯一残された731部隊の写真。

清水さんと同じ宮田村など、付近の町から731部隊に招集された人が多くいたという。

清水さんが入隊したのは、終戦4か月半前の1945年3月30日。そのころ、沖縄でも10代の少年たちが「鉄血勤皇隊」として戦地にかり出されるなど、敗色が濃厚になっていた。

そもそも清水さんは、どのような経緯で入隊させられたのか。

清水英男さん
「先生が、私は見習い技術員だということだったから、工作の好きな生徒を推薦したのではないかと思います」

――何の見習い技術員かは?

清水英男さん
「全然、やる仕事のことは一切ノーコメント。何やるかはわからない」

731部隊の本部は、旧満洲、いまの中国のハルビンにあった。これは隊員の証言をもとに作られた731部隊の本部の地図だ。

清水さんの少年兵としての生活は「少年隊舎」で始まった。入隊した日に隊舎の前で集合写真を撮影したという。

その後、連れていかれたのが、講堂の横にある建物の2階、細菌実習室だった。

清水英男さん
「そこ(細菌実習室)で全部(服)脱いで消毒する。それで白衣を着ろと、自分の上(着)を脱いで。これは衛生関係の仕事をやるのかな、そこでやっと気がついたくらい」

少年兵たちは班に分かれ別々の仕事をさせられたが、清水さんにはネズミの肛門に付着した細菌を確認するなど、細菌に関する仕事が割り当てられたという。

清水英男さん
「菌があるかどうか、プラチナの耳かきのようなもので(ネズミの)お尻から液をとって、シャーレに寒天を溶かした培養(液)があるから、入れてふたをして、培養器の中に入れる」

捕虜を木の丸太になぞらえて「マルタ」と呼び人体実験に…

清水さんら少年兵もいた731部隊の跡地が中国のハルビンにある。731部隊が細菌兵器の実験や研究で使っていた物などが展示されている。

731部隊は、中国人などの捕虜を木の丸太になぞらえて「マルタ」と呼び、人体実験に使った。

跡地に大きくそびえ立つ煙突。この付近でも「マルタ」が殺され焼かれたという。

731部隊の標本室に当時、並べられていたホルマリン容器。清水さんは上官から見せられたという。

清水英男さん
「標本室は本当に目の開けられないくらい(印象が)強かった。ホルマリン漬けで心臓だとか、胃だとか、盲腸だとか、そういったものがみんな別々に(ホルマリン容器に)入っている」

上官から「マルタを解剖したもの」と伝えられたという。

清水英男さん
「(捕虜を)解剖した標本にしたガラス瓶入りの女の人のお腹にいる子どもとか、頭を(縦に)のこぎりで切る。のこぎりで切るなんて、ひどいことをやるなあと思って見てはきました」

清水さんにはこんな経験もあった。仲間3人でいるとき、上官がパンを差し入れてきたのだという。

清水英男さん
「ふかしパンを3つ持ってこられて、上官が持ってきたから食べた。熱が42度3分」

――そのパンを食べたら熱が出たんですか?

清水英男さん
「そう。1週間寝ていた」

――3人いたでしょう?

清水英男さん
「3人食べたけれども、そのうちの(自分の)一つだけ」

清水さんは42度を超える高熱にも関わらず、手当てが施されたのは1週間後だったという。

清水英男さん
「1週間たったらやっと注射を打ってくれた。それまでは脈拍と体温を測っていくだけ」

この1週間でデータをとられ、清水さん自身がなんらかの実験台にされたのではないかと振り返る。

清水英男さん
「だから少年隊員は、1期生から4期生まで、体のいいマルタにするつもりではなかったかなと私は感じている」

14歳の清水さんにはあまりにも強烈な体験だった。しかし、清水さんら731部隊の隊員には帰国してから一切語らぬよう、厳しいかん口令が敷かれていた。

清水英男さん
「(帰国後は)隊員とは交流してはいけない、部隊のやっていたことは言ってはいけない」

――もちろん家族にも?

清水英男さん
「言わなかったです。家内にも言わなかった」

清水さんが731部隊について話し始めたのは数年前。80代になってからだった。

なぜ話し始めたのか。「事実を子どもたちに伝えなければならない」との思いで講演の依頼を受けるようになった。終戦からは、実に70年以上が経っていた。

だが、清水さんのことが報道されると、ネット上では清水さんを中傷する書き込みも。

ネットの書き込み
「このジジイ、嘘ついてやがる。小学校しか出てないガキが『見習い技術員』だ?デタラメもいい加減にしろ」

さらに、731部隊による細菌兵器の製造や人体実験がそもそも嘘だとする書き込みもあった。

これは731部隊の隊員の氏名や本籍地などが記載された名簿だ。淸水さんの名前と生年月日が記されている。

清水英男さん
「まったく何も嘘ついているわけではありません。私は経験してきたことと見てきたこと、やったことだけしか言っておりませんので」

同じく14歳で入隊した男性「細菌の『さ』の字もなかった」

清水さんは、ほかの隊員とも連絡を取っている。

清水英男さん
「お会いできてありがたい」
須永鬼久太さん
「どうもありがとうございます」

訪れたのは軽井沢町。96歳の須永鬼久太さんだ。清水さんより3年先、14歳のときに入隊した。

須永さんが、唯一ハルビンから持ち帰ってくることができたものがある。それがこのアルバムだ。

これは同じ年齢の隊員と撮影した写真。入隊したのは終戦の3年前。終戦間際に入隊した清水さんとは状況が異なり、自ら志願した部分もあったという。

731部隊の元少年兵 須永鬼久太さん
「そのころ日本中が軍国主義一色。いずれにしろ、年になれば兵隊に引っ張られると。同じ行くなら1日でも早く行って少し偉くなった方がいいなって気持ちはありましたね」

731部隊の正式な名称は「関東軍防疫給水部」。本来の目的は、疫病対策や飲料水の確保であり、細菌兵器を扱うとは思わなかった。

須永鬼久太さん
「関東軍防疫給水部というのはわかっていた。ただ、防疫給水部ということは字の通りですから。細菌の『さ』の字もなかった」

須永さんが配属されたのは焼成班。ペスト菌など細菌に感染させたノミを入れる陶器製の爆弾容器を作るのが仕事だったという。

須永鬼久太さん
「(爆弾容器は)800度ぐらいで素焼きする。それから瀬戸物は上薬を塗って、また1200度くらいにして。形は普通の筒型みたいなもの。これが細菌爆弾だなと初めてそのときにわかった」

この細菌爆弾の実験が繰り返し行われたという。

ハルビンから西へ約150キロ。安達という町に実験場の跡地として看板が立っていた。須永さんも安達の実験場を訪れたことがあるという。

捕虜は十字架に貼り付けられた上、円上に立たされる。その真ん中でペスト菌などの爆弾を炸裂させ、感染するかどうか実験したという証言もある。

須永鬼久太さん
「安達の演習場ではマルタを何mおきか、あっちこっちに散らばせて、(細菌爆弾を)落として何時間後に発病したとか、何時間後には熱が出たとか、何時間後には死亡した。そういう研究をしていたのではないか」

731部隊で作られた細菌兵器は実戦で使われた。浙江省の義烏市や付近の村など中国各所で多くの住民が亡くなったという。

「死者は爆発的に次から次へと…」中国で使われた細菌兵器

2002年8月、731部隊による細菌兵器で被害を受けたとして、中国人の遺族らが日本政府に賠償と謝罪を求めた裁判。最高裁まで争われ、賠償請求は棄却されたが、細菌兵器で大勢の中国人が死亡した事実を司法が初めて認めた。

だが翌年、当時の小泉内閣は…

「外務省、防衛庁等の文書において、関東軍防疫給水部等が細菌戦を行ったことを示す資料は、現時点まで確認されていない」

裁判で原告団の代表だった王選さん。自身も、おじを細菌兵器によって亡くしている。

留学生として来日して以降、長く日本に滞在したのち、支援を得て浙江省義烏市に細菌戦に関する展示館を建設。細菌戦の事実を次世代に伝える活動をしている。

細菌戦被害裁判の原告団代表 王選さん
「一番、日本軍が細菌兵器を使用したのは、浙江省です」

――どのくらいの人が被害に遭ったかというのはわかっているのですか?

王選さん
「義烏市内は現在、私たちの調査によると(細菌兵器による被害者は)1300人や1400人ぐらいです」

日本政府の対応については…

王選さん
「反省しなければいけない。日本にとってはマイナスの遺産」

――中国の人にとってはどうですか?

王選さん
「歴史を正確に記録する。目的は、やはり被害者の命の尊厳を守る、一つですよね」

王選さんの案内で、母や妹が亡くなったという96歳の男性に話を聞くことができた。

王基木さん
「私は当時16歳。母はわずか35歳、妹は12歳でした。いとこは15歳でした。死者は爆発的に次から次へと広がって、それから村は焼かれました。毎日20人ぐらいが死んでいきました」

義烏市のこの村では、日本軍が投下したペスト菌に感染し多くの人が亡くなったという。

王基木さん
「死体がたくさん出たので棺桶も足りなくて、そのまま土に埋められた人もいました」

「(戦争は)駄目です」731部隊 元少年兵の訴え

1945年8月15日、日本は終戦を迎えた。当時から細菌兵器の使用についてはジュネーブ議定書が作成されるなど、禁止する動きが広がっていた。731部隊は撤退する際、証拠を隠滅するために、書類を焼却し、施設を爆破したという。

清水さんは終戦の3日前、焼かれたマルタ(捕虜)の骨を拾うよう命じられた。

清水英男さん
「(8月)12日の朝、骨を拾いに行けと」

――骨?

清水英男さん
「骨を拾ってしまって麻袋に入れて、拾い終わったら爆弾を運べと。4人でロープをかけて担いで各部屋へ配った。それが終わったら退避しろということで、ボイラー室の方まで退避して、(その後)爆破したのを見た」

さらに終戦の前日には…

清水英男さん
「(8月)14日の朝、隊舎にいたら呼び出されて、拳銃と青酸化合物を渡されて」

――上官に?

清水英男さん
「結局、私は(当時)14歳だからまったく子ども。捕まれば標本室を見たために、それをバラされると。捕まったら自決しろと」

改めて、731部隊について何を思うのか。

――子供を使ってこんなことをさせるって、本当にひどい話だと僕は思うんですけれども

清水英男さん
「そう思いますね。今でいったら中学3年生だもんね。私達も行くときはこんなことするとは全然思いもよらなかったからね」

――戦後、国、あるいは行政は何らかの補助は?

清水英男さん
「何も連絡も来ない、いっぺんも来ない。本当に連絡さえよこしてない。今の若い人たちは、こういった戦争の残酷さをきちんと習得してもらって、やってもらわないと、これからの日本はどうなるのかなと思っております。(戦争は)駄目です。やったら駄目です。もう今度、原爆なんか使うようになれば、もう地球も終わりだね」

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