刑事事件の裁判に市民が参加する裁判員制度が始まってきょうで15年。一市民の立場で死刑という究極の判決を下した裁判員経験者がその苦悩や国に求めることを語りました。
【動画】裁判員裁判15年 「死刑制度の情報公開を」 死刑判決の裁判員が法務省に申し入れ
記者(2009年)
「多くの人が傍聴券を求めて並んでいます。全国初の裁判員裁判、その注目の高さが見てとれます」
一般市民が裁判に参加する裁判員制度が始まって15年。殺人や強盗致死など重い刑事事件の1審に適用されてきました。
裁判員経験者の女性
「精神的には重たかったなっていうのは、今でも思っています」
かつて、裁判員として死刑判決の言い渡しに関わった経験を持つ女性(60代)。
裁判員経験者の女性
「毎晩のように裁判関係の夢を見て、うなされてたぞって主人に言われました」
10年ほど前、2人を殺害し、殺人罪などで起訴された被告の裁判を担当しました。審理では常に葛藤を抱えていたといいます。
裁判員経験者の女性
「死刑求刑が出たときが一番気持ちが重くなったというか、被告人の持っている人間関係とか家族とか、そういうことを考えたら、判決がはっきりするのが怖い」
そして熟慮の末、職業裁判官らと下したのは死刑という究極の判決でした。
しかし、死刑囚たちはその後、拘置所でどのように生活するのか、死刑の手続きはどう進むのか?
振り返ると、その判断の重さに比べ、死刑制度についての知識は十分ではなく、今も事件が頭から離れないといいます。
女性らは、市民が死刑判決に関わる今、国はもっと死刑に関する情報を裁判に関わる前に市民に伝える必要があるとして、きのう国に情報公開などを要望しました。
裁判員経験者の女性
「私の決めたことが1人の運命というか、寿命、命を決めているんだなという、そういう覚悟のようなものは常に持っています」
裁判員裁判では、これまでに46人に死刑が言い渡され、すでに数人の刑が執行されています。