近年、海外でも絶大な人気を集めている「日本猫」。知っているようで知らないその実態について、詳しく紹介します。
1.日本猫のルーツは中国
そもそもの日本猫のはじまりは、奈良時代にまで遡ります。中国から経典を輸入する際に、ネズミ対策として一緒に船に乗せられたというのが有力な説です。しかし長い歴史の中で少しずつ役割が変化したことが、いろいろな文献から判明しています。
平安時代には宮中に上がるほど人々から重宝され、貴重な愛玩動物として首輪をつけて飼われることもあったそう。しかし江戸時代に入るころには、本来の役割である「ネズミ対策」のために再び解放されることとなりました。
しかしこれはあくまで一説であり、日本猫がいつ誕生したのかは今もって明らかになっていません。
2011年に長崎県壱岐市のカラカミ遺跡で行われた調査では、日本猫のものと思われる骨が発見されました。当時の猫の役割までは分からないものの、弥生時代から日本猫がいた可能性が浮上したのです。
2.純血種はほとんど残っていない
犬には「柴犬」「秋田犬」など日本原産の純血種が多数存在していますが、残念ながら日本猫の純血種はほとんど残っていません。というのも、第二次大戦後にシャムやアメリカンショートヘアなどの洋猫が日本に輸入されたからです。
とくにシャム猫が日本全土で流行となった影響で、日本猫との交配が盛んになりました。猫は元々繁殖力の高い動物ですが、ネズミ対策のために放し飼いにされていたことも原因といえます。そもそも当時は「純血種」という認識がほとんどなかったこともあり、保守しようという動きもありませんでした。
しかしこの状況を危ぶんだ動物学者「平岩米吉」が昭和46年に種の保存を呼び掛けたことで、やっと「日本猫」の定義が定まります。結局のところ純血種の日本猫がどれくらい残ったのかは今もって不明ですが、現在、一般的に呼ばれる「日本猫」は、正確にいえば「日本猫をルーツとした雑種」ということです。
3.海外で「純血種の日本猫」が誕生
悲しい運命をたどってしまった「日本猫」ですが、意外な場所で急展開を迎えます。海外に輸出された日本猫を元に、「ジャパニーズ・ボブテイル」と新しい猫種が誕生したのです。これは1960年代、アメリカ人ブリーダーである「エリザベス・フローレット」が、日本を訪れたことから始まります。
初めて日本猫を見たエリザベス・フローレットは、丸い尻尾が魅力的だとして、自国で交配を始めたのです。
1976年にCFAが「ジャパニーズ・ボブテイル」を正式に認定してからは、世界各地で人気を集めました。よって、海外では「ジャパニーズ・ボブテイル」が純血の日本猫と捉えられています。
ちなみにエリザベス・フローレットが丸い尻尾に魅了されたのは、海外では長い尻尾の猫が主流だったためです。丸い尻尾は劣性遺伝ですが、品種の条件として「尻尾が約7.5cm以下であること」「尾の骨は必ず1つ以上のキンク(かぎしっぽ)になっていること」などが掲げられています。
4.毛色のバリエーションが豊富
特徴的な尻尾に注目が集まった日本猫ですが、多種では類を見ないほどカラーバリエーションが豊富なことでも有名です。
日本猫のカラーには、以下のようなものがあります。
- 白猫
- 黒猫
- キジトラ
- 茶トラ
- サバトラ
- サビ猫
- ブチ猫
- 三毛猫
人気の「茶トラ」「三毛猫」をはじめ、べっ甲を由来とする「サビ猫」のカラーもかなり独特といえます。カラーによって性格が異なることでも有名です。三毛猫はほとんどオス、サビ猫はほとんどメスというのも、猫好きの間ではよく知られる知識ですね。
まとめ
今回は、海外でも人気の高い「日本猫」について解説しました。
特徴である短い尻尾も、カラーバリエーションの豊富さも、「日本猫」ならではのものです。ちょっぴり繊細で気難しいところも魅力といえるでしょう。
正式な品種としての「日本猫」はほとんどいませんが、「ジャパニーズ・ボブテイル」として海外からも愛されているのです。
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