動物の体の中に入ってきたウイルスや細菌などから体を守るための仕組みが免疫です。猫の免疫力が下がり抵抗力が落ちるとどのような症状があらわれるのか、放置した場合の危険についてもご紹介します。
1.くしゃみ・鼻水
猫は免疫力が低下していると、くしゃみや鼻水など、人の風邪に似た症状が見られる「猫風邪」と呼ばれる感染症を発症しやすくなります。
猫風邪にかかると、鼻が詰まってにおいがわからなくなり、その結果食欲が落ちたり、口内炎ができて痛みで食べられなくなることもあります。
また、目にも症状が出る場合もあり、目やにが固まってまぶたが開かなくなることも。実はこの状態を放置すると重症化し、特に子猫や老猫では命を落とすおそれがあります。
猫風邪の原因となるウイルスは、症状が治まっても猫の体内に残るため、猫の免疫力が低下すると猫風邪を繰り返します。また、くしゃみや鼻水の飛沫によって他の猫へと感染が広がります。特に冬は猫の免疫力が下がりやすいため注意が必要です。
猫風邪の予防で大切なことは、「ワクチン接種」です。ワクチン接種を済ませておくことで、猫風邪が発症する可能性を低くしたり、発症しても重症にならずに済ませることが期待できます。
また、普段から生活空間の温度差を最小限にし、多頭飼育を避けるなどストレスの少ない環境で生活させることも、猫の免疫力の低下を防ぐことにつながります。
2.下痢
細菌に汚染されたものを猫が食べたり、ウイルスや寄生虫など感染性胃腸炎の原因になるものと接触したりすると、下痢を引き起こす感染症にかかる危険性があります。
健康な成猫は症状が出ないこともあるのですが、免疫力が下がっていたり、体力が低下したりしている猫では腸が炎症を起こしやすく、下痢をしてしまいます。
傷んで菌に汚染されているフードを猫が口にしないように、フードの管理を徹底することが重要です。賞味期限の確認や食べ残しの片付け、食器を清潔にすることなどに注意しましょう。
特に、梅雨の時期や夏の間は、湿気や室温のせいで食べ物が傷みやすいので要注意です。
また、嘔吐や下痢などの消化器症状が出ている猫とは隔離して生活させるなど、感染症対策を行いましょう。
子猫や高齢猫が下痢をしているときは重症化してしまう可能性があるので、早めに動物病院を受診しましょう。
3.皮膚炎
免疫力が低下していると皮膚炎を起こす病原体が感染、増殖しやすくなります。
代表的な皮膚炎の原因のひとつ、「皮膚糸状菌症」は、免疫力の低い子猫や老猫に多く見られる皮膚炎です。他の病気が原因で免疫力が低下している猫が発症することもあります。
皮膚糸状菌症の原因はカビ(真菌)で、顔や足にできた円形の脱毛やフケで感染に気づくことが多いです。
この症状は、放置していると同居猫や人にもうつってしまうため、特に注意が必要です。
小さな子供や高齢者、免疫力が低下している人は、猫と触れ合った後は手を洗いましょう。他の猫や人にうつらないように、掃除をして清潔な環境にすることも大切です。
まとめ
今回は、「免疫力が下がっている猫」に見られる症状について解説しました。
免疫力が下がっている猫は、ウイルスや細菌などに感染しやすいです。猫に症状があるのに放置していると、治療に時間がかかったり重症化したりしてしまいます。
ちなみに、上記で解説した「皮膚糸状菌症」は、人にもうつる病気です。とはいえ人間用の薬を独断で猫に使うことは絶対にしてはいけません。人体薬の中には猫にとって副反応や毒性が強いものも存在します。
今回解説したような症状が愛猫にみられたら、早めにかかりつけの動物病院を受診して治療を開始しましょう。
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