犬は「記憶力があまり良くない」「起こった出来事をすぐに忘れてしまう」などと言われがちですが、なぜか人に対しては長く会っていなくても覚えていることがあります。久しぶりに会った人に対して、犬たちはどんな行動を見せてくれるでしょうか。
犬が「久しぶりに会った人」にやりがちな行動
犬の記憶力、記憶維持力はあまり長くなく、日常を送るうえでの短期記憶ですと数秒ほどしか残らないと言います。しかし、繰り返しの経験によって形成される長期記憶については、十年以上覚えているというデータもあるようです。
とはいえ、犬は過去の出来事と現在の状況を関連付けて考えるということができません。短期記憶より、現在の状況に対する対処を優先させる傾向があるからです。そのため、過去のいたずらやトイレの粗相などをさかのぼって叱っても理解できません。
叱られている最中にうなだれるのは、こうすれば飼い主の怒りをやり過ごせると理解している、あるいは「もうそんなに興奮しないで」というポーズにすぎません。「やり過ごす」ために過去に経験して学習した行動を起こすということは、経験や学習で得た長期的な記憶が保たれているということですね。
人を覚えているというのも、こちらの長期的な記憶に分類されるようです。人間に会うことでにおいを覚えたりほめられる体験をしたりすると、良い感情とともに長期的な記憶として残りやすいと言われています。
1.じっと見つめる
犬と久しぶりの再会をすると、犬たちはまず人間を確認すると「だれだっけ?」と記憶の確認をするために、じっと見つめてくることがあります。
かなり距離を取った状態でじーっと見つめてくる場合、彼らの脳内では顔と記憶の一致作業が行われているのですね。
犬は嗅覚が優れていると言われますが、常に鼻でにおいを取っているわけではなく、まず情報を得るときは目の場合が多いものです。そのため、久しぶりに会った人を確認したいときも、まずはじっと見つめて視覚情報から記憶を呼び戻そうとします。
見た目の情報から「知っている人だ」と気が付いた犬は、次に尻尾をぶんぶんと振り回して飛び掛かってくるでしょう。
2.においを嗅いで舐める
犬は、自慢の嗅覚を使って相手の存在を確かめます。視覚情報だといまいち思い出しにくい人間だったとしても、犬はにおいに関する記憶はしっかり覚えています。
くんくんと手指のにおいを嗅いでもらっているうちに、「久しぶりに会う人だ」ということは思い出してもらえます。
かつて嗅いだことがあり、しかも昔ほめてくれた、おやつをくれたなどの良い記憶がある場合は、あいさつ代わりにぺろりと指先や顔をなめることもあるようですね。
3.飛びついてくる
犬は久しぶりに会った人を思い出すと、そこで喜んで興奮します。その興奮が高まると一直線に駆け寄ってきたりうれしくて飛び跳ねたり、場合によっては人間に飛びついたりすることがあります。また全身の体重を預けるように、飛び上がって抱っこを迫ってくることもあるでしょう。
喜びのあまり周囲を駆け回って止まらなくなってしまうこともあるようです。
しかし、年齢にもよりますがあまり興奮させた状態を長く続けさせることはしない方が良いでしょう。激しく走り回ることで思わぬ怪我をすることもありますし、喜んで飛び掛かった拍子に人間もろとも転んでしまうこともあります。
また、飼い主が帰宅したときも同様に興奮して走ってよいのだと覚えてしまう可能性もあります。犬は興奮が高まると吠えることもあるので、飼い主さんの帰宅の度に吠えるようになってしまってはご迷惑になりますよね。
犬たちが興奮しているなと思ったら、まず再会を一緒になって喜び興奮して見せるより、いったんクールダウンで犬を落ち着かせてあげましょう。
犬が走ったり飛び掛かってきたりした場合は手を出さず無視を市、止まったタイミングで穏やかなトーンで話しかけて落ち着かせてあげましょう。いい子に座ったらほめてもらえる、ということを覚えてもらうとよいと思います。
まとめ
実家の犬に会う時などは、犬と再会を一緒に喜び合いたいと思うものですよね。
喜んでいる犬がかわいくて、ついつい犬の興奮に合わせて人間側も興奮したり、あるいは甲高い声で興奮を煽ってしまったりすることもあるでしょう。
しかし、犬の興奮のし過ぎは怪我や思わぬトラブルの原因にもなります。うれしい気持ちをぐっとこらえ、なるべくいつも通りに接してあげてくださいね。
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