南海トラフ巨大地震が起きたら「ペット」をどう守る?東日本大震災では3000頭以上の犬が犠牲に…【ペット防災】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-08-09 17:59
南海トラフ巨大地震が起きたら「ペット」をどう守る?東日本大震災では3000頭以上の犬が犠牲に…【ペット防災】

8日、宮崎県日向灘で最大震度6弱の揺れを観測する大きな地震がありました。気象庁は関東から九州の太平洋側などに住む人に対し、「今後1週間は防災対応をとってほしい」と呼びかけています。

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猛暑の中での災害は、他の季節と比べて熱中症などによる健康被害が深刻になります。
それは大切な家族の一員である「ペット」も同じです。ペットの健康リスクを最小限に抑えるためにできることを専門家に聞きました。

水とフードは最低5日 タオルやブランケットは飼い主の“におい”をつけて

8日に発生した宮崎県の地震について気象庁は「別の巨大地震が起きる可能性が平常時より高まっている」と指摘しました。

東京・清瀬市にある、きし動物病院の院長 岸夏樹先生は「人の防災用品と一緒にペットのための防災用品も準備をしましょう。非常用リュックなどにまとめて取り出しやすい場所に保管しておくことも大切」と指摘します。

先生がおすすめするペットの備えを聞いたところ、お水の種類やちょっとした気遣いがポイントになるようです。

【ペットのための防災用品】
1.フード(最低5日分できれば7日分)
2.水(最低5日分できれば7日分)
 →1日分は体重1kgにつき60~70mlを目安にしてください
 →硬度の高いミネラルウォーターは結石予防の為に避けましょう
3.常備薬・療法食
4.食器
5.トイレ用品(ペットシーツ、排泄物用ビニール袋、トイレ用の箱など)
6.キャリーバッグ・ケージ
 →同行避難をするために必須の所もあります
7.首輪・リードやハーネス(伸びないもの)
8.洗濯ネット(猫の場合)
9.タオル・ブランケット
 →キャリーにかけて暗くしたり、落ち着かせるために使えます
 →ペットや飼い主の“におい”をつけておくと良いでしょう

さらに岸先生は災害で万が一ペットとはぐれてしまったり、やむをえずペットを預けなければならなくなったときのためにぜひ作ってほしいというグッズがあるといいます。

もしペットと離れ離れになったら…「ペット情報カード」とは?

環境省によると、2011年の東日本大震災では犬だけで3000頭以上の大切な命が犠牲となりました。また命は助かったものの、飼い主と離れ離れになり、多くのペットが放浪状態になりました。(※1)

きし動物病院 岸夏樹院長「防災用品の中にもう一つ、『ペット情報カード』を用意しておくことをおすすめします。

ペットの名前や種類・体重・既往歴・飼い主の情報などを記入しておくと、万が一ペットとはぐれてしまったり、避難所やシェルターに預けるときにペットの情報をわかりやすく伝えることができます。

防災用品の袋に入れたり、ケージやキャリーと一緒に保管しておきましょう。家族分コピーしておくのも良いですよ」

【ペット情報カードの記入例】
1.ペットの名前
2.性別と避妊去勢の状況
3.生年月日
4.種類
5.毛色
6.マイクロチップナンバー
7.犬鑑札ナンバー
8.体重
9.特徴 (足にまだら模様があるなど)
10.性格(人懐っこい、音に敏感など)
11.最近の予防歴(ワクチン接種日、種類など)
12.健康状態 8既往歴・投薬状況・かかりつけ病院名と電話番号)
13.飼い主の情報(名前・住所・電話番号・メールアドレスなど)
14.写真(ペットの全身写真・飼い主との2ショット)

きし動物病院 岸夏樹院長「写真は1枚でもいいですが、できれば▼全身が写ったもの ▼飼い主と一緒に写っているもの、2枚用意するのがおすすめです。もしはぐれてしまった場合に飼い主を特定するのに役立ちます」

また、岸先生は記録的な暑さが続くなかでの災害は、ペットも人と同じように熱中症対策を忘れずに行ってほしいといいます。いつもの備えに加えて必要なのはどのようなものなのでしょうか。

真夏の災害 熱中症に注意「人間がちょっと暑いくらい」は犬猫にとって大きな負担に

全国各地で40℃を超え、危険な暑さが続いています。この季節の災害は停電や断水に陥った場合、短時間で復旧すればよいのですが、長期間に渡った場合、注意しなければならないのが「熱中症」です。

きし動物病院 岸夏樹院長「犬や猫は体が体毛で覆われているため、人間のように汗をたくさんかいて体温を下げることができません。そのため、人間が感じる以上に暑さを感じています。人間が『「今日はちょっと暑いな』」ぐらいでも犬や猫にはかなりの負担になるので注意が必要です」

【犬とネコの熱中症の症状】
初期症状
・口を大きく開けてハアハアと荒い呼吸をする
・大量のよだれをたらす
・眼が充血している
・口の中や耳の内側がいつもより赤い

▼重症化すると
・ぼーっとしていたり、ふらふらしている
・ぐったりして舌が横から出ている
・下痢
・嘔吐
・初期症状と反対に舌の色が紫色になる
・けいれんを起こす
・心拍数が低下して血圧が下がり呼吸困難になる

きし動物病院 岸夏樹院長「症状には個体差があり、必ずしも順番通りに進行するわけではありません。重症化すると死に至ることもあるので初期段階で処置をすることが大切です。

しかし犬や猫は具合いが悪いのをぎりぎりまで我慢することも多いので気が付きにくいことがあります。飼い主さんの目から見て、少しでもおかしいなと思ったら病院に連絡してください」

【犬と猫の熱中症の応急処置】
風をあてて冷やす
 身体に霧吹きで水をかけ、扇風機やうちわで風を送り、気化熱を利用して体温を
 下げる。濡らしたタオルで身体を覆うのも効果的です。氷水など冷たすぎる水は
 逆効果
になりますので常温のお水にしてください。
保冷剤で冷やす
 もし避難先などで手に入れることができるのであれば、タオルを巻いた保冷剤や
 氷まくらを喉の部分(頭部に流れる血液を冷やす)や内もも、腋などの被毛が薄
 い部分にあてて冷やしてください。
・水分をゆっくり飲ませる
 少しずつゆっくりと水を飲ませる。スポーツドリンクなどがあれば3倍くらいに
 水で薄めて
飲ませましょう。

2024年は元旦に能登半島地震をはじめ、千葉県東方沖など全国各地で地震が発生し、“もしもの備え”について、考えさせられることが多くなっています。飼い主として大切な家族のために心構えと備えはしっかり行っていきたいと思います。

※1:環境省「東日本大震災における被災動物対応記録集」

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<プロフィール>
岸 夏樹さん

埼玉・東京の動物病院で勤務後
2008年清瀬市に「きし動物病院」を開院

米国画像専門医によるiVEAT主催超音波研修修了
米国腫瘍学専門医による基礎講習修了
米国整形外科専門医による基礎講習修了
獣医がん学会・循環器学会・麻酔外科学会所属

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