「私は逃げたと思っている」岸田総理の総裁選“不出馬”宣言に憤る元2世信者 旧統一教会問題の説明責任は【報道特集】

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2024-08-17 20:41
「私は逃げたと思っている」岸田総理の総裁選“不出馬”宣言に憤る元2世信者 旧統一教会問題の説明責任は【報道特集】

自民党総裁選への「不出馬」を表明した岸田総理。およそ3年間にわたった、その政権を検証する。支持率低下の要因となった、旧統一教会との関係や政治とカネの問題。説明責任は果たされていると言えるのだろうか。

【写真を見る】旧統一教会の信者が多数動員か 「改憲集会」にUPF幹部の姿が

岸田政権3年を検証 旧統一教会問題で支持率が急落

14日、退陣を明らかにした岸田文雄総理。「ポスト岸田」に意欲を示す1人が茂木敏充幹事長だ。岸田総理が不出馬を表明した当日、麻生太郎副総裁と会談を行い、対応を協議した。

他にも、石破茂元幹事長や小林鷹之前経済安保担当大臣ら、異例の数の議員が出馬への意欲を見せている。

岸田政権のおよそ3年間、支持率が下落し政権の求心力が低下した局面は度々あった。

2022年7月、安倍元総理銃撃事件。その後、多くの自民党議員と旧統一教会との関係が次々と明らかになると、支持率は急速に下落していった。

岸田総理
「真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体(旧統一教会)との関係を断つ」

しかし、この「関係を断つ」との宣言から9か月後、都内で行われた「新しい憲法を制定する推進大会」には来賓として駆けつけた岸田総理の姿が。

下村博文氏や中谷元氏といった大臣経験者も参加し、麻生副総裁のビデオメッセージも流された。

「関係を断つ」と宣言も…改憲集会に“信者が多数動員”か

報道特集はこの改憲集会に毎年、「旧統一教会の信者が多数動員されている」という4年分の情報を入手していた。

『今年も摂理機関本部関係で50名の動員を行うこととなりました。』

摂理機関とは、教祖・文鮮明氏の教え=「摂理」を実施する機関のこと。呼びかけていたのは「UPF=天宙平和連合」。8つの教団関連団体に合わせて53人を動員するノルマを課していた。

UPFは安倍元総理が生前、ビデオメッセージを送った関連団体だ。“現役”信者に、改憲集会の映像を確認してもらうと…

現役信者
「この人、教会の教会長ですね」
「彼、この人も本部関係の人です」

さらに…

現役信者
「ちょっと待って下さい、UPFの事務局の人だと思います」

このUPFの幹部は会場の整理を手伝い、岸田総理が使用するマイクの準備までしていた。

現役信者
「普通やらせないでしょう?いくらボランティアって言っても。だって変に爆弾を仕掛けられたりするから、相当信頼があるってことですよね」

旧統一教会が、改憲集会の運営に関わっているのか。会場にいたUPFの幹部に話を聞いた。

――どこから動員をかけられた?
「ノーコメントで。関係を絶ったからと言って、大会に参加しちゃいけないというのはない」

――ないです。ただ、普通に聞いているだけじゃなくて、壇上で机を並べたりとか、運営側として見えるので…
「でも一個人で手伝っちゃいけないですか?」

――いや、いいですけど。総理のマイクを一個人で手伝えるものですか?
「あの…手伝ってほしいって言われたから」

――誰から頼まれたんですか?
「だから、運営している人たちじゃないですか」

幹部は「旧統一教会が運営に関わっているのではないか」という質問には答えなかった。この改憲集会を見ていた元2世信者の男性に話を聞くことができた。

元2世信者
「ここですね。この集会の中で統一教会の信者が動員されていた。私はその場にいました」

元2世信者は、親が献金を続けていたことに苦しめられ、教団から離れた後も『教団と政治家との関係』を調べている。

――(岸田総理が)説明責任は果たしたと思われますか?
元2世信者

「果たしていませんね。岸田首相ご自身の統一教会との関わりの報道も出ましたけど、それに対して、しっかりとした説明はありませんでした」

岸田総理については、過去に自民党本部でUPFジャパンの梶栗正義議長と一緒に写った写真が2023年12月に明るみに出るなど、教団とのかかわりが指摘されていた。

さらに2024年2月、解散命令請求に関わる盛山正仁文科大臣が、教団側と、事実上の「政策協定」にあたる「推薦確認書」に署名していたことが明らかになった。しかし、岸田総理は、盛山氏を更迭しなかった。

元2世信者は、今回の岸田総理の退陣について…

元2世信者
「私は逃げたと思っています。これでは何も解決されないし、辞めることで責任を取ったと言われるのは、政治家だけだと思います。

追及されれば、表では新しい法律を作ったり、声明を出してみたり、姿・形だけ見せてきたんですけど、実効性のある動きっていうのは全く見られなかったと思います」

特に、元2世信者が憤っているのは、被害者救済を目的として作られた法律の“不十分さ”だ。

信者の家族が、教団に返金を求める際のハードルは高く、『今も熱心な信者である両親が行った献金』を取り戻すことはできていないという。

元2世信者
「家族の取消権であったり、そのような物が一切認められなかったので。私のお金は奪われて献金されてしまったようなものです。大学にも行けませんでした。子どもの金に手をつけて献金している、その本人たちが返金要求するって、とても難しいです。

政治と宗教の問題というのが、まだ何も解決されていない。なので、自民党のまま、この政権を続けていくのかどうかというのが、国民に対して問われるべき。統一教会との問題というのは、自民党全体の議員が関わってきた“構造的な問題”でもあると思います」

「説明というものからは逃れられない」 自民党議員からも厳しい声

2022年9月に自民党は党所属の国会議員379人のうち、180人が旧統一教会と関わりがあったと公表した。

自らも教団との関連が指摘される会合に出席していた津島淳衆院議員。岸田総理が不出馬を表明した翌日に取材に答えた。

自民党 津島淳 衆議院議員
「びっくりしたんです。最後まで再選目指して、色んな手立てを講じられるだろう、と思っていた」

津島議員は2024年6月、裏金事件の説明責任をめぐって、党内で公然と岸田総理を批判した。

津島議員
「総裁自らお話しすべきではないか。誰かが言って、そういう場を設けてもらうのではなくて、自らが求めて、皆さんにお話ししたい、釈明したい。そういう心からの思いを発するべきではないか」

津島議員は、岸田総理が退陣を表明しても、説明責任は果たされないままだと指摘した。

津島議員は2024年6月、裏金事件の説明責任をめぐって、党内で公然と岸田総理を批判した。

津島議員
「総裁自らお話しすべきではないか。誰かが言って、そういう場を設けてもらうのではなくて、自らが求めて、皆さんにお話ししたい、釈明したい。そういう心からの思いを発するべきではないか」

津島議員は、岸田総理が退陣を表明しても、説明責任は果たされないままだと指摘した。

選挙区内の祝賀パーティーで発起人代表も「祝賀会の運営に関係してない」

その裏金をめぐっては、2023年11月、安倍派・岸田派の議員などがパーティー券の収入の一部を政治資金収支報告書に記載していないことが大きな問題に。

1か月後、岸田総理は安倍派の幹部、いわゆる安倍派五人衆の松野官房長官や萩生田政調会長らを閣僚や党要職から事実上更迭した。

この裏金問題で岸田政権の支持率は低落傾向に拍車がかかった。

7月末、地元広島市で岸田総理が関わったパーティーが開かれた。前広島市議会議長、佐々木壽吉氏の旭日中綬章受章の祝賀会だ。

ローストビーフや鰆の西京焼きなど、一人4000円相当だという料理が昼食として振舞われた。自民党の片山さつき氏、宮沢洋一氏や地元経済界関係者などおよそ400人が参加した。そして…

岸田総理
「私の父の代から、大変力強いご支援をいただいており、そうしたご縁からも、このたびの受賞は慶賀の至りです」

これは報道特集が入手したパーティーの案内状。

【発起人代表 衆議院議員 自由民主党総裁 岸田文雄】

岸田総理はこの祝賀会の発起人代表を務めていた。さらに会場には岸田総理の長男・翔太郎氏の姿も。

総理公邸で親族らと忘年会を開いたなどと批判され秘書官を更迭。岸田政権の支持率が大幅に下落する要因となった。この日、翔太郎氏は岸田総理の代理を務めていた。

政治資金問題の第一人者、神戸学院大学の上脇教授は、祝賀会の発起人代表が岸田総理であることは問題だと指摘する。

神戸学院大学 上脇博之教授
「公職選挙法が選挙区内の者に対して寄付をすることを禁止している」

佐々木前市議会議長は岸田総理の選挙区、広島1区の住民で岸田総理が祝賀会の発起人となって生じた利益は住民への寄付行為にあたるという

上脇博之教授
「祝われる方にお金を提供しようと思って開催された可能性が高いですよね。この祝われている佐々木さんの方にお金を提供したということになれば、これは公職選挙法違反になってしまいます。仮に違法でないとしても、政治的には大問題だと思っていますね」

パーティーや岸田総理との関係について会の主役、佐々木前市議会議長を問いただした。

――利益でるんじゃないですか
佐々木壽吉 前広島市議会議長

「出るわけないじゃん」

――これ黒字になると思うのですけど
「それはちゃんと報告してあげるから。黒字になったらちゃんと」

――岸田総理はどういう関係になる?
「『(発起人の)代表にしてもらえますか』と(岸田総理側が)言ったから、いいよって」

――今回、岸田総理は発起人として名前だけ?
「32年間ご苦労さんでしたねっていう」

この取材の3日後、収支は赤字だったと強調した。

岸田事務所を取材すると…
『祝賀会の運営に弊事務所は関係しておりません』

報道特集ではこれまで4回にわたって、岸田総理自身のパーティーについて取り上げた。主催したのが実質は岸田事務所で政治団体であるのに任意団体だとして、政治資金収支報告書への記載を免れたのではないかという疑惑だ。

上脇教授や市民グループは岸田氏の総理就任を祝う会について、岸田総理や後援会代表ら4人を刑事告発した。だが広島地検は8月9日、岸田総理については「嫌疑なし」、後援会代表ら3人については「嫌疑不十分」として、全員を不起訴処分とした。

神戸学院大学 上脇博之教授
「これどう考えても政治資金規正法違反です。(検察審査会に)審査を申し立てをして、起訴相当議決を求めたいと思っています」

かつて自民党に所属した元広島市議は、岸田総理の対応は十分ではないと指摘した。

――裏金問題も実態は全く説明は…
伊藤昭善 元広島市議

「説明されてないじゃん、自分のことも含めてね。全部、安倍派のせいにしてもうて。政治資金の規正法を改正したというけどあれは改正じゃないわな。自分らの都合がいいところは残してからさ、今後縮小してまた新たに始めますっていうとるのと一緒やから。そういう話でもちきりだったよ」

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