お盆休みに相次いだ高速道路での逆走事故。なぜ逆走してしまうのか、逆走事故に巻き込まれないためにはどうすればいいのでしょうか。
【写真を見る】「原因の約5割は道間違い」“お盆の高速”で続発「逆走」から命を守るには【Nスタ解説】
逆走車 “気づかぬうちに”間違えるケースも
井上貴博キャスター:
「遠出をして土地勘がない場所で焦ってしまった」という経験は、誰しもあるかと思います。
【高速道路“逆走”の発生件数】
・2021年 188件
・2022年 204件
・2023年 224件
※警察の協力を得て国土交通省・高速道路会社が作成
2023年に発生した高速道路での逆走は、224件です。そのうち事故に繋がったのが39件で、65歳以上が24件、65歳未満が15件ということです。
逆走について、シニア世代だけではないということが見えてきます。
NEXCO中日本ドライブアドバイザー 林修平さんによると「逆走の原因は、約5割が『道間違え』」だといいます。
「どこで道を間違えるのか」というと▼高速道路の出口を入口と間違える、▼サービスエリアの入口を出口と間違えるケースがあるそうです。
これらは、気づかぬうちに間違えてしまったというケースです。
一方で、▼逆方面の道に入ってしまい逆走、▼降りたい出口を通過してしまいUターンするケースもあるそうです。
ホラン千秋キャスター:
慣れない道の場合、間違ってしまったことにとらわれて、逆走よりも「間違いを正さなきゃ」と、意識がいってしまうのかなと思います。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
残念ながらこういうニュースは海外でも、しばしば耳にしてしまいます。日本も2日に1回のペースと言われていますが、残念ながら海外でも大体同じです。
海外で言われていることは、100%なくすのはなかなか物理的に難しいですが、それでも物理的・技術的な対策の両点で議論されているんです。
例えば、物理的にUターンができないようにするために、ラバーポールを置きUターンできないようにするなどあります。技術的なことで言うと、本人に何を言ってもパニック状態なので、周りの人が早く通告できるようにする。
地震速報もスマホで受け取れる時代なので、GPSに応じてスマホが鳴るなどを周りの人への早い通告ができることを期待しています。
「この先、逆走車有、注意」取るべき行動は
井上キャスター:
8月15日に栃木県の東北自動車道で、逆走した軽ワゴン車と乗用車が正面衝突しました。双方の運転手2人が死亡し、男の子(9)と女の子(7)が重傷を負いました。
この事故現場の近くを走行していた車のドライブレコーダーの映像を見ると、前を走る車が車線変更した後、奥から逆走した軽ワゴン車が迫り、約1秒で撮影していた車の横を通過しました。
ホランキャスター:
もし、前を走る車との車間距離がもっと近かったら対応できなかったかもしれません。想像していないので、向かって来ているという状況を理解するのにも、時間がかかりますよね。
井上キャスター:
逆走した軽ワゴン車は全くブレーキを踏んでいなく、むしろ加速して近づいてきているようにも見えます。
乗用車が時速90km出ていて、逆走した軽ワゴン車も時速90キロ出ている場合、例え50m離れていたとしても1秒で衝突することになります。
NEXCO東日本・中日本などでは、「この先、逆走車有、注意」と情報板に逆走車情報を出すことがあります。
逆走車情報をみたときは、NEXCO中日本の林さんによると、▼速度を落とす、▼前の車と車間距離を取る、▼左側車線を走行するようにしてほしいといいます。
追い越し車線に逆走車が来ることが多く、逆走車から見ると、左車線を自分が走っていると見えるので、追い越し車線を空けておく必要があるそうです。
カーナビなどでは逆走警告機能があり、逆走状態をGPSなどで検知します。画面と音声で危険運転の注意喚起をするそうです。
たとえ間違えて出口を通過しても、次の出口で申告すると、超過料金なしになることもあるので、出口を通過してもあせらないでください。
ホランキャスター:
ルールをもとに、逆走車があってもなくても日頃から左車線を走った方がいいと思います。やっておかないと、まさかの事故に巻き込まれてしまったら大変ですから。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
準備はできないにしても、「2日に1回は逆走がある」と統計が出ているので、「逆走車に遭遇することは不思議ではない」という意識を持つことも大事かもしれません。
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<プロフィール>
ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者
1963年オランダ生まれ
現パナソニック・アース製薬の社外取締役など