多頭飼育をしていれば、猫のケンカはしばしば目にしますよね。実は、猫はケンカ中にお腹を見せて転がることがあります。人間の感覚だと「降参のサインかな?」と思われがちですが、実はこのサインがみられても、まだまだ戦意喪失はしていない心理状態なのです。
「ケンカ中の猫がお腹を見せる」本当の意味とは
猫がお腹を見せるときは、信頼や愛情の印といわれています。猫は警戒心が強いので、少しでも不安があると弱点の腹部をさらすことはないからです。
また猫がお腹を見せる、いわゆる『ヘソ天』には2種類あり、1つは遊んでもらいたいときやかまってほしいとき、もう1つは完全にリラックスしている状態の姿です。いずれも「あなたには敵意がありません」という意思表示でしょう。
また、飼い主さんだけでなく、他の猫の前でお腹を見せる場合も、「安心できる相手」と認識している証拠です。多頭飼いの猫同士が、『ヘソ天』のポーズで仲良く並ぶ姿もよく見られるはずです。
しかし、お腹を見せるポーズが、すべてポジティブな意味とは限りません。実は猫はケンカ中やジャレあっているときにも腹を見せることがあるのです。
「降参」ではなく「応戦中」
猫同士がケンカやジャレ合いの最中に、片方の猫が上から威嚇するようなポーズをとり、もう片方は腹を見せていることがあります。
その構図は、上から見下ろすように威嚇している猫が優勢で、低い位置でお腹を見せている猫が劣勢のようにみえます。人間の目には、お腹をみせている猫の方が、降参しているように映っても、実は「参った……」のサインではありません。
猫同士のジャレ合いを観察するとわかりますが、追いかけっこや猫パンチ、まるで組手のような動きを経て、後半に片方が仰向けのポーズをすることがあります。しかしお腹が見える状態でも『ヘソ天』とは違い、頭部までは横になりません。耳は後ろに倒れてヒゲや目線は相手から離すことなく、緊張している様子がうかがえるはずです。
猫がお腹を見せるときは基本的に「戦う意思はない」という心理のあらわれですが、この状態は例外。戦闘意欲は萎えておらず、相手を迎え撃つ準備なのです。
最後の切り札
猫が腹部を見せるポーズをすると、一見なにもできないように思われがちです。
しかし、実はお腹を見せることで「4本の足」が使いやすくなります。通常4本の足のうち2本は体を支える役割なので、攻撃に使える足は2本。しかし背中を床につけることで4本の足を攻防に活用できるというわけです。
その証拠に、片方の猫が仰向けの状態で身構えると、優勢であったはずの猫は攻撃をためらいます。攻め込む場所を探っているのか、間合いをはかるようになります。
猫にとってお腹を見せる姿勢とは、自ら攻め込むことはできないものの、ある意味戦闘能力が上がる「最後の切り札」といったところかもしれませんね。
まとめ
猫は口で噛みついたり足でひっかいたりなど、体の前側で攻撃する動物です。逆を言えば背後を攻められることは弱く、首根っこや背中を攻められたときの対応力は低いものです。そう考えると、お腹を見せる姿勢は「防御力」に長けていることがわかりますね。
猫が仰向けになってお腹を見せるポーズはとてもカワイイものですが、すべてが『ヘソ天』のような意味ではありません。
先述したように、戦闘中もお腹を見せる習性があるため、猫の気が立っているときは安易に腹部を触ることはやめましょう。
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