犬のフィラリア症(犬糸状虫症)について【獣医が解説】

2024-10-01 17:20

春になると予防しましょう!と言われる「フィラリア症」ですが、どんな病気なのかご存知でしょうか?予防が浸透してきている現代では、なかなか身近に感じられることが少なくなった「フィラリア症」ですが、実は怖い病気なのです。

フィラリア(犬糸状虫)ってなに?

イメージ画像

フィラリアはよく「そうめんのような長くて白い虫」と言われる見た目をしている、寄生虫の一種です。成虫ではオスが12~20cm、メスがより大きく25~30cmで太さ1㎜程度の大きさがあります。

フィラリアの成虫は、「肺動脈」という心臓近くの血管に寄生し、幼虫(ミクロフィラリア)を増やします。幼虫は血液の流れに乗って全身を巡り、その血を蚊が吸血することで蚊の体内に取り込まれます。幼虫は蚊の体内で成長し、蚊の吸血によって他の犬へと感染を広げていくのです。蚊から感染した幼虫は、組織の中で成長して静脈に入り、肺動脈へと移動していきます。犬の体内に入ってから成虫に成長するまで数ヶ月、成虫の寿命は5~6年と言われています。

熱帯~温帯にかけて世界中に分布しており、日本では北海道から沖縄まで、全国で確認されています。

予防が進み、現在飼育されている犬の間ではフィラリア症にかかる犬は減少していますが、犬以外での野生動物などでも感染が確認されており、フィラリアが根絶される状況にはありません。

フィラリア症とはどういう病気?

イメージ画像

フィラリアの寄生した数や寄生した部位によって、症状は多岐にわたります。

本来の寄生部位である肺動脈に寄生した場合、少数の寄生であれば症状が出ないこともあります。寄生数が増えてくると、運動をしたがらない、咳が出るなどの軽度の症状から始まり、貧血や失神、栄養不良、呼吸困難などの症状へ進み、やがては循環不全となって腹水が溜まるなど、全身が浮腫むようになります。黄疸や喀血の症状が出る場合もあります。

本来の寄生部位である肺動脈から心臓へと移動した場合、心臓の弁の働きを妨げることによって強い循環不全の症状を起こします。血管内で赤血球を壊し溶血を起こすことで、黄疸や血色素尿の症状を起こすこともあります。

肺動脈からフィラリアが移動する原因としては、寄生数の増加や死亡したフィラリアが肺動脈に詰まること、またショックや心機能を抑制する薬剤など様々な原因があります。フィラリアに感染している犬がフィラリア予防薬を飲むことによって、幼虫の大量死滅を起こすことも原因の一つとなります。

その他にも、体内を移動している幼虫が他の臓器に迷い込むことによって臓器を傷害したり、多数のミクロフィラリアが死滅した場合にアレルギー反応が起き、肺水腫や肺炎を起こす場合もあります。またフィラリアに対する免疫のはたらきによって、腎炎を起こすこともあります。

フィラリア症はどうやって治療するの?

イメージ画像

外科的に成虫を摘出する方法

成虫が多く寄生しており、症状が出ている場合には外科的に成虫を摘出する方法があります。これは首の太い静脈から長い鉗子を入れ、肺動脈や心臓に寄生している成虫を取り除くやり方です。勿論、全身麻酔をかけての処置になります。成虫を取り除いても臓器や血管の傷害が大きい場合には、予後不良となる場合もあります。

薬剤によって成虫を死滅させる方法

薬剤で成虫を駆除することも出来ます。しかし血管の中に寄生している成虫を殺すことで、血管に塞栓が起きる危険性が高く、また薬自体の作用が強いため、犬にも大きな負担がかかるので現在はほぼ行われていません。

ミクロフィラリア(幼虫)を駆除する方法

成虫を摘出することはリスクが高いため、これ以上フィラリアを体内で増やさないために幼虫のみを駆除する方法です。寄生数が少ない場合など、近年では主流となっている治療法です。成虫を駆除することはできませんが、繁殖を抑えながら成虫の寿命が来るのを待つ方法です。

対症療法

成虫を取り除くことが困難な場合や、フィラリアを駆除しても臓器の傷害が大きく残ってしまう場合には、症状に合わせた治療をおこなっていきます。主な治療は循環の改善や血栓防止、血管の炎症を抑えることが目的となります。

フィラリア症を予防する方法は

イメージ画像

フィラリアは蚊の吸血によって感染します。

現在「フィラリア予防薬」と呼ばれている薬は「幼虫(ミクロフィラリア)を駆除する薬」です。幼虫を駆除し成長させないようにすることで、成虫が起こす病害の予防をおこなっているのです。

蚊が吸血行動をおこなうのは、気温が20℃~30℃程度の時期が多いとされています。

ある程度フィラリアが育ってしまうと、通常のフィラリア予防薬では効果が不十分となってしまいます。

そのため、蚊が吸血行動を開始し、フィラリアがまだ成長しきらないうちに予防薬を飲むことが、フィラリアを予防する方法となります。

1ヶ月に1度と定期的に予防薬を使用することにより、蚊の吸血がおこなわれるたびに駆除することができるのです。

また、現在では温暖化の影響や室内環境の安定化、地域ごとの気温の変化にも対応できるよう、フィラリアの通年予防を勧めている動物病院も増えてきました。

予防を始める前に検査が必要なのはなぜ?

イメージ画像

前に述べたように、フィラリアにすでに罹っている犬が予防薬を飲むことで、幼虫が大量に死滅したり、成虫が寄生部位を移動するなどの影響が出ます。それが原因となって、重大な症状を引き起こすこともあるため、必ず「フィラリアに罹っていない」ことを確認してから予防薬を飲み始めるよう、動物病院での啓発がおこなわれているのです。

近年ではフィラリアの予防も進み、フィラリアに感染していても寄生数がごく少数である場合もあります。このような場合には重大な症状を示さない場合も多く、検査してみて初めて感染を確認できることもあります。

冬の間には蚊の吸血行動は起こらないとされていますが、暖冬だったり、気温の高い地域へ旅行へ行ったり、またお薬の飲み忘れなど「もしかしたら」フィラリアに感染する可能性はゼロではありません。

フィラリア予防シーズン前には、必ず動物病院で検査を受けてくださいね。

関連記事

大型犬の前で食事をしていたら…気付いた時の『あざと可愛すぎるおねだり』が65万表示「ギャップがすごいw」「負けてしまいそう」と悶絶
犬が食べていい果物!与える際の注意点や食べてはいけないものも解説
犬が目を合わせない行動には理由があった!目をそらす3つの意味
犬が鼻先をつけてくるときの心理
ショッピングセンターで『愛犬にプレゼントを購入した』結果…大喜びで見せた『可愛すぎる行動』に絶賛の声「嬉しそう」「お手伝いが上手だね」

  1. 【 小倉優子 】 初訪問の「ブルガリ ホテル 東京」で豪華ランチ報告 「苦しくて仕方がなかった時に…」 支え続けた親友への〝一生の感謝〟を綴る
  2. 【 美奈子 】「やりたいことは全力でやる」こだわりのネイル&マツエク姿を公開し「最高!頑張れそう」
  3. 【 中川翔子 】真夜中の授乳&冬季五輪で〝二重の貴重さ〟絵日記に綴る フォロワーに〝マヨナカ授乳中の思い出〟問いかける
  4. 【強い寒気の影響】北陸と北日本で大雪や吹雪、落雪に注意を 太平洋側は柔らかな春の日差しに
  5. 【花田虎上】「在来線も普通に乗ります」意外な電車移動を報告 「私が座ると邪魔かなぁ」体格ゆえの悩みに反響
  6. 「生活費を稼ぐため」プロ野球オールスターゲームのチケットを売り渡すと嘘をつき、電子マネー2万7900円をだまし取ったか 無職の男逮捕 余罪についても捜査 神奈川県警
  7. 髙梨沙羅「ベッドでアラームを気にせず眠りたい」丸山希は「髙梨選手からおにぎりを…」メダリスト帰国会見【オリンピック】
  8. 永瀬廉(King & Prince)登場! 2/24発売「スカパー!TVガイドプレミアム3月号」 【永瀬廉×伊藤健太郎】インタビューも!!
  9. 【 桐谷美玲 】〝どっぷりシール沼〟友人とシール帳持ち寄り「がっつり平成女」の癒やし時間 フォロワー〝お気に入りが気になる〟
  10. 偽の書類作成して架空の債権譲渡契約を結ばせ9200万円詐取か 神奈川・小田原市の自営業の男逮捕 警視庁八王子署
  1. 【速報】高市内閣が総辞職 18日夜には第2次高市内閣発足へ 全閣僚再任の方針
  2. 「3人が生き埋めに」男性3人が落雪に巻き込まれる 60代男性が意識不明の重体 北海道・札幌市
  3. 【りくりゅう】鈴木おさむ「ずっと。すごい・・・」金メダル獲得の裏側に驚嘆 織田信成が明かした8か月間磨き続ける執念
  4. 日本からの84兆円対米投資 第一弾の3案件決定 トランプ大統領「関税なしには実現しなかった」と強調
  5. 米軍が麻薬運搬船3隻を攻撃 東太平洋とカリブ海で計11人の乗組員が死亡 「密輸ルートを航行」と主張
  6. 猫との結びつきがある『パワースポット』3選 福を招くかも?歴史や見どころもご紹介
  7. 「優れた提案を提示できるか検討する」米ワーナーがパラマウントと買収条件について再交渉へ 期限は今月23日まで ネットフリックス側も再交渉認める
  8. 【速報】運転見合わせのJR宇都宮線と湘南新宿ライン 午前10時4分頃に運転再開 人身事故の影響で一時運転見合わせ
  9. 「トラックとトラックの間に軽乗用車がはさまっている」女性を救助中 広島の尾道バイパス
  10. 【 美奈子 】「やりたいことは全力でやる」こだわりのネイル&マツエク姿を公開し「最高!頑張れそう」
  11. 父が娘に『わいせつ行為』 その動画を小学校教諭に販売 【2人ともに逮捕】 教諭「バレたら全部終わる…」
  12. 1月貿易赤字1.1兆円 “トランプ関税”の影響で対米輸出は5.0%減少