巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(50)が日本時間13日(現地12日)、米ニューヨーク州郊外で子どもたちを対象にした野球教室を開催。通算32回目となった今回は、野球やソフトボールをする少年少女34人が参加。全員の打撃投手を務めるなど、精力的に指導を行った。
【写真を見る】松井秀喜「自分の中で一番幸せな瞬間だった」野球教室で15年前の記憶よみがえる
松井氏は先月23日、イチロー選抜 KOBE CHIBENのメンバーとして、高校野球女子選抜との試合に出場。東京ドームで20年ぶりとなるホームランを放つ活躍をみせた一方、守備で右太もも裏の肉離れを起こしていた。それから20日後の野球教室とあって症状が心配されたが、「走ること以外はだいたい大丈夫です。(野球教室を)スケジュールされたのが何ヶ月も前です。多分、帰ってきた次の日にスケジュールされてもやりましたよ。来てくださったお子さんが喜んで帰っていただければ、それだけで十分です」と話した。
◆少年少女34人が参加、柵越えも披露
周囲の心配をよそに、松井は恒例の打撃デモンストレーションで少年少女らを魅了する。10スイング目に右翼スタンドへ放り込むなど2本の柵越えで、子どもたちやその家族から大喝采を浴びた。元メジャーリーガーの打撃を目の当たりにした子どもたちからは、「松井のホームランを見ることが出来てよかった」「僕もホームランを打ちたい」と喜びの声があがっていた。
野球教室の最後には質疑応答が行われ、「ホームランの数は?」「打率は?」「バットを折った数は?」など、現役時代を見たことがない子どもたちから質問攻めに。そして、少年のある質問によって、15年前の記憶を呼び覚まされることになった。「ワールドシリーズMVPになった時の気持ちは?」と問われた松井は、「それは嬉しいよ。ヤンキースの選手はみんなそれを目指している。自分の中で一番幸せな瞬間だったね。野球において」と、羨望の眼差しを向けている子どもたちに伝えた。
◆親たちもWSを思い出す「今でも彼のホームランを覚えています」
15年前の2009年、松井が在籍したヤンキースはフィリーズを相手にワールドシリーズを戦った。3勝2敗とリードした第6戦で松井は先制2ランを含む6打点をマークし、ヤンキースの9年ぶり世界一に貢献。シリーズを通して13打数8安打で打率.615、3本塁打、8打点の大活躍でワールドシリーズMVPに選出された。
ニューヨーカーにとって、松井の存在は特別だ。野球教室に参加した親たちは、「松井は偉大です。日本から来た最初の素晴らしい打者で、ヤンキースに多大な貢献をしてくれました。良い時代でした。今でも彼のヤンキースタジアムでのホームランを覚えています」「大谷より松井の方が凄い。プレーオフに毎回出て活躍してくれました」と15年遠ざかっている栄光を懐かしんだ。
地元ファンにとって、ヤンキースを世界一に導いてくれたMVPの勇姿は色褪せない。
■松井秀喜(まつい・ひでき)
1974年6月12日生まれ、石川県出身の50歳。
星稜高からドラフト1位で巨人に入団。
リーグ優勝4回、日本一3回に貢献。
NPBでのタイトルは、首位打者1回、
本塁打王3回、打点王3回 など。
2003年ニューヨーク ヤンキースに移籍。
2009年ワールドシリーズでMVPに輝くなど
日米通算507本塁打を記録。
2012年に現役引退後、ヤンキースGM付特別アドバイザーを務める。