壁のリフォームするなら…猫の家に向いている『壁』4選 ずばり爪とぎに強いのは?

2024-11-09 06:00

かわいい愛猫の行動でも、飼い主さんを悩ませるものがいくつかあります。その中の一つが爪とぎです。爪とぎは猫が生きていくために必要な行為なので、やめさせることはできません。爪とぎでボロボロになった壁の補修は簡単ではなく、それなりの費用も必要です。そこでリフォーム時などに検討すると良い、猫のいる家に向いている壁をご紹介します。

猫の家の壁を探すポイント

壁で爪をとぐ猫

猫の爪とぎの主な目的として、下記が挙げられます。

①古い爪の層を剥がし取り、新しくて鋭い爪の層を表面に出す
②肉球の皮脂腺から出される分泌物を擦り付け、自分のニオイをつける(マーキング)
③ストレスを発散させて自分自身を落ち着かせる

獲物を狩るための重要な武器として、爪は常に鋭い状態を保っておく必要があり、そのための行為が①です。

また猫は、自分の縄張りを他の猫たちに知らしめるために②を行います。さらに想定外の出来事や強いストレスに耐えるために③を行い、自分自身をコントロールします。こういった理由から、猫から爪とぎという行為を奪うことはできません。

猫の爪とぎの結果飼い主さんに問題になるのは、壁につけられた爪による「傷」、マーキングでつけられた「ニオイ」と皮脂等による「汚れ」の3つです。

壁の補修はそう簡単にはできません。そこでリフォームや新築の際の壁選びでは、「傷」に強く「ニオイ」と「汚れ」がつきにくくて落としやすい素材を選ぶことが、重要なポイントになります。

では、具体的に猫が暮らす家に適している壁をみていきましょう。

猫の家に向いている壁

腰壁

1.表面強化壁紙

通常の壁紙は摩擦に弱く、鋭い爪で傷がつきやすいです。また表面にある凹凸に爪が引っかかりやすいものが多いです。

そこで傷がつきにくい素材を使い、厚みも通常のものより厚くした上で表面の凹凸を無くしたりコーティング加工を施したりした「表面強化壁紙」というものが開発されました。

爪が引っかかりづらく傷がつきにくいだけではなく、抗菌加工や吸湿調整能力を持たせることで結露やカビの増殖を防いだり、ペット臭の原因物質に作用して消臭効果が期待できるものなども出てきています。

リフォームや新築のタイミングで業者に相談すれば、その時点で最も費用対効果が得られ、飼い主さんのご希望を叶えられる素材の壁紙をみつけられるでしょう。

2.腰壁

壁一面を全て同じにするのではなく、床上から約90〜120cm程度の高さの部分のみに板材などを張り巡らせる腰壁を設置して、爪とぎ対策を行うこともできます。

汚れやすい壁の下部を保護しながらデザイン性も高められる腰壁は、一般的にも広く取り入れられています。

この腰壁部分の素材に強化化粧シートを使い、傷や汚れのダメージを抑えることができます。ただし腰壁は、通常の壁よりも施工費用が高く、工期も長くなりやすいという点に注意が必要です。

3.硬い素材のパネル

表面を強化した壁紙ではなく、タイルを貼り合わせて壁にすることで爪とぎの傷がつきにくい壁を実現できます。

ただしタイルも、一般的な壁紙より費用が高く工期も長くなりやすいです。またタイルの目地の部分は、汚れを落としにくいという点も注意が必要でしょう。

タイルではなく、ステンレスやホーローといった硬い素材のパネルを貼り合わせるという方法もあります。ステンレスやホーローは素材自体の強度が高く傷がつきにくい上に、水拭きや中性洗剤の使用で汚れを簡単に落とせ、消臭も含めてお手入れが簡単です。

ただし、パネルの境目にできるスリットに爪を引っかけ、硬いパネルにダメージを与えるケースも見られます。猫が届く高さの範囲に横向きのスリットが入らないよう、業者に張り方を工夫してもらえるよう依頼すると良いでしょう。

4.塗り壁

壁紙やパネルのように継ぎ目を生じさせずに硬い壁を実現する方法として、塗り壁を選ぶこともできます。

一般的な塗り壁は漆喰や珪藻土ですが、現在は新しい素材の塗装剤も開発されていて、強度の他に断熱性、消臭性、調湿性などを実現しているものも出ています。

筆者の経験では、継ぎ目がなく爪が引っかかる部位のない塗り壁では、そもそも猫たちが壁で爪とぎをしようという気にはならないように感じました。ただし、やはり費用や工期については一般的な壁紙よりも高く、長くなりやすいでしょう。

壁選びの考え方

漆喰を塗る職人

猫の習性上、激しく爪とぎを行うのは若い頃や家族間の関係性がまだ確立されていない時期に集中します。同居動物間の関係性が安定したり歳をとることで、爪とぎの激しさや頻度は徐々に落ちていくことが多いです。

常に新しい猫を迎えながら多頭飼育を続けていく場合は常に激しい爪とぎが続き、単頭飼育でシニア期に入るとあまり爪とぎをしなくなっていきます。

猫との暮らし方などにより、安価な壁紙と保護シートを併用してこまめに張り替えを行うとか、高価で丈夫な壁材を長期間利用するなど、選び方も異なってきます。

またマーキングとしての爪とぎは、縄張りの境目に当たる玄関脇、部屋の出入り口付近、お気に入りの場所付近などで頻繁に行われます。これらの場所の壁は多少費用がかかっても傷に強いものを選ぶという考え方もあるでしょう。

「傷や消臭効果、汚れの落としやすさ等を考えてベストな壁はこれ!」といった一択ではなく、それぞれの壁の特徴とご自身が実現したい猫との暮らし方、猫の習性等を考えた上で、適材適所で理想的な壁を選択する柔軟性も必要でしょう。

まとめ

ボロボロにされた壁紙

猫と一緒に暮らす方が増えてきたこともあり、猫の爪とぎに強い壁や壁紙、塗料など、新しい素材が開発されてきています。

リフォームや引越しの際に信頼できる業者を選び、猫の爪とぎに強く、その時点で最も費用対効果の高い壁を教えてもらいましょう。

安心して爪をとげる場所がない猫は、壁への爪とぎをやめません。どんなに強い壁でも、全く傷がつかないということはありません。

壁の選択や保護シートの利用などと併せ、猫が爪をとぎたがる場所に自由に爪をとげる場所を用意して、そこを使うように教えることも大切です。

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