きのう投開票された兵庫県知事選。不信任、そして失職に伴う出直し選挙は劣勢と目された斎藤元彦前知事が下馬評を覆し、再選を果たしました。大逆転の背景には「SNS」がありました。
「さいとう!さいとう!」
商店街を埋め尽くさんばかりの支持者らのさいとうコールが響き渡る中、事務所に姿を見せた前兵庫県知事の斎藤元彦さん(47)。110万票あまりを獲得し、再選を果たしました。
【当選】前兵庫県知事 斎藤元彦氏
「本当にうれしく思います。県職員の皆さんとの関係も、もう一度再スタート。県議会の皆さんとも政策を前に進めていく」
感謝と決意を述べた斎藤さんの目には、涙が浮かんでいました。
議長
「不信任決議案は可決されました」
自身のパワハラ疑惑などについて百条委員会の調査を受け、今年9月、県政の停滞を理由に兵庫県議会から全会一致で不信任をつきつけられました。
最後の登庁日には県職員に見送られることなくひとり、県の庁舎を去りました。
「おはようございます」
その3日後、斎藤さんの姿は駅前にありました。繰り返し頭を下げ挨拶しますが、立ち止まることはおろか見向きさえされません。
有権者との対話を続ける中ではこんなやり取りも…
有権者
「世間的にはパワ(ハラ)セク(ハラ)いろいろ言われている。それは斎藤さんの人格やから」
斎藤氏
「私はセクハラは一切やっていません。パワハラは、指導をした中で厳しい叱責をしたことはありますけど」
「孤独」にも映る序盤の選挙戦。その流れを変えたのは、政治団体・党首の立花孝志さん(57)が知事選に出馬したことでした。
政治団体 党首 立花孝志氏
「『斎藤前知事は悪いやつだ』と思い込まされている。これは守りにいかなあかん」
SNS上では、「元知事がんばれ」と斎藤さんを応援する動きが徐々に活発化。
先週火曜日には…
記者
「三宮の中心部に来ました。大勢の人が集まっているんですが、ものすごい人だかり、そして、いま拍手が起きています」
さらに、日を追うごとに斎藤さんの姿を一目見ようと演説には人が集まるようになっていきました。
「さいとうさ~ん」
投票日前日には、その熱気は最高潮に。途中、歩道橋にも人があふれ、注意を促すためか警報音までなる混乱ぶり。大きなうねりがSNSから現実の世界へと波及していったのです。
その結果、序盤の予想を覆して斎藤さんが返り咲く結果となりました。
次点で敗れた前尼崎市長の稲村和美さん(52)は戸惑いを隠せません。
稲村和美氏
「どのような情報に基づいて投票行動を決めるのかということに、課題が残った選挙戦であったのではないか」
60代
「よかったと思います。はじめ、なんとひどい人だなと思っていたんですよ。斎藤さんを。でも、そのあと(SNSで)情報がでてきて、あ、実はこれが真実やったんかなって」
20代
「何かあったから不信任になったと思っているので。SNSでは(問題が)もうなかったことにされていたりとか、どっちが本当なんだろうと」
斎藤さんはきょう、逆転劇を生んだSNSについてこう話しました。
斎藤元彦氏
「(SNSは選挙戦で)一つの大きなポイントだったと思う。(Q.真実はSNSにある?)私はどちらが真実がある、ないとは言っていない。視聴者や県民がいろんなメディアを見てどう判断するか」
再び県政の舵を取る斎藤さん、あす「新知事」として県庁に舞い戻ります。