三笠宮妃百合子さまの葬儀が儀式の名称や内容がほぼ戦前の「皇室喪儀令」のまま連日実施され、皇族方の負担も大きいことについて、宮内庁の黒田武一郎次長は定例の記者会見で「今回の1年間は現段階で決められた日程に沿って対応していく」と述べ、簡略化する考えはないことを明らかにました。
今月15日に三笠宮妃百合子さまが逝去されてから24日の「正寝移柩の儀」をはじめに、連日、葬儀関係の儀式が行われ、きのう、一般の葬儀にあたる「斂葬の儀(葬場の儀 墓所の儀)」が営まれました。そして、きょうも朝から「斂葬後一日権舎祭の儀」が三笠宮邸で行われ、午後からは豊島岡墓地で「斂葬後一日墓所祭の儀」が営まれました。
一連の葬儀の儀式は、1年後の「墓所一周年祭の儀」まで続きます。
これらの葬儀の儀式や名称は、皇室の葬儀を定めたほぼ戦前の「皇室喪儀令」に基づいて実施され、皇族方は連日参列されています。
黒田次長は「皇室喪儀令」に基づく葬儀を実施していることについて、「葬儀委員会を立ち上げて、大きなスケジュールを組みながら宮内庁を上げて対応している」とした上で、今回の1年間については儀式の実施が決められているとし、「しっかり対応していくことに尽きる」と述べました。
毎日のように儀式が続き、皇族の負担も大きいことから、簡略化の必要性については「何かもし、いろいろと課題が生じることがありましたら、それはそれで検討すべきことはあるかもしれませんけど、現時点では決められた日程で対応していきたい」と述べ、簡略化はしないという考えを示しました。
宮内庁はきょう午後、豊島岡墓地で行われる儀式については、常陸宮妃華子(84)さまがお疲れのため参列を取り止め、上皇ご夫妻も上皇后さまが一人で長い距離を歩くことが難しいため、墓地への訪問を取り止め、後日、訪問されると発表しています。
百合子さまの葬儀については、3億2500万円あまりと、2016年の三笠宮さまの葬儀よりおよそ5900万円多い国費が使われます。
黒田次長は前回の会見で「国家的、国民的、慶弔の対象となる皇族の方という性格から葬儀は私的行事であるが、公的な性格もあり、基本的に国費をあてて行うことができるものとされている」と説明しています。