警察庁の露木康浩長官はきょう、全国の警察の警備部長らを集めた会議で、来年予定されている参議院選挙や大阪・関西万博を見据え、警備上の重要課題を挙げ、指示しました。
警察庁 露木康浩 長官
「警護に100点満点はありません。来年の参議院議員通常選挙を見据えて、主催者との連携を深化させ、より俯瞰した視点での警護環境の構築を進めるなど、今後とも緊張感を緩めることなく、警護に万全を期してほしい」
警察庁の露木長官はきょう午後、東京・千代田区で開かれた全国の警備部長らを集めた会議でこのように述べました。
また、来年4月に開催される大阪・関西万博について、全国の警察が一体となってサイバー攻撃やテロなどの違法行為の未然防止に万全を尽くすとともに、各部門間で緊密に連携して対応するよう改めて求めました。
今年7月に山形県を襲った記録的大雨では、山形県警の2人が救助活動中に殉職しました。
露木長官は、「激甚化・頻発化する豪雨災害への備えを強化する必要性を改めて認識した」と述べたうえで、実践的な災害対処訓練や装備・資機材の整備や活用を進め、災害対処能力をさらに向上してほしいと話しました。さらに、安倍元総理銃撃事件や岸田前総理への爆発物襲撃事件に続き、衆議院選挙中の今年10月に発生した自民党本部への火炎瓶投てき事件を受け、単独でテロなどを行ういわゆる「ローン・オフェンダー」への対策の徹底なども指示しました。
このほか、今年8月の中国軍による初めての領空侵犯事案や、ロシアと北朝鮮の軍事的な連携強化などに対して「我が国は厳しく複雑な安全保障環境に直面している」としたうえで、「幅広い情報の収集や分析、無害化に向けた対策などが急務であり、各種対策を的確に講じてほしい」と話しました。
拉致問題についても、「拉致被害者やその御家族もご高齢となられ、一刻の猶予もない状況であることから、拉致容疑事案および拉致の可能性を排除できない事案の全容解明に向け、徹底した捜査・調査を推進してほしい」と述べました。