■第44回 大阪国際女子マラソン(26日、大阪・ヤンマースタジアム長居発着、42.195㎞)
東京2025世界陸上の代表選考を兼ねている大阪国際女子マラソンで、小林香菜(23、大塚製薬)が日本人トップの2位でゴール。
タイムは世界陸上派遣標準記録(2時間23分30秒)を切る2時間21分19秒(速報値)をマークし、日本女子歴代10位の好タイムとなった。終盤までパリオリンピック™6位入賞の鈴木優花(25、第一生命グループ)が日本人トップを走っていたが、残り800m付近で小林が執念の粘りで逆転。ウォルケネシュ・エデサ(32、エチオピア)が連覇を果たした。
来年9月に行われる東京2025世界陸上の代表選考も兼ねる大阪国際女子マラソン。この大会で3度の優勝、去年9月のベルリンマラソンでは自己最高の2時間20分42秒をマークした松田瑞生(29、ダイハツ)、パリ五輪日本代表の鈴木優花、そして、去年12月の防府読売マラソンで2時間24分59秒の大会新記録で自己最高タイムをマーク、11月のプリンセス駅伝では3区で10人抜きの快走も見せた小林香菜が出場した。
気温10.8℃、風速1.3m/sというコンディション、最初の1㎞は3分27秒とややスローペースとなったが先頭集団は鈴木、松田が引っ張る形となり、15人となった。徐々にペースを戻すと4㎞付近では7人、日本勢の注目選手はしっかりとついていった。
10㎞付近、給水ポイントで伊澤菜々花(33、スターツ)がペースメーカーと重なるアクシデントがあったが、落ち着いて対応し、給水を成功させた。12㎞付近で先頭集団から松下菜摘(30、天満屋)が遅れ始めると、3度の優勝を誇る地元・大阪出身の松田も徐々に先頭集団から離れ始めた。
15㎞の給水ではここまで先頭集団についてきた小林が給水を失敗し、戻ったペースメーカーと接触するアクシデント、それでもしっかりと先頭集団についていった。18㎞付近で先頭集団は連覇を狙うW.エデサ、伊澤、鈴木、小林の4人。
中間地点の21㎞付近で小林は遅れ始めたが、23㎞付近で再びトップ集団の後ろについた。それでも、24㎞付近でスピードについていけなかった。そして、25㎞付近で伊澤が遅れ、鈴木とエデサの勝負となった。
パリ五輪以来のマラソンとなった鈴木はずっと落ち着いて中段でレースを見てきたが、28㎞付近でエデサとは約40mの差がついた。それでも自分のペースを崩さずに30㎞では1時間39分31秒と自己新記録ペース、トップとの差も約40mと離されなかった。35㎞では1時間56分23秒、トップとは17秒差、しっかりと前を追っていった。
36.8㎞付近で第一生命グループの山下佐知子特任コーチから「相手も苦しいんだよ!」と声をかけられるとしっかり前を見て粘りの走りを見せたが、40㎞付近では3位に浮上してきた小林が持前のスタミナを生かして、鈴木に16秒差まで詰め寄ってきた。
残り800mで鈴木に小林が追いつくと、一気に振り切り、2位に浮上、日本人トップに立った。小林は残り400mでサングラスを外すと、優勝したエデサに続いて2位で小林がゴール、自己ベストを大きく更新する2時間21分19秒をマークした。鈴木は自己新を大幅に更新する2時間21分31秒の3位で、世界陸上標準記録をクリアした。
日本人最高の2位に入った小林は「まだ実感なくて、訳が分からないです」と初々しい姿を見せた。世界陸上参加標準を切ったことを問われると「(ゴールタイムは)いくつですか?」と最後はタイムを気にせず全力でゴールに飛び込んでいた。
「世界陸上の参加標準を切ることを考えていたので予想以上に走れて驚いてます」と話して「安心して喜びに浸りたい」と社会人ルーキーは満面の笑みを見せた。
今後、世界陸上・女子マラソン代表の選考競技会は東京マラソン(3月2日)、名古屋ウィメンズマラソン(3月9日)が対象となっている。
【第44回 大阪国際女子マラソン 結果】
優勝:エデサ 2時間21分00秒
2位:小林香菜 2時間21分19秒
3位:鈴木優花 2時間21分31秒
【東京2025世界陸上 女子マラソン参加資格有資格者】
・前田穂南(28、天満屋)2時間18分59秒 ※日本記録
・細田あい(29、エディオン)2時間20分31秒
・松田瑞生(29、ダイハツ)2時間20分42秒
・安藤友香(30、しまむら)2時間21分18秒
・鈴木亜由子(33、JP日本郵政G)2時間21分33秒
・新谷仁美(36、積水化学)2時間21分50秒
・加世田梨花(25、ダイハツ)2時間22分11秒
・小林香菜(23、大塚製薬)2時間21分19秒
・鈴木優花(25、第一生命グループ) 2時間21分33秒