猫にもちゃんと『帰巣本能』がある?そうおぼしき3つの説 長い距離を旅して帰ってきた猫の事例も

2025-06-10 16:00

犬の「帰巣本能」についてはよく知られていますが、猫にも同じような習性があるのでしょうか?今回は、猫の「帰巣本能」を表すものとして、主だった3つの説を紹介します。猫をより深く理解するためにもぜひ一読してみてください。

1.磁場がわかる説

逆光を浴びた方位磁石

いわゆる猫の「帰巣本能」を示す事例としては、国内では、秩父の長瀞から千葉の市川までの約95km、海外では、アメリカのフロリダ州・デイトナからウエストパームビーチまでの約320kmなど、古今東西、さまざまな「帰還劇」が存在します。

なぜ猫は遠く離れた見知らぬ場所から正確に自宅まで戻れるのか?その謎を読み解くうえで有力なのは、「磁場がわかる説」です。猫を含めた数々の動物には、地球の磁場を読み取る能力が備わっていると言われています。

たとえば、伝書鳩は、数百km離れたところで放されても、感知した磁場を頼りに、高確率で元の鳩小屋に戻ってきます。かつて、国内外の新聞社や通信社では、伝書鳩の驚異的な能力を活用して、取材先から記事や写真を送り届けていました。

猫が遠く離れたおうちに帰還できるのは、伝書鳩と同様に、磁場を感じ取る能力があるから、と推測されています。一種の体内コンパスを使って方角を判断し、もともと住んでいたおうちへと戻っていくわけです。

ちなみに、猫や鳩以外にも、鴨などの渡り鳥やウミガメ、クジラなどの動物も磁場を感知できます。

2.体内時計説

目覚まし時計と食事中の子猫たち

2つ目の理由は、「体内時計説」です。

みなさんも日頃から、愛猫の正確な時間感覚に驚かされることが多いかもしれません。

休みの日でも平日と変わらぬ早朝5時に起こしに来たり、ごはんタイムが近づくと妙にソワソワしたり、飼い主さんの帰宅時間に合わせて毎日お出迎えしたりするのも、すべて体内時計の働きです。

さらに、猫は普段、暮らしている場所で、時間帯や季節ごとの太陽の位置を把握しています。実は、この経験値こそが、仮に遠方で行方不明になっても、猫が無事に帰還できる要因ではないか、と指摘されています。

どういうことかと言うと、体内時計に基づいた過去の記憶(太陽の位置情報)と、現在の太陽との位置関係との間に生じた「ズレ」から、大まかなおうちの方角を割り出せる、と考えられているからです。「ズレ」を修正して進めば、おうちにたどり着ける可能性も出てきます。

ただし、あくまでこれは仮説に留まるものであり、猫の「帰巣本能」には、他にも複合的な要素が絡んでいることを覚えておきましょう。

3.感覚地図説

地球儀で遊ぶシャム猫

最後の3つ目の可能性は、「感覚地図説」です。

「感覚地図」とは、視覚はもちろん、聴覚、嗅覚などの五感をもとに、目印になる場所や周辺の状況を統合し、脳内で作り上げた仮想地図のようなものです。

外猫を一例に挙げれば、縄張りの境界線をはじめ、食べ物にありつける場所や命に関わる危険なエリア、移動しやすい近道、障害物の有無などの情報が、便利な地図のごとく頭に入っている、と言われています。

猫の「帰巣本能」に関して、外暮らし経験のある猫や外出できる猫のほうが生還する確率が高いとされているのは、普段から広範囲に行動し、サバイバルに直結したリアルな「感覚地図」をつくり上げている影響かもしれません。

加えて、「感覚地図」の背景には、たとえば、北を向いたときのように、動物が特定の方向に頭を向けたときに活性化する「頭方位細胞(脳内神経細胞)」の存在も関係しています。

まとめ

野外を歩く茶トラ猫

実は、猫の「帰巣本能」については、科学的にもまだ十分に解明されておらず、いまだに多くの謎が残っています。

遠く離れたところからも猫がおうちに帰還できるのは、今回、紹介した3つの説を含めたさまざまな要素が組み合わさった結果と言えます。

今さら指摘するまでもないことですが、たとえ行方不明になっても、すべての猫が生還できるわけではありません。取り返しのつかない悲劇を避けるためにも、飼い主さんは、普段から入念な脱走対策に取り組んでみてください。

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