犬の腎臓病について|種類と原因、注意すべき症状や治療法まで【獣医が解説】

2025-06-15 17:20

犬の腎臓病とは?症状や治療法をわかりやすく解説

遠くを見つめる犬

犬の腎臓病は高齢の犬に多く見られる病気で、発症すると完治は現在の医療では難しく、進行を遅らせることが治療の中心となります。特に慢性腎臓病(CKD)は進行性で、初期には気づきにくいことが特徴です。

本記事では、「犬も腎臓病になるの?」「犬の腎臓病」の2つの視点から、初心者にもわかりやすく解説します。

犬も腎臓病になるの?

ぐったりしている犬

「腎臓病」と聞くと、多くの人が慢性腎不全や人工透析を思い浮かべるのではないでしょうか?人間の腎臓病は高血圧や糖尿病が主な原因となることが多いですが、犬の場合はどのような経過をたどるのでしょうか?

犬の腎臓病には、大きく急性腎障害(AKI)と慢性腎臓病(CKD)の2種類があります。

  • 急性腎障害(AKI):突然腎機能が低下する状態で、原因として中毒(ブドウやユリの摂取)、感染症(レプトスピラなど)、薬物の副作用などが挙げられます。早急な治療が必要です。
  • 慢性腎臓病(CKD):徐々に腎機能が低下し、回復が難しくなる病気で、高齢の犬に多く見られます。

犬の慢性腎臓病は、初期には目立った症状が現れにくいため、飼い主が気づいたときにはすでに進行していることが多いです。特に、以下のような症状が見られる場合は、腎臓病の可能性があります。

  • 水を大量に飲む、尿の量が増える
  • 食欲が落ちる、体重が減る(特に筋肉量が減る)
  • 毛づやが悪くなる、元気がなくなる
  • 口臭が強くなる(尿毒症)

早期発見・早期治療が非常に重要なため、定期的な健康診断を受けることが推奨されます。

犬の腎臓病:診断と治療のポイント

診断を受ける犬

犬の腎臓病は進行性であるため、症状の進行を抑え、できるだけ快適な生活を維持することが治療の目的となります。

IRISステージ分類とは?

腎臓病の進行度合いは、IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)によってステージ1〜4の4つのステージに分類されます。1〜4のうち、どのステージかどうかを診断するには、血圧測定、血液検査、尿検査が必要です。病状としてはステージ1が最も軽症で、ステージが4に近づくにつれて重症度が大きくなっていきます。この分類に基づいて、治療の方針が決められます。

2023年には、IRISからガイドラインが発出され、犬の慢性腎臓病(CKD)のステージ別管理について下記のように推奨がなされています。

  • ステージ1:腎毒性薬剤の中止、腎前性腎後性異常の治療、治療可能な疾患(腎盂腎炎や尿路結石など)の除外、血圧と尿蛋白/クレアチニン比の測定が推奨される
  • ステージ2:ステージ1の管理に加え、早期から腎臓用療法食を検討すべきとされる
  • ステージ3:ステージ12の管理に加え、脱水、嘔吐、貧血、アシドーシスなどの全身症状への対応と、腎臓用療法食が積極的に推奨される
  • ステージ4:重度の全身症状(食欲不振、体重減少など)に対し、ステージ1〜3の管理を継続しつつ、生活の質の改善を最重視。全身管理(脱水、アシドーシス、貧血、消化器症状の緩和)を徹底すべきとされる

ここでは、腎臓病の治療管理で特に要となる療法食、リン吸着剤、皮下点滴の3つについてご説明します。

療法食:腎臓病管理の基本

腎臓病の進行を遅らせるためには、腎臓病専用の療法食が非常に重要です。療法食には以下の特徴があります。

  • タンパク質の制限(腎臓への負担を軽減)
  • リンの制限(腎機能低下の進行を抑える)
  • オメガ3脂肪酸や抗酸化成分を配合(炎症や酸化ストレスを軽減)

腎臓病の犬にとって、フードの変更は最も効果的な治療法のひとつとされています。ただし、嗜好性の問題から食べたがらない場合もあるため、ウェットフードや手作り食の工夫が必要になることもあります。

リン吸着剤:リンの管理がカギ

腎臓病が進行すると、リンの排出がうまくできなくなり、高リン血症を引き起こします。これにより腎臓病がさらに悪化してしまうため、療法食だけでリンを抑えられない場合は、リン吸着剤を使用します。

リン吸着剤は、食事に含まれるリンが体内に吸収されるのを防ぎ、腎臓の負担を減らす効果があります。そのため、食事と一緒、もしくは食事の直前あるいは直後に投薬することが推奨されます。

皮下点滴:脱水の管理が重要

腎臓病の犬は、尿の量が増えるために脱水しやすくなります。そのため、皮下点滴(補液)が重要な治療法のひとつとなります。

  • 皮下点滴のメリット:水分補給を助け、老廃物の排出を促す
  • 頻度:病状によって異なりますが、週に1~数回行うことが一般的

自宅で皮下点滴を行うことも可能であり、獣医師の指導のもとで練習しながら習得する飼い主も増えています。

まとめ

獣医と飼い主と犬

犬の腎臓病は進行性の病気ですが、早期発見と適切な管理によって進行を遅らせることが可能です。IRISステージ分類に基づき、療法食、リン吸着剤、皮下点滴をはじめとする治療を組み合わせることで、犬の生活の質を維持することができます。定期的な健康診断を受け、愛犬の腎臓の健康を守ることが大切です。

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