【クイーンズ駅伝展望】主力2人が外れた前回優勝のJP日本郵政グループ、カギを握る1区の新人・谷本七星 昨年と似ている直前の状態

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-11-23 06:32
【クイーンズ駅伝展望】主力2人が外れた前回優勝のJP日本郵政グループ、カギを握る1区の新人・谷本七星 昨年と似ている直前の状態

前回優勝のJP日本郵政グループが、一時の危機的な状態から立て直してきた。クイーンズ駅伝(第45回全日本実業団対抗女子駅伝)は11月23日、宮城県松島町文化観光交流館前をスタートし、弘進ゴムアスリートパーク仙台にフィニッシュする6区間42.195kmコースに、24チームが参加して行われる。

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区間・距離・中継所は以下の通り。

1区(7.0km)塩竃市地域活動支援センター前
2区(4.2km)NTT東日本塩釜ビル前
3区(10.6km)富士化学工業前
4区(3.6km)聖和学園高等学校前
5区(10.0km)仙台第二高等学校前
6区(6.795km)弘進ゴムアスリートパーク仙台

大会前日の監督会議で区間エントリーが決定し、JP日本郵政グループは前回1区区間3位の菅田雅香(24)と、東京五輪マラソン代表だった鈴木亜由子(34)がメンバーから外れた。しかし1区に名城大で大活躍した谷本七星(23)が、3区に世界陸上10000m6位入賞の廣中璃梨佳(24)が、4区に5000m14分44秒96のカリバ・カロライン(21)が入り、ライバルチームからは有力V候補に挙げられている。

記者会見に出席した谷本は、「夏合宿から駅伝前の合宿まで、私を含めてみんな調子が右肩上がりです。チームの今年の目標である“2連覇への挑戦”を実現させたい」と意気込んだ。髙橋昌彦も一時は「目標をクイーンズエイトに下げる」ことも考えたチーム状況だったが、「トップスリーはキープしたい」と前日にコメント。直前に調子を上げてくるのが日本郵政の特徴だが、今年はどんなプロセスだったのだろうか。

※写真:前日会見(22日)で意気込みを語った谷本七星選手

「谷本で5位くらい」(髙橋監督)なら勝ちパターン

1区の順位が重要になる。今年に限ったことではなく、日本郵政が優勝したときはすべて、1区で好位置を確保していた。16年は1区が区間4位(トップと11秒差)、19年は廣中が区間1位(2位に20秒差)、20年も廣中が区間1位(2位に31秒差)、24年は区間3位(トップと5秒差)。今年の谷本には「区間5位くらいで来てくれたら」と、髙橋監督はレース展開をイメージしている。

同じ1区には、名城大で2学年先輩だった山本有真(25、積水化学)も出場する。5000mで3年連続代表入りしてきたトラックのトップランナーである。積水化学は前回2位チームで、日本郵政が5区で1秒差まで追い上げられたが、アンカーの6区で太田琴菜(30)が逆転した。

山本も同席した会見で、谷本は「有真先輩はめちゃくちゃ速い。勝てる自信は全然ありません。私はチームのために走るだけですが、一緒に練習していた有真先輩がいるのは心強いです。どこまで戦えるか挑戦したい」とコメント。日本郵政にとって積水化学は一番のライバルチームだが、山本の存在が谷本にはプラスの要素になりそうだ。

髙橋監督は谷本のことを「ロードタイプで安定しているし、(1区にある)起伏には一番強い。1区はラスト2kmで5~10秒差がつきますが、谷本はラストも粘ることができる」と、1区向きの選手であることを強調した。

2、3、4区で順位を上げていく展開が可能な布陣に 

2区の牛佳慧(25)は直前の中国全国運動会5000mで9位、15分43秒26のシーズンベストをマークした。「2年連続区間2位なので、区間賞への思いが強い」と髙橋監督。3区の廣中については「世界陸上6位の走りはできませんが、6~7割でも駅伝では走る選手です。廣中が3区にいるだけでチームに安心感が出ます」と、チームの大黒柱としての役割を果たしているという。

4区のカリバ・カロライン(21)は5月のダイヤモンドリーグ・ユージーン(米国)大会で、14分44秒96のチーム最高タイムをマークしただけでなく、日本人選手と同じ練習に加わり、ペースメーカー役も快く引き受ける。「一体感がある」と髙橋監督も認めている。

「1区で流れに乗ることができたら、2、3、4区と上がって行くと思います。2区終了時の位置が良ければ、廣中がリラックスして走ることができますし、カロラインでトップに出られるかもしれません。廣中でトップに立ったら、カロラインで(大きく)逃げられます」

前述のように日本郵政は16、19、20、24年に優勝してきたが、その全てで1区から良い流れに乗っていた。鈴木が区間3位(トップと6秒差)でスタートして負けたこともあるので、1区が全てではないが、極めて重要であることは間違いない。

その1区で昨年好走した菅田が外れることが決まったのが、レース5日前の11月18日だった。菅田は今年4月の日本選手権10000m4位の実力者で、チームのキャプテンでもある。普通であればチーム全体が「今年は良くない」という雰囲気に陥るところだが、今年の日本郵政は崩れなかった。

前回MVPの太田が同じパターンでメンバー入り

髙橋監督が過去の優勝時と今年のチームを、次のような比較をしている。「自己記録やシーズンベストではなくて、駅伝の時点でロードを1人で走った場合の力を足し算したら、16年も19年も去年も、それほど強かったわけではないんです。1区から良い流れができて、選手たちが想定以上の力を出してくれました。勝つ手応えがあったのは20年大会だけでした」

昨年の優勝も1区から良い流れに乗り、4区のカロラインでトップに立った。しかし2位の積水化学との差は22秒で、5区の鈴木と6区の太田琴菜(30)の昨シーズンの実績を積水化学の選手と比べれば、逆転されても不思議ではなかった。だが鈴木が4km付近で追いつかれてから驚異的な粘りを発揮し、中継所には1秒先着した。それを見た太田のスイッチが入り、一度は積水化学に5~10mのリードを奪われたが、区間賞の走りで逆転した。

「1人1人を足し算したとき、去年のメンバーに勝っているとは言いませんが、見劣りはしないと思っています」(髙橋監督)

太田は昨年、故障があって廣中と同じようにクイーンズ駅伝がシーズン初戦だった。練習でも7番手の位置で、大会1週間前に6番目に上がったという。それでいて大会MVPにも選ばれるほどの力を発揮した。完全に想定以上だった。その太田は今年もチーム内では7番手の補欠の位置にいたが、18日の練習後に菅田が外れることになり、5区を任されることになった。

「太田は練習量が多い選手で、普段のポイント練習(週に2~3回行う強度の高い練習)で疲れもあるのか良くないんですが、最後に(練習量を落とすなどして)調整するとグッと上がって来ます。区間賞は無理でも、去年のような走りを5区で再現してくれたら面白くなりますね」

太田はできる限りの練習をしているので、ボーダーラインでもピリピリせず、「(選手選考は)あとはお任せします」という雰囲気の選手だという。鈴木も10月末に故障をして、メンバー入りは早い段階で難しくなったが、メンバー選考の最後の練習まで参加して諦めない姿勢を見せた。昨年まで10年連続出場し、日本郵政の1期生としてチームを支えてきた選手の姿勢に、チーム全体の気持ちが盛り上がったという。

髙橋監督は今年も「優勝は無理だと思う」と言うが、谷本のコメントにあるように、選手たちは優勝を諦めていないし、チームの雰囲気は良くなっている。昨年のような奇跡的な勝ち方が続くほどクイーンズ駅伝は甘くないかもしれないが、髙橋監督も「流れ次第で面白くなるかもしれません」と、1区の走り次第では望みを捨てていない。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

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