日銀31年ぶり「金利1%」でも追いつかない?裏で進む物価高 生活への影響と「年内再利上げ」の可能性【Nスタ解説】
日銀は、加速する物価高に対応するため、利上げに踏み切りました。
政策金利が1%になるのは、実に31年ぶりです。
日銀「利上げ」で物価高は抑えられる?
井上貴博キャスター:
日本銀行は16日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.0%に引き上げることを決めました。
日銀などの中央銀行が行う金融政策の一つ「利上げ」。加速する物価高に歯止めをかけようという狙いがあります。
一般的に、物価が上がり続けるインフレの状態で「利上げ」をすると、会社や個人はお金を借りにくくなり、物が買いにくくなるなど経済活動が抑制され、企業の価格据え置きなどを促し、物価上昇を抑えられるとされています。
長らくゼロ金利政策が続いていた日本ですが、2024年3月にマイナス金利を解除して以降、0.25%ずつ徐々に金利を上げています。
それにも関わらず、物価高は続き2025年12月頃に一度落ち着きがみられたものの、中東情勢などの外部要因で再び物価高となっています。
【日銀 政策金利の推移】
▼2024年3月:0~0.1%
▼2024年7月:0.25%
▼2025年1月:0.5%
▼2025年12月:0.75%
▼2026年4月の会合「直ちに利上げする緊急度はない」
【全国 消費者物価指数】
▼2024年3月:106.8
▼2024年7月:108.3
▼2025年1月:109.8
▼2025年12月:112.2
▼2026年4月:112.5
(生鮮食品を除く総合 / 総務省2020年を100とする)
金利を上げすぎると、景気を冷やしてしまう。しかし、0.25%ずつの引き上げだとなかなか効き目はありません。
「利上げ」専門家の見方は
今回の利上げは半年ぶりで、政策金利1.0%は31年ぶりとなります。ところが、海外と比べるとだいぶ低いようです。
▼アメリカFRB:政策金利3.5~3.75%
▼ヨーロッパ中央銀行:貯金金利(6月17日~)2.25%
ハロルド・ジョージ・メイさん:
車がブレーキを踏んですぐに止まらないように、金利も上げてすぐに物価上昇が抑えられるわけではありません。物価の上昇を抑えるには、大体1年~1年半かかると思います。
日銀も、世界の中央銀行も先のことを見据えて、今やらないといけないことは何なのか、この判断が難しいからこそ、いつも議論します。このことは忘れてはいけません。
井上キャスター:
日銀政策決定会合の元審議委員の野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんによると、「植田総裁ら執行部は利上げに慎重だったが、4月以降『物価高への対応が遅れている』という意見が増え、今回の利上げにつながった」と言います。
さらに、日銀の関係者は、「政府の物価高対策で見えにくくなっているが、裏では物価がものすごい勢いで上がっている」「手遅れだったと後々に評価される可能性は否定できない」と述べています。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
今回の利上げはマーケットも織り込み済みで、日銀もすぐに(次の利上げへ)踏み切ることはないと思います。今後の注目イベントとして、1つ目にアメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)が、6月16日から、トランプ大統領に指名された新議長のもとでFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催します。
2つ目は10月、日銀の金融政策決定会合で再び金利を上げるのであれば、これはかなり強いブレーキを踏むことにつながります。むしろそこが注目だと思います。
今後 利上げの可能性は?
井上キャスター:
日銀の内田眞一副総裁は、16日の会合後に会見を行い、今後の利上げについて述べました。
▼今後の利上げについて
「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整」
▼調整のタイミングやペース
「中東情勢の展開が経済物価に及ぼす影響を注視した上で検討していく方針」
また、野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんに今後の展開を聞いたところ、15日にアメリカとイランが戦闘終結に向け歩み出したのは好感できるといいます。
将来の原油高のリスクが低下し、中東情勢が落ち着くと日銀も利上げしやすい環境になります。そうすると、年内にもう一度利上げが行われる可能性が高いということです。
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<プロフィール>
ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック顧問・アース製薬の社外取締役など