社会的困難を抱えた人たちを包み込む社会を目指す「ダイバーシティサッカー」

W杯の熱気の中、調布でキックオフ!
FIFAワールドカップが行われている最中の6月28日、東京・調布市内では、フットサルで交流する「第1回ダイバーシティリーグ2026 in 東京」が開かれました。
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主催はNPO法人「ダイバーシティサッカー協会」。参加したのは▼三鷹市を中心に、子供の居場所づくりや若者の就労支援などを行うNPO法人「文化学習協同ネットワーク」▼ギャンブル依存症の回復施設「東京グレイス・ロード」▼路上生活などホームレス状態を経験した人たち中心のチーム「野武士東京」。それに、「ダイバーシティサッカー協会」に寄付したり、活動を応援する人たちが個人参加したチームが今回初めて加わりました。4チームでおよそ40人です。
最初にダイバーシティサッカー協会代表理事で、一橋大学教授の鈴木直文さんが「まだお互いのことよくわかんないうちにサッカーをバンってやると、ギスギスしたりするんで、みんなで十分心も体も温めながら交流した後に、ゲーム形式になるようにしていきたいかなと思っています。ミックスのチームを作ってゲームをして、最後にチーム対抗に戻ってゲームをするっていう風にします」とあいさつしました。
準備運動やストレッチ、ボールを使った遊びで身体を動かした後、混成チームを4つ作ります。その中で、お互い自己紹介。好きな色や音なども自己紹介に含めました(毎回、何を含めるかは変わる)。そして話し合って、チームの音を決めて、掛け声にします。「ザーザー」「ドーン」「キラキラ」「マンマミーア」。ユニークな掛け声があちこちで聞こえます。
スポーツで仲間外れを作らない~ゲームのルール、形式は柔軟に
そして、混成チームでミニゲーム。フットサルは基本5人ですが、年代も性別も心身の状況も様々で、1チーム5人以上いるので、例えば、ゲームの前半はゆっくり走らずに、後半は走るけど、身体はぶつけないというその場のルールを決めます。出たいところ、出られる時間帯に参加者は出ます。「スポーツで仲間外れを作らない」ために、ルール、形式は柔軟なのです。鈴木ゼミの学生たちが運営を手伝います。
試合に出ていない時に話を聞くと、個人参加した鈴木ゼミの卒業生は「自分は外国人留学生ですから、みんなと繋がりができそうな、大事な場です。いろんな方がいて、日本社会と全般的に触れ合える場です。卒業しても、続けて活動に参加したいなと思ってきました」と話します。
「文化学習協同ネットワーク」からの参加者の1人は「学習支援のボランティアで勉強を教えているのですが、知らない人とサッカーができるのはやっぱり楽しいです。最初は話せなくても、自然と会話がそこから出てきます。いろんな年代が集まってボール1個を追いかける場ってなかなかないじゃないですか。そんなのが楽しいです。サッカーの魅力ですね」と話していました。
またギャンブル依存症の回復施設「東京グレイス・ロード」の生活支援員は参加者を見守りながら「人間関係が難しかったりした人たちがすごく多いので、依存症が止まりだして、新しい人間関係を作るのに、好きなスポーツを一緒に楽しむのは、プラスになるんです」と話していました。
スポーツを通じて、全ての人を包み込む社会を
ミックスのチームでひとしきり交流したら、元のチームに戻って、総当たりです。「野武士東京」はホームレス状態を経験した人が中心で、継続的な支援や孤立しないための居場所として、月2回、都内で練習会を開いています。年齢がやや高めなので、終わりのほうになると抜けて、応援に回ったり、休憩するメンバーもいます。
参加者の1人は「私だけ還暦過ぎているから、疲れたね。きょうはもうやめ」と言いながら「普段の練習会も楽しいけど、違うチームの人と一緒にやるのが楽しみで来てます」と話します。最近、新しいバイトを始めたそうで、「バイトが大切だから、けがをしないようにしないと」と付け加えていました。「勝ちたい」「うまくなりたい」という人も、「みんなで楽しみたい」「できる範囲で身体を動かしたい」という人も、それぞれです。
多様な生きづらさや背景を抱える人たちのスポーツを通じた居場所づくりを手伝ってきたNPO法人「ダイバーシティサッカー協会」。今回のように、各地のチームや活動を応援する人たちが交流する「ダイバーシティリーグ」は、9月以降、継続して実施予定です。地域で様々な関係を生み出し、切らさないことを大事にしています。「スポーツを通じて、全ての人を包み込む社会を作ろう」という試みです。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当: 崎山敏也記者)